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 バスには登録番号(いわゆるナンバープレート)の他に、自社や自局独自の番号(社番・局番)が付いているものも多い。これには何の意味があるのだろうか。いくつかピックアップしてみたので、バスマニアにもそうでない方にも、バスに乗るときのちょっとしたウンチクとして楽しんでいただければ幸いだ。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


バス会社や交通局によってつけ方のルールは異なる

 パスの車両番号は社番とも言われ、バス会社(交通局/以下、社局)によって独自に決められているので、記号や数字の桁数も多岐にわたる。それゆえ、得られる情報も社局により異なる。すべてを網羅することはできないので、いくつかの社局を例に取り上げる。

 ナンバープレートの数字部分をそのまま社番に転用しているケースもあれば、それに記号を加えて営業所を表示するケースもある。あるいはまったく違った独自の付番ルールを採用している社局もあり分かれば面白い。

JRグループの前身は国鉄バスなので……

 JRグループのバス会社8社は、その起源を国鉄バスに持つので当初は国鉄の番号(車両称号という)のルールを踏襲していた。しかしその内容が時代にそぐわなくなり、各社保有の車両整理上、不都合を生じることが多くなったために付番ルールは国鉄っぽい形式にはなっているが各社で意味が異なる部分がある。

ジェイアール東海バスの例(744-09991)

 基本となる国鉄バスの付番は3桁の数字-4桁の数字からなっていた。1桁目は国鉄が定めた車種でマイクロバスから貨物車(トラック)まで1-0が割り当てられていた。

 2桁目は形式で目的により旅客車(座席の形状により1-4)、貨物車(荷台や機関の形式により1-7)が割り当てられていた。3桁目はメーカーで、この場合のメーカーとはシャシーメーカー(エンジンや骨組み)のことを指す。

 ハイフンの後の4桁数字の1桁目は西暦年の下1桁だった。2桁目は車両の装備で冷房とエアサスの有無により決められていた。3-4桁目はその車両固有の一連番号だった。

 よって744-7902という例では国鉄専用形式の高速車・リクライニングシート・三菱ふそう製・1997年式・冷房付エアサス車の2番目に導入された車両ということになる。非常に多くの情報が得られるのが国鉄の車両称号だった。

ジェイアールバス関東

 ジェイアールバス関東では民営化後に国鉄の付番ルールを踏襲しつつも時代に合わなくなった部分を変更した。形式としてはアルファベット1文字+3桁の数字-5桁の数字だ。

 最初のアルファベットは床の高さを表す。LMHSDOの各文字が使われ、それぞれ低床、標準床、ハイデッカー、スーパーハイデッカー、ダブルデッカー、その他を表現する。

ジェイアールバス関東のH658-04416

 数字1桁目は車種だが小型は1、路線車の長さにより2-5、観光・高速車は6、その他の特殊用途は7と定義される。2桁目は座席の形式とトイレの有無で1-7が割り当てられる。3列リクライニングシートでトイレ付きの場合は7だ。

 面白いのは、日本では現在は運行が許可されていない寝台席も8として定義していることだ。

 3桁目はシャシーメーカーで1がいすゞ、4が三菱ふそう、7が日野で8が日産ディーゼル、0がその他だ。年式はハイフン後で西暦下2桁で表示される。

 次は扉とサスペンションの組み合わせで1-6が定義されている。代表的な高速バスで使用されるトップドア・エアサス車は4だ。最後の2桁は車両固有の一連番号だ。

これが東京都交通局の場合となると……

 複雑だが多くの情報を得られるJRグループとは異なり、都営バスは覚えれば非常にわかりやすい。形式は1文字のアルファベット-1文字のアルファベット、3桁の数字+カッコ書きで営業所名だ。

 最初のアルファベット1文字は所属している営業所または支所が割り当てられている。現在は19営業所・支所が該当するものの車両側面を見れば漢字で書いているので知らなくても問題はない。

東京都交通局のJ-E527

 ハイフン後のアルファベットは導入年度を表現する。東京五輪で大量導入された2021年度はGである。よって2022年度はHということになる。

 識別がしにくいIとOとQ、それに割り当て実績がないJとUを除く21文字が順番に当該年度に割り当てられるので、1周すると21年になり、都営バスでは車齢21年というバスはほぼないので番号に重複はない。

 現在のところ2005年度導入のN代がわずかに残り、2022年度導入のH代までが活躍している。3桁の数字のうち百の位は用途により割り当てられ、下2桁は一連番号だ。カッコ書きの営業所名は見たままで、最初のアルファベットに対応している。

あの西日本鉄道はメーカー縛り!?

 長くなってきたので、最後にみんな大好き西鉄グループの付番ルールだ。西鉄は非常にシンプルで営業所略号と4桁の数字のみだ。最初の1桁目でシャシーメーカーを表し、下3桁が一連番号だ。

 所属営業所名は番号の前に丸印の中に漢字やカナの略が入ることで表現する。基本的にグループ内の他社に車両が転属しても、丸印の営業所表示が変わるだけで番号は変わらない。

西鉄バス北九州の小倉営業所3337

 西鉄は以前はバス車体製造メーカーである西日本車体工業をグループ内に持っていて、自社でバスを製造していた。そして末期は日産ディーゼルの指定車体になったことから西鉄では日産ディーゼル車の採用が極端に多くなった。

 当初は最初の1桁目の数字が1・2がいすゞ、3・4が三菱ふそう、5・6が日産ディーゼル、7・8が日野と定義されていた。しかし日産ディーゼル車が多くなり9も割り当てて対応した。

 現在では日産ディーゼルが国内向けにバスを製造していないため、当該番号を輸入車に割り当てたり、マイクロバスに割り当てていた0を連節車やはかた号専用車(0001と0002)に割り当てたりと、若干の例外はあるが概ねこの付番で問題なく識別ができる。

詳しくは最寄りのバスマニアへ!

 ややマニアックな内容となり恐縮だが、お住いの地元を走るよく利用するバスの社局の付番ルールを覚えるだけであれば、そんなに難しいことではない。

 これを知って何か得するわけでもないのだが、ターミナルでのバス待ちの暇つぶしにでも使っていただければ幸いだ。調べてもどうしてもわからなければ、お近くのバスマニアなどにお尋ねいただければ、懇切丁寧に教えてくれるはず(?)だ。

投稿 バスに記されている車両番号(社番)にはどんな意味はある?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。