よほどの強面か、強面のクルマ、あるいは歴代の愛車が高級車ばかり・・・という人でないかぎり、1度や2度は煽り運転を経験しているかもしれない。
煽る方に非があるのはもちろんだが、もしかしたら煽られた側にも原因があるかもしれない。その実態をまとめたみた。
文/松村透
写真/AdobeStock(Daniel Krasoń,show999,hin255,Dragana Gordic,Tomasz Zajda, maroke,One,beeboys,show999,Free1970
,waranyu)
※この情報は2022年9月20日現在のものです
【画像ギャラリー】煽られるのはアナタの運転が原因!? 「煽られないために絶対してはいけない運転とは」(7枚)画像ギャラリー
■全国のドライバーに「2022年あおり運転実態調査」を実施
チューリッヒ保険会社が、2022年6月11日~6月13日に掛けて全国のドライバーに対して「2022年煽り運転実態調査」を実施した。今年で5年目となるこちらの調査は、全国のドライバー2,230人を対象としたものだ。
調査結果を要約すると・・・
1.煽り運転をされた経験があるドライバーは51.3%と、2018年の調査開始時(70.4%)以降、減少傾向ではあるものの、依然として半数を占める結果に。
近年の報道を受けて、あおり運転を受けないよう、以前よりも意識して運転しているドライバーは77.0%。
2.2020年6月末施行のあおり運転の厳罰化により、「危険運転が減少すると思う」ドライバーは63.0%。一方、減少しない理由としては、「危険な運転をする人の心理や行動は変わらないと思う」が最多に。
3.煽り運転被害は、「自動車に激しく接近し、もっと速く走るように挑発してきた」が75.0%と最多。被害を受けた際は「道を譲った」「何もしなかった」など、「やり過ごす」対応をとったドライバーが目立つ結果に。
4.煽り運転をされたきっかけは「車線変更をした」がもっとも多く24.4%。スピードや進路変更にまつわる行為をあおり運転のきっかけと感じるドライバーが多い結果に。
5.被害にあわないための工夫、上位は「周りを気遣い、刺激しない」運転。
6.ドライブレコーダーの利用者は54.7%。前年の調査時より4.8ポイント上昇し、非利用者を上回る。
7.ドライブレコーダーの購入・買い替え頻度は、「直近1年以内の購入」が25.0%。
8.ドライブレコーダーを利用していないドライバーの68.5%が「購入したいがコストがかかるため」と回答。購入、設置検討の費用感は、本体購入10,000円以内、取付費用5,000円以内。
総括すると以下のようになる
●煽り運転をされた経験のあるドライバーは51.3%。2018年の調査開始時(70.4%)以降、減少傾向ではあるものの、依然として半数を占める結果に
●煽り運転被害は、「車体を接近させる挑発行為」が最多の75.0%
●今年はドライブレコーダーの利用者(54.7%)が増加し、非利用者を上回る
■罰則規定が強化された「煽り運転」
令和2年6月30日から、他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反行為を行うことは、交通指導取締りの対象となったからだ。
仮に違反した場合、
・3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・違反点数25点
・運転免許の取消し(欠格期間2年、前歴や累積点数がある場合には最大5年)が科せられる。
さらに、上記違反行為によって著しい交通の危険を生じさせた場合、
・5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
・違反点数35点
・運転免許の取消し(欠格期間3年、前歴や累積点数がある場合には最大10年)
と定められており、運転免許保持者であればかなり重い罰則規定であることが理解できるはずだ。
■煽られる側にも原因がある!?
煽る側に問題があることはいうまでもないが、「煽られる側にも原因がある」可能性がゼロとは限らない。
平日の朝、通勤でクルマを使う人が多いなか、法定速度40km/hの一般道を30km/hで走っていたら・・・後続車のドライバーがイライラするのは容易に想像ができるだろう。
これは分かりやすい例だが、つまりは「その場の空気が読めない」「流れに乗れない」「周囲が見えていない」ことが煽り運転誘引している可能性があることは否定できない。
繰り返しになるが、煽る側に問題があるという大前提おいてだが・・・。
ただ、後続車に煽らせるため、故意にノロノロ運転をするような悪質なドライバーがいることも事実だ。このあたりは見極めがかなり難しい。
ひとつのポイントとして「極端にノロノロ運転のクルマを追い越そうとしたら、急に加速して行く手を塞がれた」とか「急に蛇行運転をはじめた」など、進路を妨害するような行為の場合は悪質なケースである確率が高いといえるだろう。
もはやこうなると違反行為に該当するので、相手の行動を動画で記録しておくと、万一のトラブルの際に安心だ。
■煽られないために絶対してはいけない運転とは?
