目立つ存在ではないけど、代わりになるモデルが存在せず、確かな実力を持った日本車を改めてクローズアップしようじゃないか。決して派手ではないけど、キラリと光った存在感を放っている日本車たちを岡本幸一郎氏が5台選んでみた。
本文/岡本幸一郎、写真/ベストカー編集部
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■日本の「MINI」になれるホンダN-ONE
こんなにかわいいデザインのクルマがいつでもふつうに買えて、しかも完成度が極めて高いというのはいかにありがたいことか、もっとみんな気づくべきだ!
それにしてもこのデザインは本当に秀逸で、目にするたびにホッコリした気分になれる。小さいながら存在感もあるし、老若男女問わず誰が乗っても絵になるし、時間がたってもぜんぜん古く見えない。
一時は消滅もウワサされたところ、なんとかフルモデルチェンジにこぎつけて、それももともと好評だったデザインを守るべく外板パネルを初代から流用という前代未聞の手法を取ったことにも驚いたが、おかげで見た目はそのままで中身は最新という、N-ONEファンにとっては願ってもないクルマになった。さらに、のちに待望のMTモデルが仲間に加わったのも大歓迎だ。
上手くやれば、「日本のMINI」になれる逸材だと思う。たとえ数は売れなくても、今後もずっと存続してくれるよう願うばかりだ。
■4WDのPHEVを兄弟分よりリーズナブルに味わえる三菱エクリプスクロス
インパクト満点の兄貴分のアウトランダーの陰に隠れているが、実力はピカイチ!
注目は何といっても、三菱が誇るPHEVだ。登場して間もない2021年の冬に散々乗って、舗装路から雪上まで本当に意のままに走れることに感銘を受けた。
その後に出たアウトランダーがさらに上を行っていたわけだけど、それに近い価値をよりリーズナブルに味わえることをあらためて強調しておきたい。
実は先日、2台を乗り比べる機会があって、アウトランダーの速さと制御の巧みさに大いに感心するとともに、エクリプスクロスも走りのダイレクト感とすべて手の内にある感覚をあらためて見直した次第だ。
三菱らしい迫力あるフロントフェイスにクーペライクなフォルムと鋭いキャラクターラインを組み合わせたルックスもなかなか印象深い。こんなカタチでも後席や荷室の広さが充分に確保されているあたりの配慮もありがたい。
アウトランダーだと大きすぎて、これくらいのサイズがいいという人や、このデザインが好みという人にとって、大いに選ぶ価値のある1台だ。
■デザインもパワートレーンも個性的なマツダMX-30
CXシリーズだけじゃない! マツダにはこんなユニークなSUVがあることもお忘れなく。共通性の高いCX-30もなかなかオシャレなのはご存じのとおりだが、MX-30はぜんぜん違う個性が与えられていて興味深い。
なかでも往年のRX-8のノウハウを活かした観音開きの「フリースタイルドア」が特徴であることは言うまでもなし。世界中どこを探してもこんなユニークなクルマは心当たりがない。
デザインに加えてパワーソースがユニークなのもMX-30なればこそ。量販のガソリン+マイルドハイブリッドに加えて、すでに純BEV仕様もラインナップされているほか、そう遠くないうちに加わる見込みのロータリーのレンジエクステンダーを組み合わせた仕様も楽しみでしょうがない。
足回りも、それまでのマツダ車はやや硬いものが多く見受けられたところ、MX-30はしなやかで動きが素直で掴みやすく、より気持ちよく快適に走れるところもポイントのひとつだ。
なお最近、改良で「ヒューマン・モダン」を体現する新グレードが加わるとともに、マルチトーンのボディカラーが新たに設定されたことや、EVモデルに待望のV2H機能が追加されたこともお伝えしておこう。
■乗ればそのよさが実感できる日産キックス
キックスと聞いて、どんなクルマかパッと思い浮かばない人や、いまだにパジェロミニのOEM版を想起する人が自動車メディア関係者でも少なくないことには少々驚いているところだが……(笑)、これまた乗ると本当によくできていて感心する。
なにせ日本に導入するにあたり、車体剛性から足回りから何から何まで一式できるかぎり手を入れたらしく、それだけのことはある仕上がりだ。
日本向けはe-POWERのみとされたおかげで、このクラスではほかにはない瞬発力のある走りを誰でも味わえるのも大きな魅力。もちろん、同じく日産お得意のプロパイロットも付いている。さらには、ふつうに選べる上級グレードでもインテリアの仕立てにけっこう力が入っていて感心する。
2022年夏のマイナーチェンジでさらに洗練されて、やや硬めだった乗り心地が快適になり、もともとよかった走りにさらに磨きがかかるとともに、発売当初から望む声が小さくなかった、e-POWER 4WDがラインナップに加わった。これまた完成度はバツグンに高い。
ところで、日産にはデザインの際立つジュークというコンパクトSUVもあって、現行の2代目も海外では販売されているわけだが、後席や荷室はキックスのほうが広く、それでいて全幅が小さい(キックス=1760mm、ジューク=1800mm)ほうが日本では好まれることから、日本にはキックスが導入されたという経緯がある。
■軽オープンスポーツとして小気味いいダイハツコペン
現行型になってだいぶ時間が経過しながらもコンスタントに一定数が売れているのは、それだけこのクルマに期待する人がいるからにほかならない。
4つの個性が選べるコンパクトな2シーターのオープンカーで、ワンタッチで電動開閉できるアクティブトップという軽自動車としては望外な装備を身につけているのもポイントだ。
さらに、RECARO、MOMO、BBS、ビルシュタインといった名門のアイテムが標準装備されるSグレードが選べるのも心くすぐられる。
走りを突き詰めた性格のクルマではないとはいえ、軽自動車で最強クラスのターボエンジンは充分に力強く、ヒップポイントが低くてスポーティなドライビングポジションに、小さくて軽い強みをより生かすようチューニングされた足回りにより、小気味のよいハンドリングを楽しめる。
のちに加わった「GR SPORT」の特別感のある内外装や、前出のSグレードとは異質の、しなやかさを極めた意のままの走り味もまた一興だ。
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