イーロン・マスク氏がCEOに就任して以来、Twitterの動向は波乱に満ちたものとなっている。有料プラン「Twitter Blue」のリニューアルや、なりすましアカウントの横行、トランプ元米大統領をはじめ凍結アカウントの解除など、どれも物議を醸すものばかりだ。
これらの動きは、Twitterの経営にどれほどの影響を与えているのか。非営利監視団体Media Matters for Americaが、マスク氏により10月末に買収されてから、同社は上位100の大手広告クライアントのうち、半分を失ったという報告書を発表している。
それによれば、2020年以降に約20億ドルを出費した上位100社の広告主のうち50社が、ここ数週間で広告掲載を中止すると発表したか、中止したように見えるとのことだ。これらの企業は11月21日の時点で、2022年だけで7億5000万ドル以上の広告費をもたらしていたという。
シボレーやチポトレ・メキシカン・グリル、フォードやジープなどが、最近Twitterへの広告掲載を中止したと声明を発表、あるいは公に報道。また、「quiet quitters(静かに止めた)」企業の中には、エンタメ企業AMCネットワークやAT&T、資産運用会社ブラックロックやケロッグなどが含まれているそうだ。
それ以外の7社も、Twitterでの広告を「ほぼゼロに」減速しているとのこと。これらの企業は2020年以降、広告費として2億5500万ドル以上、2022年内には1億1800万ドル近くを費やしたという。
ほかThe Washington Postも、上位広告主の3分の1以上が、過去2週間にTwitterに広告を出さなかったと分析している。たとえばジープと大手食品会社マースは、11月7日以降に広告を掲載していないとのこと。
とはいえ、マースは同誌に「9月下旬からTwitterでの広告活動を停止している」との声明を出している。これらメディアの数字が、必ずしも実態を正確に捉えているとは限らないと留意しておく必要があるだろう。
もっとも、ある中堅BtoB企業の管理職はコミュニケーションサイトに、ここ数週間で月75万ドルのTwitter広告支出を一時停止したこと、その理由がエンゲージメントが急落して広告パフォーマンスが「著しく低下した」ためだと投稿している。また、「ハードコアな反ユダヤ主義やアダルトスパムがフラグを立てても何日も公開されたまま」など、「ブランドの安全性に関わる深刻な問題」が見られたという。
マスク氏も自ら、Twitterでの広告が減ったことをぼやいている。以前マスク氏は、コンテンツモデレーション評議会を設立するまでは、凍結アカウントを復活させないと約束したが、結局は評議会なしにトランプ氏アカウントの復活を(「投票」結果に基づき)強行した。
それが公約違反ではないかと指摘されて、マスク氏は「政治的/社会的活動家グループの大規模な連合は、私がこの条件に同意した場合、広告収入を枯渇させてTwitterを殺そうとしないことに同意した。彼らは契約を破った」とツイート。広告が減ったことを認めつつ、それは活動家らが広告主に圧力を掛けたからだと仄めかしているようだ。
アップルは、11月23日時点でも公式アカウントがツイートを続けているが、つい最近App Store責任者のフィル・シラー氏がアカウントを削除したばかりだ。まだTwitterから広告を引き上げていない、大手クライアントの動向を注目したいところだ。
- Source:Media Matters for America
- Source:CBS News