煽る行為は自分自身が自制すれば回避できる可能性が高いのだが、煽られるとなると相手がいる。つまり煽り運転に巻き込まれないよう、予防線を張るのだ。
1.高速道路で追い越し車線を延々と走らない
「追い越し車線」の呼び名どおり、そもそも追い越しする時に使う車線であり、長距離走行は「通行帯違反」として取締り対象になる(2kmというのが通説だ)。
それを踏まえて、ハイスピードで移動したいドライバーが好む車線である。ここをトロトロ走っていたら・・・結果は推して知るべしだろう。追い越し車線を走らないようにするだけで、高速道路で煽られる確率はグンと低くなる。
2.急な車線変更をしない
片側2車線道路で、急に割り込まれてイラッとした経験がある人もいると思う。「カックンブレーキ」で済めばまだいい方で、フルブレーキに近い踏み方だと、同乗者が気掛かりだし、車内の荷物が倒れたり、下手をすると後続車にも追突されかねない。
急いでいる時であっても「急」がつく動きは避けたいところだ。
3.後続のクルマのことを考えず曲がる直前でウィンカーを出さない
個人的は「後出しじゃんけんウインカー」と呼んでいるのだが・・・。「このタイミングかよ!!」とツッコミたくなるようなところでウインカーを出してくるドライバーも少なからずいる。
ひどいケースだと、発信直後にいきなりウインカーを出して曲がったり(意外と多い気がするのだが・・・)、ウインカーなしでしれっと曲がったり、自車の前方に割り込んでくることもある。無用なトラブルや事故を回避する意味でも、早めのウインカー点灯を心掛けたいものだ。
4.無理な合流をしない
首都高速のように、本線合流まで距離が短い場合は仕方ないのだが、後続車からクラクションを鳴らされるような合流は避けたいところ。ハザードを点灯してもすでに時遅し。
ギラギラしたフロントグリルがルームミラーいっぱいに迫っているなんてことも・・・。また、ウインカーを出しても合流させてくれないドライバーがいることも事実。
そこで強引に割り込むとトラブルの元になるので、後続のクルマが譲ってくれるタイミングを待つ方が得策だ。
5.流れに乗らない/乗れない
ときどき頑なに法定速度をきっちり守るクルマと遭遇することがある(それもなぜか急いでいる時に限って・・・)。やがてノロノロと走るクルマの後ろにはイライラしたドライバーが運転するクルマがずらり・・・。
まさにペースカー状態になってしまっている。法定速度を守ることを大前提として・・・だが「その場に応じて流れに乗る」ことも重要だと思う。ノロノロ走るクルマを無理に追い越して事故・・・などということは避けたいものだ。
6.無闇にブレーキを踏まない
ブレーキを踏むタイミングは人それぞれ多少の違いはあると思う。と同時に、一般道を走っていると地域を問わず極端な違いはないようにも思える。そんななか、やたらとブレーキを踏むドライバーがいることも事実だ。
走行中のちょっとした周囲の変化に反応してブレーキ、またブレーキ・・・。後続車からすれば、クルマの流れやリズムが乱されると感じても仕方ないかもしれない。
ただ、この種のケースはブレーキを踏みまくっているドライバー自身に自覚がないこともしばしば。そう簡単に直せるクセではないところが悩ましいのだが・・・。
7.煽ってきそうなクルマに近づかない
強面の人ならぬ、強面のクルマがあることも事実だ。もちろんすべてとは言い難いが、それなりにオラオラ系であるようにも思える。このあたりの見極めは「本能的に」判断がつくように思う。
必要以上に絡んで煽られて怖い思いをするより、速やかに道を譲ってやり過ごすのが得策だろう。なかには行く手をふさいで威圧してくるドライバーもいるようだが・・・。そうなると話は変わってくる。
110番しつつ、ドライブレコーダーで記録・保存か、なければ助手席の人に動画を撮影してもらい、証拠を残すことを強く推奨したい。
■まとめ:運転中も空気を読む必要がありそうだ
何かと空気を読むことを求められる時代だが、それは運転中においても例外ではないかもしれない。
流れに乗り、煽ってきそうなドライバーは速やかにやり過ごす。それでも煽られたら動画撮影して証拠を残す。
煽られて怖いを思いをしたり、逆にイラッときたことがあるかもしれない。しかし、毎日の通勤時間帯でないかぎり、それなりの確率でもう2度と会うことはない(会いたくもない)ドライバーとわざわざ関わる必要はないのだ。
あとは、筆者自身への戒めも含めて、煽る側にまわらないよう心掛けたいものだ。
【画像ギャラリー】煽られるのはアナタの運転が原因!? 「煽られないために絶対してはいけない運転とは」(7枚)画像ギャラリー
投稿 煽られるのはアナタの運転が原因!?「煽られないために絶対してはいけない運転とは」 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。