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アップルが発売した新しい「第10世代iPad」には、専用アクセサリーのMagic Keyboard Folioが用意されている。そのキーボードは心地よいタイピング感を実現しており、iPadをビジネスシーンに活用するのであれば、ぜひ合わせて使いたいアイテムだ。だが価格は38,800円(以下、税込表記)と、なかなかに値が張る。

現在のiPadOSには、様々なキーボードやマウス、トラックパッドなどのアクセサリーが接続できる。そこで今回はロジクールの新しいマウスとキーボードを使い、第10世代iPadの生産性を高めてみた。はたして、Magic Keyboard Folioに引けを取らないほどの環境は構築できるのだろうか。

ロジクールの新しいワイヤレスマウス&キーボードと、第10世代iPadとの相性を徹底検証した

日本のユーザーの声を受けて開発したロジクールのマウス「SIGNATUREシリーズ」

最新のiPadOSは、有線・無線のマウスが接続できる。まずはロジクールのBluetoothワイヤレスマウス「SIGNATURE」シリーズを試そう。

SIGNATUREシリーズは、“日本発”の新シリーズだ。世界中にPC周辺機器を展開するLogitechの日本法人であるロジクールが、日本のユーザーの声を受けて独自に開発した。今年2月に最初の「M650」を発売したが、11月24日には上位の「M750」とエントリーモデルの「M550」を投入した。

左からエントリーモデルのM550、最上位のM750、先に発売されたM650

このシリーズでは「シンプルでベターな製品」を求めるユーザーの期待に応えることをコンセプトに掲げている。ロジクールオンラインストアの税込価格はM750が5,280円、M650が4,620円、M550が3,960円と、いずれも価格を抑えながら、上位モデルのマウス開発で培ったノウハウを注入している。具体的には、快適な操作性とグリップ感、タフな電池寿命などが特徴に挙げられる。

いずれのモデルも、MacやWindows PCとの組み合わせで快適な使い心地を追求している。PCとの無線接続は、電波が混雑する環境でも最長10メートルで安定した通信を実現する独自の「Logi Bolt」をサポート。Logi Boltのほかに汎用性の高いBluetooth接続も備える。

独自の無線接続「Logi Bolt」にも対応。本体にドングルを格納できる

さらに最上位のM750であれば、Logi Boltによる接続時に、独自機能の「Flow」が利用できる。Flowでは、macOSとWindowsといった異なるOSをまたいで複数のデバイスに同時接続し、ドラッグ&ドロップによるシームレスなファイル操作が行える。

ホイール操作の心地よさにこだわり。Easy-Switch搭載の最上位「M750」がおすすめ

筆者が一押しするモデルは、最上位のM750だ。Easy-Switchという機能により、最大3台までのデバイスをマウスに登録でき、本体底面のボタンを押すだけで、接続先の機器をiPadからMacBook、Windows PCといった具合に素速く切り換えられる。

3台までペアリングした機器を素速く切り換えられるEasy-Switchに対応

なお、先述したFlowはiPadOSに対応していないが、iPadとMacの最新OSが搭載する「ユニバーサルコントロール」を使えば、1台のマウスを使って、MacとiPadを行き来しながらファイルのドラッグ&ドロップが行える。

iPadOS、macOSが搭載するユニバーサルコントロールにより、デバイス間で同じマウスやトラックパッドを使って簡単にファイルのドラッグ&ドロップができる

筆者はふだん、ロジクールのフラグシップである「MX Masterシリーズ」のワイヤレスマウスを愛用しているが、M750はスクロールホイールの操作感が、上位モデルに劣らず快適だ。それもそのはず、同社はSIGNATUREシリーズを企画する際に、同価格帯のマウスと比較して、スクロール性能の差を付けることに取りわけ力を注いだという。

独自のSmartWheelテクノロジーは、上下スクロールを1行ごとに精緻に送れるほか、ホイールを勢いよく回すと高速スクロールに切り替わる。さらに静音技術のSilentTouchにより、クリック感をしっかりと残しながらも音を抑えている。BGMが再生されている室内であれば、クリック音はほぼ聞こえないレベルで、リモートワークでも周りに迷惑をかけることはないだろう。

SmartWheelテクノロジーによる精密なホイール操作に対応する

電池寿命も特筆ものだ。SIGNATUREシリーズは全モデルが単三形乾電池1本で動作し、Bluetooth接続時には最大20ヶ月の電池持ちを実現する。M750は電池を含めると本体の質量が約103.2gだが、操作時に重さによる負担は感じない。そしてコンパクトなのでバッグ等に入れて持ち運びやすい。

