ご承知のとおり2022年7月15日、いわゆる「クロスオーバー車」へと激変した新型トヨタ クラウンが発表された。今後はセダンの投入も予定されており、その姿も公開されたわけだが……。「やっぱりクラウンは伝統的なグリルと、あくまで伝統的なセダンらしい箱型スタイルがいい!」と思った人も少なくないはず。
そこで今回は「中古車としての買いやすさ」と「セダンらしい伝統感」が両立している平成クラウン、つまり9代目から15代目までのクラウンについて、その中古車事情をチェックしていく。
※本記事の中古車相場などのデータは2022年7月下旬に取材したものです。
文/伊達軍曹、写真/トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年9月10日号
■トヨタ 9代目クラウン…フレーム構造を継承しながら3ナンバーサイズに拡大
全車3ナンバーサイズに拡大。この代から4ドアハードトップは「ロイヤルシリーズ」と呼ばれるようになり、アスリートLに代わるスポーティグレードとして「ロイヤルツーリング」が登場。この代から登場したマジェスタは初のモノコック構造だが、ロイヤルシリーズは従来どおりのフルフレーム構造を採用した。
●中古車購入ポイントは?
エコカー減税のスクラップインセンティブによる解体処分や、海外への輸出が進んだことで、日本国内での流通量は希少。2022年7月末時点ではわずか2台のロイヤルサルーンが販売されているのみだ。
2台だけで相場をうんぬんするのもナンセンスだが、相場はいちおう60万~80万円といったところ。走行距離が短めであってもゴム類などは硬化していることが予想されるため、納車時のリフレッシュ作業は必須である。
【トヨタ 9代目クラウン 中古車バイヤーズデータ】
・中古相場:約60万~80万円
・新車時価格:261.0万~502.0万円
・年式:1991年~1995年
・入手しやすさ:★☆☆☆☆
・中古車おススメ度:★☆☆☆☆
■トヨタ 10代目クラウン…モノコックボディへと大変身
ロイヤルシリーズもついにモノコックボディとなり、100kg以上の軽量化に成功。コスト削減のためロイヤルサルーンGにあったエアサスペンションは廃止され、プラットフォームは90系マークIIと共用になっている。またピラードハードトップはこの代が最後となった。
●中古車購入ポイントは?
こちらも今や数は少なめだが、いちおう30台弱が流通している。そのうち4ドアハードトップの「ロイヤルエクストラ」は4台程度で、流通の中心は4ドアセダン。相場は約30万~90万円といったところで、全般的に走行距離は短め。
派手にカスタムされた個体も少なく、多くはフルノーマルまたは「ノーマル戻し」だ。この年式になると、走行距離以上に「メンテナンス履歴」を重視して選びたい。
【トヨタ 10代目クラウン 中古車バイヤーズデータ】
・中古相場:約30万~90万円
・新車時価格:275.0万~453.0万円
・年式:1995年~1999年
・入手しやすさ:★★☆☆☆
・中古車おススメ度:★☆☆☆☆
■トヨタ 11代目クラウン…ターボのアスリートは200万円超えの高値もアリ!
ボディ剛性を上げるため全車が窓枠を持つ4ドアセダンとなり、スポーティグレードの名称は8年ぶりに「アスリート」となった。また2014年ぶりにターボエンジンも加わり、アスリートVには最高出力280psの2.5L直6ターボが搭載された。
●中古車購入ポイントは?
流通量はまあまあ豊富で、ロイヤルが約60台、アスリートが約40台流通中。相場は前者が25万~70万円で、後者が30万~300万円。アスリートは280psの1JZターボエンジン搭載グレードを含めてフタ桁万円でもイケるが、良スペックな個体は100万円を超え、さらに高スペックな個体は200万円を超える。
ロイヤルを狙う場合は、70万円前後の整備履歴優秀なノーマル車が狙い目となるだろう。またこの代に登場した「クラウン エステート」の相場は30万~150万円付近だ。
【トヨタ 11代目クラウン 中古車バイヤーズデータ】
・中古相場:約25万~300万円
・新車時価格:294.0万~469.0万円
・年式:1999年~2003年
・入手しやすさ:★★★☆☆
・中古車おススメ度:★★★☆☆
■トヨタ 12代目クラウン…「ゼロクラウン」の世代だと中古車数が増!
