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 EVやPHEVを購入する際の補助金、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(CEV補助金)が例年にないペースで予算が消化されている。予算残高は2022年10月24日現在で約46億円となっており、経済産業省はEV販売の後押しをするため、引き続き予算を確保するとみられているのだが、果たしてどうか。国沢光宏氏がその見通しをレポートする。

本文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、トヨタ、レクサス

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■週10億円のペースで補助金が減っていく……

経産省の発表では10月24日現在、EVなどへの「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の残りは約46億円となっている

 電気自動車に対する補助金の「売り切れ」が迫っている。ここにきて補助金を管轄する「次世代自動車振興センター」(以下、NEVと略)は毎週補助金の残額を発表し始めた。

 それによれば、2022年10月11日に65億円。同月17日は55億円、同24日に46億円といった具合。1週間で10億円のペースで減っていくと、終了するのは11月16日あたりになりそう。終了したらどうなるのか?

 当初、経産省は「オシマイです」という姿勢だった。つまり、2023年度の予算が付く2023年4月までお休みということ。それに対し、「環境対策をやる気あるのか?」という声がたくさん上がっている。

 そりゃそうだ。2022年4月からスタートして8カ月で終わっちゃうような予算を組むこと自体、ありえない! というか”予想能力ゼロ”という無能さを世界にアピールするようなもの。

 本来なら1年で使い切るくらいの予算を組まないと、電気自動車なんか季節商品になってしまい、買えないです。そもそもギャンブルじゃないんだから、そういった施策は役所としちゃ最低。

■現在の国内EVシェアはたった2%!

日産SAKURAなどの軽自動車を含め、続々とEVが登場したことで補助金の予算がかなりのペースで消化されてきているのが現状だ

 もっと言えば、ホンキで二酸化炭素の削減を考えているのかってことです。電気自動車の普及は移動分野における二酸化炭素排出量を減らすための一丁目一番地。ここから取り組まなくちゃならない。

 こう書くと、「電気は火力発電所で作っている」みたいなトンチンカンな意見も出てくる。現在の我が国の電気自動車販売シェアは2%にも満たない。一方、7年後の2030年に2013年比で二酸化炭素排出量を46%削減すると国際公約した。

 2030年に電気自動車の販売シェアを46%にしても全体の自動者数からすればまったく足りない。2022年から電気自動車を可能なかぎり増やす必要がある。

 そのうえで二酸化炭素を出さない電力を増やす努力を最大減行えばよろしい。7年あれば電気自動車とセットで家庭用太陽光発電に補助金を出して増やすことで、電気自動車を走らせる分くらいの電力は作れる。

 いずれにしろ電気自動車の販売シェアが2%だとまったくお話にならない。欧州は10%超え。アメリカだって今年は5%程度になると言われている(カリフォルニア州などは10%近い)。

■2022年11月に補正予算発表か?

トヨタのbZ4XはサブスクリプションのKINTOのみでの扱いとなっているが、立て続けにEVのニューモデルが登場した2022年、補助金の残りはあとわずか

 当然ながら「何をやってんだ!」という強い反発を経産省も受けているそうな。NEVには9月あたりから問い合わせも殺到しているという。そんな意見を受け、どうやら補正予算案を考えているようだ。

 内容は「2022年度の補助金と基本的に同じ」。つまり、補助金が売り切れても2023年3月まで同じだけの補助金を付けます、ということ。私の探りだと90%くらいの可能性。

 おそらく11月に入ってすぐくらいのタイミングで発表されると予想しておく。気になるのはシームレスなのか、それともタイムラグがあるのか、という点。補助金が売り切れたらすぐ補正予算になるのか、それとも少し間が空くのか、ということ。

 今までの例を見ると、「空白の何日か」みたいなケースも珍しくない。予算を成立させる技術的な問題によるもの。隙間に落ち込むと悔しい。

 一方、現場はすでに大混乱に陥りつつある。補助金の申請をしてから受け付けられるまで1カ月近いタイムラグがあるとも言われており、11月に入ってからだと微妙。「補助金が出なかったらどうするんだ」という声もディーラーは受けている。

 たまたま納期が遅れた、みたいな人だと怒りの対象は完全にディーラーとなってしまう。いくつかのディーラーに聞いたら「値引きで対応するしかないです」。

■補正予算がない場合は登録を2023年4月まで待つべし!

補助金が延長されるかどうか、ブランクが空くのか、販売好調なアウトランダーPHEVを購入する場合にも影響は大きく出る

 もちろん良心的なディーラーばかりじゃない。その場合、登録を伸ばしてもらうしかないと思う。2022年度の補正予算がなくても2023年度の補助金は間違いない。5カ月待つだけで確実に受け取れる。

 電気自動車にかぎらずPHVなども同じ。少なからぬ補助金が出るのだから、使わないと損。もちろん、購入の契約をした時に「補助金が出なくでも買う」と約束しているならダメですが。

 参考までに書いておくと、東京都の電池自動車助成金(個人だと60万円)はまだ予算を残しており、終了時期のアナウンスはなし。経産省も東京都くらいしっかりした予算を組んで欲しい。

 とにかく国際公約を守るためには今から電気自動車を増やしていき、2023年には全乗用車の20%くらいを電気自動車にしなくちゃならない。今のペースだとまったく間に合いません。

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