M750のみサイドボタンのカスタマイズに対応するが、iPadに接続すると無効になってしまうようだ。もし「iPad専用」のマウスとして使うのであれば、サイドボタンのないM550を価格優先で選んでもいい。スクロールホイールの心地よさ、静音設計のボタン、タフな電池寿命はシリーズ共通の魅力だからだ。一方で複数のデバイスでマウスを使うことを想定している方には、Easy-Switchは欠かせない機能だと思うので、筆者はM750を推したい。

M750はサイドボタンに様々な機能を割り当てることもできるが、iPadにペアリングすると無効化される

外付けBluetoothキーボードのメリットを活かす

アップル純正のMagic Keyboard Folioは、充電・ペアリングの不要なキーボードであり、トラックパッドも内蔵する。そのうえiPadのスタンドと保護カバーの役割も兼ねた “四位一体” のデバイスなので、落ち着いて考えれば、4万円に迫る価格は適正なものであることがわかる。

だがキーボードのタイピング感には、人それぞれの好みもある。さらにMagic Keyboard FolioはiPad本体と分離して使えない。その点、外付けのBluetoothキーボードなら好みに合うタイピング感を選べるし、iPadとの位置関係を自由に調整できる利点もある。

快適な操作感をアピールするアップルのMagic Keyboard Folio。Smart Connectorにより本体のペアリングや充電は不要

そこで今回は第10世代iPadに、Bluetooth接続に対応するロジクールのワイヤレスキーボード「MX MECHANICAL MINI for Mac」を組み合わせてみた。タイピング時にカタカタと軽快な音が鳴るメカニカル方式のキーボードだ。

本機は一般的なメカニカルキーボードよりもキーの高さを低く設計することで、手首にかかる負担を抑えている。キーストロークも約3.2mmと浅めなので、長時間タイピングを続けても疲れにい。キーにはバックライトを搭載するが、照明環境に合わせて明るさを自動で最適化させる機能により、バッテリー消費を抑えている。

ロジクールのBluetoothワイヤレスキーボード「MX MECHANICAL MINI for Mac」

本機もM750と同じくEasy-Switch機能を搭載するので、2台のiPadを並べた場合であっても、接続先を切り換えながらキーボードによる作業を効率よく進められる。

なお、外付けのキーボードを使う際は、iPadを立てて画面の角度を調整できるスタンドが別途必要だ。角度調整はできないが、アップル純正ケースのSmart Folioをスタンドとして使う方法もある。

キーボードとマウスはともにEasy-Switchに対応。2台のiPadにペアリングして、切り換えながら作業が進められる

ただしMX MECHANICAL MINI for Macは、質量が約612gもある。Magic Keyboard Folioの重さを簡単に量ったところ、約590gだった。マウスとスタンドを別々に持ち歩く手間を考えると、やはりMagic Keyboard Folioの可搬性の高さは見事というほかない。

ただ、筆者はMagic Keyboard Folioにひとつ注文を付けたいことがある。キックスタンド方式は「ひざ打ちタイピング」が不安定になるので、テーブルのない記者会見やイベント会場などで使いづらい。

Magic Keyboard Folioより5,000円安いアクセサリーの組み合わせ提案

今回ロジクールの新製品を試してみて、筆者がアップル純正Magic Keyboard Folio「以外の選択肢」としてプッシュするのであれば、マウスはM750、キーボードはMX MECHANICAL MINI for Macか、またはMagic Keyboardのタイピング感に近いMX KEYS MINI for Macも挙げたい。

ロジクールオンラインストアの価格はMECHANICALが21,120円、MX KEYS MINIが15,950円。たとえばMX KEYS MINIとM750を組み合わせ、ケース兼スタンドとしてアップルのSmart Folioを揃えると、合計価格は3.3万円前後になる。Magic Keyboard Folioを買うよりも、5,000円近く出費を抑えられる計算だ。

ロジクールのマウスとキーボードにより、Magic Keyboard Folioよりも安価にiPadのビジネス力を高めることができた

今回は外付けのキーボードとマウスを試したが、ロジクールはiPadのケースと一体になったキーボードも積極的に手がけており、充電・ペアリングが不要なSmart Connectorの対応のモデルも発売している。まだ第10世代iPadに対応するモデルは売られていないが、ぜひ早く商品化してほしい。Apple Pencilを収納して一緒に持ち運べるホルダーもあれば完璧だ。