日産は2022年7月20日にエクストレイルのフルモデルチェンジを発表した。受注のペースは過去最高を記録する勢いだという。
先代までの「タフ」と「先進性」をそのままに上質さを加えた新型は「e-POWER×VCターボ×e-4ORCE」搭載と、最新技術も満載。そんな新型エクストレイルの実力に自動車評論家、清水草一が迫る。
●新型エクストレイル進化のPOINT
・初代、2代目の「タフ」、3代目の「先進性」に「上質」をプラス
・第2世代e-POWER×VCターボ×e-4ORCEの組み合わせは日本からスタート
・とにかく静かで乗り心地よし! 静粛性も高い!
※本稿は2022年9月のものです。試乗日:9月7日
文/清水草一、写真/NISSAN、ベストカー編集部 ほか、撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』2022年10月26日号
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■受注1万7000台超えの超人気SUV「エクストレイル」
新型エクストレイルの受注が絶好調だ。
すでに1万7000台に達しており(編集部註:記事執筆時点)、歴代エクストレイル中、最速のペースだという。しかも、売れ筋は最上位グレードの「G e-4ORCE」。
お値段449万9000円、ナビなどオプションを付ければ総額500万円を超える。そんな高いクルマがバカバカ売れるなんてスゲー!
新型エクストレイルはデザインがイマイチだ(私見です)。
ジュークの流れを汲む異形4灯のフロントフェイスは、どう見ても複雑すぎてバランスが悪い。
でも、売れてるってことは、顔も好評なのだろう。スイマセン。
最も興味を持っていたのは、日本初投入のVC(可変圧縮比)ターボエンジンだ。
黒子役(発電機)とは言え、エンジンマニアとしては見逃せない。
大人気のe-POWERが4WD化され、e-4ORCEとされたことと合わせ、仕上がりはどうなのか!?
■VCターボ+e-POWERで静かさと気持ちいい加速を実現
走り出してまず感じるのは、乗り心地の上質感だ。
小さな振動はすべてサスが吸収しつつ、しっかりスポーティ。これはスバラシイ……。乗り心地に関してはクラス随一ではないかっ!
加速のほうは、まさにe-POWER。
EVそのものの力強いトルクにより、アクセルの踏み込みにダイレクトに反応する。気持ちe~!
ただ、アクセルを床まで踏み付けた時の加速感は、「従来のe-POWERの2.5倍のトルク!」というほどまでの差は感じなかった。
おそらくそういう制御なのだろう。それでも充分速いですが……。
発電機役の1.5リッターVCターボは驚くほど静かで、始動がほとんどわからない。
従来のe-POWERは、どうしてもややチープなエンジン音が聞こえたが、VCターボ化によるトルクの向上や静音化が効いているらしく、エクストレイルは断然高級! 乗り心地も高級! インテリアも高級!
降りて顔を見ないかぎり高級づくし!(スイマセン)
で、e-4ORCEの乗り味はというと、こっちは公道をフツーに走ったくらいじゃ、あんまりわかりません。
コーナーでは左右トルク配分によってグイグイ曲がるというのも、公道では「若干曲がりやすいかも」程度。あんまり曲がりすぎるとキケンですからね。
ということで新型エクストレイルは、極めて上質なSUVでありました!
●日産 エクストレイル(G e-4ORCE)主要諸元
・全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
・ホイールベース:2705mm
・最低地上高:185mm
・車両重量:1880kg
・エンジン:直3 DOHC+VCターボ
・総排気量:1497cc
・エンジン最高出力:144ps/4400-5000rpm
・エンジン最大トルク:25.5kgm/2400-4000rpm
・フロントモーター出力:204ps/33.7kgm
・リアモーター出力:136ps/19.9kgm
・WLTCモード燃費:18.4km/L
■清水草一による「ひと言」判定! 新型エクストレイルvs強力ライバル
●VS トヨタ ハリアー
ルックスは都会的でエレガントなハリアーの圧勝。インテリアもエクストレイルといい勝負だ。ハリアーは2Lガソリンなら299万円から買える点も有利。
ただしハリアーは、2.5Lハイブリッドを含め、走りのダイレクト感に関しては、エクストレイルに完敗している。
一般受けのハリアー、マニア受けのエクストレイルと言ったところだろうか。
●VS トヨタ RAV4
RAV4も2Lガソリンなら277万円から。最安で320万円(e-POWERのFF)のエクストレイルは、価格面での競争をある程度捨て、先進性で勝負しているのだろう。
RAV4は「アドベンチャー」グレード等でタフさを強調しているが、それに関してはe-4ORCEのエクストレイルが、メカのホンモノ感で上回っている。
安さのRAV4、気合のエクストレイルだ。
●VS マツダ CX-60
サイズはCX-60のほうがだいぶデカく、見た目の押し出しやデザインの質感で圧勝。しかし乗り心地となればエクストレイルの完勝だ。
メカは、e-4ORCEという超先進的ハイブリッドで攻めるエクストレイルに対して、CX-60は古典的なサウンドを奏でる直6ディーゼルターボ+マイルドハイブリッド。性格が180度違う。まさに未来対古典。好みで選んでネ!
【番外コラム】エクストレイル「AUTECH」にも乗った!
エクストレイルなら「オーテック」もアリだ。フロントグリルはドットパターンに変更され、スポーティさを演出するメタル調フィニッシュパーツを前後左右に装着。インテリア含め全体に落ち着いた大人のイメージとなっている。
ホイールは、ノーマルの18インチ(S、X)から20インチへ2インチアップ。タイヤはミシュランプライマシー4。インチアップしても乗り心地は極上のままなのがスゲエ。価格はノーマルより50万円ほどアップでありますが、オーテック、アリです。(清水草一)
●日産 エクストレイル AUTECH 価格:420万5300~504万6800円
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