高騰する国産中古車の価格を眺めていて、「新車の頃に買っておけば」と思ったことがあるのではないだろうか。
リセールのことを考えてクルマを購入することはないと言う人もいる。
だが、次のクルマを買うかもしれない、と考えると、値落ちしにくい、もしくは値上がりしそうなクルマを狙うのは賢い買い物と言えるのではないだろうか。
自動車評論家で中古市場に詳しい萩原文博氏に、値上がり必至の国産現行車を厳選、紹介してもらった。
※本稿は2022年8月のものです
文/萩原文博、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年9月26日号
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■中古車相場が値上がりする要因には何があるのか?
2022年3月、中古車のオートオークション運営会社最大手「USS」での2月の成約車両単価、すなわち1台あたりの平均落札価格が100万6000円を記録。
集計を始めた1999年4月以降初めて100万円を突破し、中古車相場が高騰とニュースになった。
そして翌月、3月の平均落札価格が91万1000円と下落すると、さまざまなメディアが、ロシアのウクライナ侵攻によって輸出がストップした影響だと報じた。
その後ロシアのウクライナ侵攻は続いているが、中古車相場に目立った動きはない。
以前、この値落ちとロシアへの輸出が止まったことは関係ない、とベストカーWebで書かせてもらったが、そのとおりの結果となっている。
中古車相場が値上がりする要因はいくつかある。
トヨタAE86のカローラレビン/スプリンタートレノのように、フルモデルチェンジによって駆動方式が変わってしまうケース。
日産R34型スカイラインのように後継車がまったく違うモデルになってしまうケース。そして、マツダRX-7のように後継モデルがないケースなどだ。
一見すると、値上がりするのはスポーツカーばかりと思うかもしれないが、スバルサンバーのようにスバルが生産していたRR駆動車の世代の中古車が値上がりするなんてケースもあるのだ。
今回は、現在新車を販売している国産現行モデルのなかから今後中古車相場が値上がりしそうな4モデルをピックアップした。
ちなみに4モデルとは別に、もうすでに値上がりしている車種がある。ホームページ上ですでに2022年モデルの販売が終了したとアナウンスしている日産GT-Rだ。
現在、GT-Rの中古車は約144台流通していて、平均価格は約1479万円。中古車の価格帯は約715万~約2756万円となっている。
2022年2月当時のGT-Rの中古車の流通台数は約117台で、平均価格は約995.1万円と1000万円以下だった。中古車の価格帯も約560万~約2689万円と500万円台の中古車も流通していた。
4カ月の間にGT-Rの中古車の平均価格は約484万円も値上がりしてしまった。これは新車のGT-Rが手に入らなくなったこととリンクしているのは明らかだ。
やや話がそれた。それでは次項から値上がり必至の4モデルを紹介しよう。
■今や貴重なハイパワー4WDマシン トヨタ GRヤリス
最初にピックアップするのは、2020年9月に登場したGRヤリス(トヨタ)だ。
特に1.6L直3ターボエンジンを搭載したRC、RZそしてRZハイパフォーマンスが値上がり必至のモデルだ。
GRヤリスは「RS」という、「1.5L直3自然吸気エンジン+CVT」というパワートレーンを搭載したモデルもあるが、GRヤリス本来のパフォーマンスを味わえるのは、最高出力272ps、最大トルク37.7kgmを発生する1.6L直3ターボ+6速MT。
そして「GR-FOUR」と呼ばれるスポーツ4WDシステムの駆動方式を搭載したRC以上のモデルだ。
GRヤリスは欧州市場で導入されている3ドア車をベースに、構造用接着剤の使用をはじめ、スポット溶接打点の約200点の増し打ちを施している。
そして大きなバックドアの開口部まわりに専用の骨格構造を採用することで優れたねじり剛性を実現している。
加えて、エンジンフードや左右ドア、バックドアにはアルミ素材。ルーフには新工法で製造されたC-SMCを採用。その結果、大幅な軽量化と低重心化を達成している。
現在、GRヤリスの中古車は約62台流通していて、平均価格は約501.3万円。1.5RSを除くと価格帯は約420万~約750万円となっている。
今後も新車価格を超えるプレミア価格の上昇が続くことだろう。
■高値安定が続く「水平対向+ターボ」という個性 スバル レヴォーグ
国産ステーションワゴンで人気のスバル レヴォーグ。
旧型は1.6L、2Lターボの2種類だが、2020年10月登場の現行型のエンジンは、1.8Lターボのみだった。
そして現行型レヴォーグは2021年11月の一部改良の際に、新開発の2.4Lターボエンジンを搭載したSTI Sport Rを追加した。最高出力275ps、最大トルク38.2kgmを発生する2.4Lターボエンジンにはスバルパフォーマンストランスミッションが組み合わされ、高い走行性能を実現している。
旧型レヴォーグの中古車は1.6Lが圧倒的に多くなってるが、なかでも2.0STI Sportの中古車相場は約150万〜約380万円と高値をキープ。
旧型のハイパワーな2Lターボ車の中古車価格が高値安定となっていることを考慮すれば、現行型に追加された2.4Lターボエンジンを搭載したSTI Sport Rが今後値上がりするのは確実だ。
現行型レヴォーグの中古車は約115台流通し、2.4Lターボ搭載車は早くも約7台流通していて、約520万〜約535万円とすでに新車価格を大きく上回るプレミアム価格となっている。
■海を渡ればJDMのベース車として人気 レクサス RC F
最高出力481psを発生する5L・V8自然吸気エンジンを搭載したラグジュアリークーペ、レクサスRC F。
すでに絶版となっているレクサスGS Fの中古車の平均価格は3カ月前が約628万円だったが、現在は約650万円と断続的に値上がり傾向を示している。
このことからRC Fも値上がりすると考えたのだ。
現在、RC Fの中古車は約79台流通していて、平均価格は約639万円。中古車の価格帯は約383.8万~約1228.8万円となっている。
3カ月前の平均価格が約560万円だったので、すでに値上がり傾向は始まっている。
JDMというカルチャーによって日本専売のモデルが人気になっているし、ジムニーやコペンのようなほかにはない唯我独尊系のモデルも、電動化が進んでいくと値上がり傾向となるだろう。
■稀少なFR+マルチシリンダーモデル 日産 スカイライン400R
最後に紹介するのは日産 スカイライン。
この夏でハイブリッド車は生産終了となったが、今後値上がりしそうなのは、3L・V6ツインターボエンジンを搭載したモデル。なかでも400Rは要注意モデルだ。
3L・V6ツインターボエンジンを搭載したスカイラインは2019年7月に登場した。
最高出力405ps、最大トルク48.4kgmまで3L・V6ツインターボエンジンをパワーアップし、電子制御サスペンションを搭載した400Rもこのタイミングで登場している。
スカイライン400Rの中古車は約30台流通していて、価格帯は約448万~約650万円で新車価格からほとんど下がっていない。今後は値上がりに転じるのは必至だ。
【番外コラム】空前の納車待ち長期化でぐいぐい値上がり中の中古車たち
新型コロナウイルス感染症拡大による世界的な半導体不足などの理由で新車の納車遅延が発生しており、現在でも中古車相場が値上がり傾向を示す車種が存在している。
もともと人気が高かったが、前述の理由で半年以上納期がかかるトヨタ ハリアー。2022年1月から終了後の4月にかけて中古車の平均価格が270万円から286万円へと16万円アップ。
もう一台はホンダ N-BOX。同期間で122万円から131万円へと9万円の値上がり。どちらの車種も、現在も値上がりしている。
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