あおり運転はもはや社会問題化しているが、最近では、あおられているようなシチュエーションを作り出すため、故意にノロノロ運転をするなどの迷惑行為を行うあおられ屋の存在もささやかれている。テレビに画像を提供したい、動画サイトにアップして登録者数や再生回数を稼ぎたい、SNSのフォロワー数を増やしたいなど動機はさまざまだが、いずれにせよ一般ドライバーにとっては迷惑きわまりない存在であることは間違いない。
そこで今回は、新手の迷惑ドライバー、あおられ屋をどのようにあしらうべきかを検証したい。
文/藤原鉄二、写真/写真AC
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晒され被害に要注意!! あおられ屋って?
度を超したノロノロ運転、不必要なところで何度もブレーキを踏む、蛇行するように車線を変更して後続のクルマの走行を邪魔するなど、周囲のドライバーをイライラさせるような運転をわざと行い、あおり運転を誘発しようとするのがあおられ屋。
挑発にのって車間を詰めたりすると、あおり運転の被害を受けたと主張してドライブレコーダーの動画を動画サイトやSNSにアップしたり、テレビ局に提供したりする。挑発にのったドライバーは「晒し行為」の被害者となってしまうのだ。
悪質な場合はナンバーなどを隠すことなく公開されたり、通報されたりして危険運転の加害者として厳罰に処せられるということもあり得る。検挙されているシーンを動画撮影するようなあおり屋さえいるという噂も。
動画再生回数を稼いで広告収入を得たり、SNSのフォロワーを増やしたいらしいが、罠にハマって晒されてしまったほうは下手したら社会的信用を失ってしまうなど、深刻な状況に陥る可能性がある。
また、一度世に出てしまった画像をすべて消去することはほぼ不可能。たとえ冤罪とわかったとしても未来永劫、プライバシーはダダ漏れ状態になるおそれもあるのだ。
あおられ行為は違反を問われない?
もちろん、あおられ屋の行為も妨害運転と見なされる。想定されるのは、通行帯違反、進路の変更の禁止違反、安全運転の義務違反、最低速度違反などだ。
ただし、現実問題として自分が行ったあおり運転は相手の挑発行為に起因したものだと主張してもそれを立件するのは難しい。たとえば、相手が故意にノロノロ運転をして車線を防いでいたと訴えても交通違反は基本は現行犯であり、さらに相手が故意であったことを否定すれば立件することは難しいのだ。
とはいえ、たとえ挑発が原因であったにせよ、車間を詰めたりしてしまったという行為自体は車間距離保持義務違反なので、無罪放免とはならない。
では、怪しい挙動をするクルマに遭遇してしまったらどう対処すべきなのかを事項で考えていきたい。
どうやってやりすごすべき?
故意ではなくても度を超したノロノロ運転ドライバーへの対処は面倒。特に面倒なのは相手が右車線を走行している場合だ。
ここで気になるのが左抜きで難を逃れてもOKかということだろう。「道路交通法」 第2条の21で禁止されているのは「追い越し」で、「追い抜き」ではない。追い越しとは車線変更をして前方の車両の前に出る行為で、追い抜きとは、進路を変えないで進行中のクルマの前方に出ること。
つまり、基本的には自分が左車線を走っている時に右車線に低速で走っているクルマがいた場合はそのまま左車線から抜いて、その後に右車線に車線変更をせずに左車線を走行し続ければ違反とはならないということだ。
ただし、自分がもともと低速走行車と同じ右車線を走行していて、左車線に車線変更をして追い越せぱ違反をとられてしまうので注意してほしい。
いずれにせよ、露骨に法定速度を下回るスピードで走っているような不審なクルマに遭遇してしまったら、一般道であればコンビニで休憩する、ルートを変更するなどして、そのクルマから離れることが得策と言える。
高速道路なら、運悪く自分が右車線を走っていて前方に低速車が走っていた場合は、車間距離をとって走行して次のPAやSAに入ってやりすごすしかない。
もちろん、車間を詰めたり、クラクションを鳴らしてしてしまうとあおられ屋の思う壺になってしまうのでNGだ。
あおり返し被害も……
恐ろしいのは、わざとあおり運転に見えるようなシチュエーションを作り出し、追い越しをされたり、危険回避のためにクラクションなどを鳴らした瞬間、挑発行為をしてきたと言いがかりをつけて逆にあおり行為をし始めたり、クルマを強引に停車させて暴力をふるってくるような事例が発生しているということだ。
急に割り込んできたり、露骨なノロノロ運転をしているにもかかわらず、車間を詰めてきたなどと言いがかりをつけ、ターゲットとなったクルマのドライバーを車外に引きずり出そうとしたり、怒鳴りつけてクルマを蹴るといった暴力行為を行うドライバーの姿を映した映像をテレビなどで目にしたことがある人もいるはずだ。
晒し動画を撮影されることも恐ろしいが、このような狂暴なあおられ屋の餌食になってしまったらケガをしたりともっと恐ろしい事態に陥ることも考えられる。
蛇行するなど露骨な運転は論外だが、ノロノロ運転をするドライバーの大半は故意ではなく、周囲の状況を考慮できていないだけのはず。しかし、たまたまあなたが遭遇しているノロノロ運転ドライバーがあおられ屋である可能性はゼロではない。
迷惑ドライバーと感じるようなシチュエーションに遭遇したら、「あおられ屋かも」と思って、カッとしないようにすることが晒し被害や暴行被害に遭わないための最善の対策法と言える。
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