音もなく突き進む圧倒的な走破性はある意味で究極のミルスペックか!?
2021年のアメリカにおけるEV新車登録は約40万台。数字でいえば日本の約20倍だが、実は新車販売全体からすればわずか3%にすぎない。しかも、過半数の台数を稼いでいるのは温暖化ガス規制が厳しいカリフォルニア州で、実は他の州では過疎状態なのだ。
こうした状況下で、わずかに光明を見出せるのがピックアップトラックのEV版だ。いうまでもなく、アメリカでこの車型はベストセラーで、フォードF150を筆頭に年間210万台以上を販売。すでに、そのEVセグメントにはテスラをはじめフォード・ライトニング、シボレー・シルバラードなどが参入している。そして今回紹介するハマーは、かつてアーノルド・シュワルツネッガーのマイカーとして名を馳せていたモデルだが、「アイ・アム・バック!」といわんばかりに、電気エネルギーを得ての再登場となった。
【写真12枚】3モーターで最高出力1000馬力&最大トルク1000Nmの超ド級スペックを発揮する『ハマーEV』の詳細を写真で見る
SUT(スポーツユーティリティトラック)と名づけられたハマーEVの全長は5.5m、全幅は2.2m、全高は2.1mで、旧型のH2よりもひと回り大きく、GM製となるスケートボードタイプのEVプラットフォーム上に構築。前後オーバーハングを極端に切り詰めたプロフィールはいかにもハマーらしいが、フロントの巨大なクロームグリルは「HUMMER」の文字が横一線に並ぶLEDライトに代わり、SF映画に登場する惑星探索車のような趣だ。
2階に這い上がるかのようなコクピットにはふたつの大型スクリーンが並び、フラットなフロアのキャビン内は、大人5名でもゆとりは十分。インフィニティルーフと名付けられた広大なガラスルーフが、まるでオープンカーのような開放感をもたらしてくれる。
3基のモーターによる最高出力1000ps、最大トルク1000+αNmがもたらす0→60マイル加速はわずか3秒で、隣に並んだスーパーカーに後塵を浴びせることも可能。もちろん、お家芸の悪路走破性も万全で、エアサスで車高を15cm持ち上げれば、たいていの地形なら涼しい顔でクリアしてしまうはずだ。そう、ハマーEVはハイパーカーとクロスカントリーカーの両面を合わせ持つのだ。
こうした高性能を手に入れるにはそれなりの対価が必要で、車両価格は12万ドル(約1750万円)。さらに、エネルギー消費量(電費)は1.5マイル/kWh(41kWh/100km)と、コンパクトBEVのおよそ2倍に相当するのだ!
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