投資情報メディア「MINKABU(みんかぶ)」などを運営するミンカブ・ジ・インフォノイドは28日、LINE社との間で同社が運営する「ライブドアブログ」などの事業を手がける新子会社「ライブドア」を買収することを明らかにした。
2010年、後にLINE社となるNHN Japan(当時)の子会社となり、その2年後に同社との経営統合に伴い「ライブドア」の屋号は消えていた。今回、LINE社からブログ事業などを譲渡する際の子会社化に伴い、10年ぶり、令和の世に「復活」する。
LINEが今回、ミンカブ側に売却するサービスはブログサービスの「ライブドアブログ」、ニュースポータルの「livedoorニュース」、韓国エンタメ情報サイトの「Kstyle」。合わせて月間7000万人の利用者を擁している。LINEはこれらを手がける子会社「ライブドア」を新たに作り、それをミンカブ側に譲渡する流れだ。一連のM&Aは、今年12月にクロージングする予定。
「Kstyle」はNHN Japan時代の2011年に始まったが、「ライブドアブログ」と「livedoorニュース」は、2000年代、実業家の堀江貴文氏がトップだった旧ライブドア時代から続いており、社を代表するサービスの一つだった。NHN JapanがLINEを主力事業としてブレイクし、社名をLINEに変更した後も継続してきたが、昨年3月、LINEとヤフーが経営統合したことで、両社間で重複するサービスの見直しが進んでいた。今年3月に言論サイトの「ブロゴス」が終了したのも事業整理の一環とみられている。
かつて旧ライブドアに在籍した関係者の1人は今回のニュースについて、「LINEからみんかぶの売却額は72億円。これは旧ライブドアがNHN Japanに買収された際の63億円を上回っており、市場価値が評価されたような気持ちだ」と誇らしげに語る。ミンカブ側は今回、買収する3つのサービスについて「当社を大きく成長させる最強の武器であり、育てれば更に輝くポテンシャルを持った最高の素材」(開示資料)と高い期待をにじませていた。
ただ、今回の取得額を巡っては、ツイッターでは投資家らの間で「高すぎる」との評価も出ている。ミンカブは、同社の既存の投資メディアとのシナジーによる成長戦略を描くが、日経電子版やNewsPicksで有料会員が伸び悩み、スマートニュースの赤字が続くなどニュース市場全体が苦心する中で成否が問われる。
ライブドアは1996年、堀江氏らが『有限会社オン・ザ・エッヂ』として創業し、2000年に東証マザーズ(当時)に上場。04年、堀江氏がプロ野球参入を表明し、翌05年にはニッポン放送に敵対的買収を仕掛けるなど世の中の注目を集めた。しかし06年のライブドア事件で、堀江氏らの幹部が東京地検特捜部に証券取引法違反で起訴。これを機に上場廃止となり、堀江氏らも経営を離れた。その後、2010年、NHN Japanの子会社となった。