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スバルの四輪駆動スポーツカーWRX STIは、現在でも中古車市場で、低走行距離で素晴らしいコンディションのものがたまに見つかる。この個体のように!

スバルが欧州で絶対的なトップモデルを提供しなくなることは、以前から明らかだった。WRCで活躍したスバルや「WRX STI」は、電動化や排出ガス低減の観点から、もはやブランドや市場に適応したモデルとして成立しないからだ。

それでも、このパワフルな四輪駆動モデルである「WRX」は、今でもファンを増やしている。忠実なスバルファミリーの一員になりたい人は、もはや日本のメーカーから直接購入のチャンスはないが、運が良ければ、中古車市場で、希少な「WRX」の1台を手に入れることができる。走行距離の少ないこのSTIのように・・・。

青いスバル「WRX STI」は、2017年9月に初登録され、その後2人のオーナーの手を経ている。大切に扱っているのはもちろんのこと、日本車はちゃんとメンテナンスされてきたことは言うまでもない。この5年間で、300馬力の「STI」が走行した距離はわずか27,680km。これはパフォーマンスモデルとしては大変少ないうえに、スバルのモデルは長寿命であることで知られている。

今回発売するモデルは、排気量2.5リッターの4気筒ボクサーエンジンを搭載している。ターボチャージャーのおかげで、スバルはマニュアル6速トランスミッションを介して、スムーズな300馬力を前後4輪に送る。もちろん、ラリーにインスパイアされたモデルに、ブランドらしい4×4が欠けてはならない。

WRX STIにはスポーツのための妥協のない装備が施されている

装備面でも、「WRX STI」は比較的充実している。しかし、オートエアコン、アルカンターラ表皮、リバースカメラ、シートヒーターなど、ボディに搭載された視覚的な装備に比べれば、それほど刺激的なものではない。ボンネットの強力なエアインテーク、人目を引くブレーキキャリパー、力強いリアスポイラーなど、この「WRX」にはそれらが十分に備わっているのだ。

本革ステアリングホイール、アルカンターラシート、ハンドブレーキ、ギアスティックなど、WRX STIで最高のドライビングプレジャーを味わうために必要なものはすべて揃っている。

走行距離27,680kmの「スバルWRX STI」は、ライン/ザルツベルゲン(ニーダーザクセン州)のサプライヤー、「オートハウス ジーモン」から2025年までの車検とアフターケアを含めて、すぐに受け取ることが可能だ。そのコンディション、カルト的な要素、希少性から、49,830ユーロ(約720万円)という価格は妥当なものだと思われる。

【ABJのコメント】
今回のレポートでの「WRX」、やはり最後の部分が頭に残る。「49,830ユーロ(約720万円)という価格は妥当・・・」。そう、もはやこういう自動車の相場というのは、数年前と、がらっと、様変わりしているのであった。よくよく考えれば、今回の「WRX」は新車ではない、どこかの倉庫に保管され続けてきたミントコンディションの車でもない。3万km近くをちゃんと路上で走り、使われ続けてきた一台なのである。にもかかわらず700万円以上というプライスタグをぶら下げるような状況、それが2022年の現状なのである。

もちろん日本でも同じような価格高騰がおこっており、先日はそんな状況の中、ちょっと旧い「シビック タイプR」の中古車が納車前に追突され、弁償問題でもめているというニュースをテレビで繰り返し放送していた。その数週間前には「RX-7」が盗み出されるニュースも報道されていたが、そこには「希少で高価なスポーツカー盗難」というテロップが写されていた。「スープラ」も世界的に高騰しているし、今回の「WRX」を含め、ちょっと前のスポーツカーはもはや昔のような世界とは別の路上を走っているような気さえする。とつい難しく考えてしまうが、「WRX」、個人的には好きな車である。そして毎回思ってしまうのは、せっかくここまでのブランドイメージを築いたのだから、スバルはこの遺産をなんとか今に、もっと大切に有効に生かせないものか、ということである。(KO)

Text: Jens Borkum
加筆: 大林晃平
Photo: Autohaus Siemon