中国では厳しい新型コロナ対策に対して不満が高まり、首都北京や上海でも異例の抗議デモが起こっていることが驚きを呼んだ。単にゼロコロナ政策への抗議だけでなく習近平国家主席の辞任を求める声もあり、その激しさに比例するように警察の取締りもエスカレート。英BBCの記者が中国当局に殴られて拘束される事態もあったほどだ。
そんななか、中国の警察が人々を呼び止めてスマートフォンをチェックし、InstagramやTwitter、暗号化メッセージアプリTelegramなどの海外アプリがあるかどうかを確認していると報じられている。
米TechCrunchとThe Washington Postの報道によると、中国の人々はVPN(仮想プライベートネットワーク)を通じて上記の禁止されたサービスにアクセスし、ゼロコロナ政策に反対する抗議活動を行いつつ連絡を取り合っているそうだ。中国内のSNSでは、政府批判の投稿は厳しく検閲されているからだろう。
それら海外での言動は、中国政府といえども取り締まることには限界がある。そのためか、Twitterで「北京」とワード検索したところ、実に95%以上がスパムアカウントによるもので、そのうち70%以上は最近になって大量にツイートを始めたと推測されている。
大量のスパムアカウントは、抗議活動に関する正確で有益な情報を見つけることを困難とし、中国内外で抗議デモの情報を得ることを妨害しており、中国政府と繋がりがあるのではないかと憶測する声も上がっている。
さて首都北京では、中国当局が海外のアプリを使っている人を捕まえては、個人情報を書き留めて警告を与えているとの証言もある。
さらに「もし抵抗されたら、警察はその人を“通報”してもいいと言うだろう」とのこと。中国での通報とは、通報だけでは済まない事態となるだろう。
こうした取り締まりは、路上やショッピングモールの入り口など、どこでも起こりうるとも指摘されている。またBBCの報道によると、中国警察は抗議活動の写真を削除しない者を逮捕すると脅しているという。
それぞれの大都市では、大勢の警官が配置されたことで抗議活動が落ち着きつつあるとの報道もある。が、3年にもわたるゼロコロナ政策、それに伴うローラー作戦的な取締りにより、警官も疲弊してるとの声も聞こえてくる。今後は沈静化に向かうのか、それとも中国全土に広がっていくのか、今後の推移を注視したいところだ。
- Source:The Washington Post
- Source:TechCrunch
- Source:The Verge