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Image:Phil Spencer/Twitter

米マイクロソフト(以下MS)のXbox部門責任者フィル・スペンサー氏は、低価格のクラウド専用XboxらしきデバイスをTwitterでかいま見せていた。この製品、コード名「Keystone」はMSが公式に予告していたもので、今後数ヶ月のうちに発売との噂もあったほどだ。

しかしスペンサー氏が、いったん本製品を棚上げして、いずれ発売するとしても数年後になると公式に述べたことが明らかとなった。

この発言は、米The Wall Street Journalのライブインタビューで語られたものだ。スペンサー氏によれば、「Keystoneは、我々が社内で取り組んでいた製品だ。しかし春の終わり頃、サムスンとの共同作業に軸足を移した。プロトタイプはまだ持っているが、いずれストリーミング製品を作ることになるのだろうか?そうなるとは思うが、何年も先のことだろう」とのことだ。

ここでいう「サムスンとの共同作業」は、サムスン製スマートTVにXboxアプリが導入され、ゲーム専用機なしにクラウド対応ゲームをプレイ可能になったことを指すのだろう。つまり、あえて自社製クラウド専用デバイスを出すまでもなく、他社のスマートTV等にクラウドアプリを提供する方針に切り替えたと思われる。

MSの「Xbox Cloud Gaming」は、基本的には定額制ゲームサービス「Xbox Game Pass Ultimate」の加入者向けに提供されており、スマートフォンやPCのウェブブラウザ、Xboxゲーム機、それに加えてサムスン製スマートTVで遊べるものだ。また、他社のAndroid TV向けアプリの可能性も示唆されており、クラウドゲーム専用機の必要性は低いと判断されたのかもしれない。

その一方でMSは、2023年度第1四半期(7~9月期)の決算説明会にて、これまでXbox Cloud Gamingを利用したユーザーが2,000万人を突破したことを発表している。今年初めに発表された1,000万人という数字の倍となるが、急成長の背景には、Epic Gamesとの提携による『Fortnite』無料プレイ提供(例外的にXbox Game Passの加入必要なし)があったようだ。

Xboxクラウド専用デバイスを投入すれば、スマートTV以外のテレビでも手軽にXboxゲームが遊べるようになり、Xbox Cloud Gamingの普及をさらに加速した可能性もある。とはいえ、今回の業績発表ではMSの増収率が鈍化して失望を呼んでいたことから、売れるかどうか不透明な新ゲームハードの投入を避けたのかもしれない。