「ゼロクラウン」と通称された世代。エンジンやサスペンションといった主要コンポーネンツを刷新し、車台も新開発のNプラットフォームに変わっている。またエンジンは長く使われた直6に代わってV6のGR型に切り替えられ、スポーティなスタイリングも大きな特徴となった。
●中古車購入ポイントは?
さすがにこの世代になると中古車の数も多く、ロイヤル、アスリートともに200台以上が流通中。相場はロイヤルが20万~90万円で、アスリートが20万~120万円。
これといって機械的な弱点があるモデルではないが、初期型では20年落ち近くにもなる世代。各種センサー類などが寿命を迎えていることも多いため、走行距離ではなく「どれぐらい継続的に整備を受けてきたか?」を基準に選ぶべき世代だ。
【トヨタ 12代目クラウン 中古車バイヤーズデータ】
・中古相場:約20万~120万円
・新車時価格:330.8万~540.8万円
・年式:2003年~2008年
・入手しやすさ:★★★★☆
・中古車おススメ度:★★★☆☆
■トヨタ 13代目クラウン…中古車流通量は豊富でロイヤルは探しやすい
外観は先代であるゼロクラウンのスポーティなイメージを踏襲しつつ、より曲線的でシャープなものに仕立てられた。この世代から専用3.5Lエンジンにモーターを加えたハイブリッドをラインナップ。4.5Lエンジン並みの走りと、2Lエンジンレベルの燃費が両立されていた。
●中古車購入ポイントは?
流通量はロイヤル、アスリート、ハイブリッドともに豊富だが、ロイヤルは特に多いため探しやすい。相場はロイヤルが40万~180万円、アスリートが50万~200万円、そしてハイブリッドも50万~200万円といったところ。
ハイブリッド車は10万kmを超えると必ずバッテリーがダメになるわけではないが、10万km超の場合は交換済み中古車を探すほうが安心はできる。ガソリン車は、過度なドレスアップがされているものは避けたほうが無難。
【トヨタ 13代目クラウン 中古車バイヤーズデータ】
・中古相場:約40万~200万円
・新車時価格:345.0万~724.5万円
・年式:2008年~2012年
・入手しやすさ:★★★★★
・中古車おススメ度:★★★☆☆
■トヨタ 14代目クラウン…巨大なフロントグリル&新開発ハイブリッド採用
プラットフォームは先代からのキャリーオーバーだが、フロントマスクを大幅刷新。アスリートは3.5L車のATが8速に多段化され、ロイヤルとアスリートの両シリーズに設定される形になったハイブリッドは、エンジン排気量を3.5Lから2.5Lにダウンサイジングしている。
●中古車購入ポイントは?
流通量はロイヤル、アスリートともに非常に豊富で、相場はロイヤルが100万~370万円で、アスリートが150万~480万円ほど。
最高値圏のお金を出せば、当然ながらいいモノがいくらでも狙えるが、手頃な予算でいきたい場合は130万円前後のロイヤルが狙い目。
同じお手頃系でもアスリートでいきたいなら、車両価格の目安は180万~200万円あたりに設定するとちょうどいい。
【トヨタ 14代目クラウン 中古車バイヤーズデータ】
・中古相場:約100万~480万円
・新車時価格:353.0万~618.3万円
・年式:2012年~2018年
・入手しやすさ:★★★★★
・中古車おススメ度:★★★★☆
■トヨタ 15代目クラウン…先代モデルの中古車は300万円前後が狙い目
30代から40代のユーザーにも訴求すべく、TNGAに基づくGA-Lプラットフォームを採用し、そのシャシーはニュルブルクリンクで鍛え上げられた。
そして長らく使用されてきたロイヤル/アスリート/マジェスタという区分けが廃止され、ロイヤル、マジェスタに代わる「標準仕様」と、アスリートに代わる「RS」仕様に整理された。
●中古車購入ポイントは?
中古車の流通量は豊富で、相場は270万~800万円といったところ。
まだまだ新しい世代のクルマゆえ、これといって特別な注意点はなく、「内外装に荒っぽく扱われた痕跡がある個体は避ける」「過走行車やド派手なカスタム車は避ける」程度でも、普通に悪くない中古車を購入できるはず。狙い目は300万円前後の価格帯だ。
【トヨタ 15代目クラウン 中古車バイヤーズデータ】
・中古相場:約270万~800万円
・新車時価格:460.6万~739.3万円
・年式:2018年~2022年
・入手しやすさ:★★★★★
・中古車おススメ度:★★★★★
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