本誌『ベストカー』にて、毎号技術系の最新情報や気になる話題をお届けしている「近未来新聞」。
今回は、ホンダと無印良品が中国でコラボ(なぜ日本でやらんのかい)!? 北九州の小さなバスメーカーの挑戦、車検ステッカーを貼る位置が変わる…? などの話題をお届けします!
※本稿は2022年7月のものです
文/角田伸幸、写真/新大洲ホンダ、AdobeStock、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年8月26日号『近未来新聞』より
【画像ギャラリー】時短チェック! 日々変わりゆくクルマ界の最先端技術の最新情報6つ(7枚)画像ギャラリー
■なぜ日本でやらないの!? ホンダと無印のコラボEVバイク
ホンダの中国合弁企業「新大洲ホンダ」と無印良品が、オシャレな電動バイクを作った。バイクといってもペダルがあるから「モペット」か。電源をONにすれば電動バイクとして使え、ペダルを漕げば(あるいはバッテリー切れの時は)自転車になる。
製品名は「素-MS01」。モビルスーツみたいな名前だが、デザインを無印良品、メカニズムを新大州ホンダが担当した。「素」とあるとおり外観は素材感にあふれ、実にカッコいい。容量は不明だが48Vのリチウムイオン式電池を積み、モーター出力は0.4kW、最高速度は25km/hが可能だそうだ。
このMS01、しかも価格が4980元(約10万円)というからそそられる。中国ではネットを通じて限定5000台が予約販売されたが、あれよあれよという間に完売したというのも納得だ。
それにしても日本にいる我々は、指をくわえてMS01を見ているしかないのか。ホンダと無印には、ぜひ日本導入も考えてほしい。
折しも道交法が改正され、まもなく電動キックボード(特定小型原付)が16歳以上に開放される。この市場にMS01を投入すれば注目されること間違いなし。車輪の小さいキックボードより安心感も高いはず。クラウドファンディングでもいいからぜひ!
■最小のバスメーカー? 北九州新興企業の挑戦
自動車メーカーというと大企業を想像するが、電動化の波はその常識を覆しつつある。すでにAFSやフォロフライといったベンチャー企業が、物流向けの電気自動車を手掛けているが、北九州に本社を置く「EVモーターズ・ジャパン(EVMJ)」からも目が離せない。
この会社、日本製鉄関連のエンジニアだった佐藤裕之氏が2019年に創業した。現在は社員数十人を抱え、中国で委託生産したEVバスや小型モビリティなどを販売している。
その技術力に惚れ込んだ西日本鉄道や住友商事が出資に乗り出し、10億円の資金調達に成功。これに借入金も加えて来年、北九州市にEVバスの製造工場を建ててしまうというのだ。新たな日本製バスメーカーの誕生と言えそうだ。
EVMJは単にEVの開発に長けているだけでなく、車両の特性や電費を決定づけるインバーターの制御や回生システムに独自の技術を持つ。
例えば、同社が手掛ける「F8」。長寿命で軽いFRP・アルミハニカムのボディを採用し、低床・フルフラットを実現したコミュニティバスなのだが、全長6990mmの29人乗りという仕様は、日野自動車のポンチョEVとガチのライバル。
一見ブランド力の高い日野ポンチョに軍配が上がりそうだが、F8は航続距離が優れており(60km/h定速で290km)、これがバス会社などにとって魅力ある要素に映るようだ。
実際、この点が評価されて今年4月には沖縄の那覇バスが2台を導入した。F8はすでに那覇市内の移動の足として活躍している。
EVMJは2025年の大阪万博でも、自社のEVバスが採用されることをめざしているとのこと。北九州工場が完成すれば生産効率も高まるだけに、ぜひとも夢を実現してほしい。
■大型車の燃料電池搭載 ボルボ・トラックスも
日本が優位に立つ燃料電池技術だが、大型トラックの分野では海外勢も負けてない。すでにヒョンデが世界初のFCVトラック「エクシェント」を発表ずみだが、これに続けとダイムラー・トラックやVW傘下のMANが実証実験を進めている。
今回その輪に加わったのは、ボルボ・トラックス。発電量150kWの燃料電池スタックを2基搭載し、航続距離1000kmを誇る試作車を公開した。水素タンクの容量は非公開だが、15分以内で補充が完了するというから、BEVに比べるとはるかに柔軟な運用体制が期待できそう。
ちなみにボルボ・トラックスは2021年にダイムラー・トラックと燃料電池分野で提携しており、燃料電池ユニットを製造する会社「セルセントリック」を共同で立ち上げている。今回ボルボが使うユニットもセルセントリック製だが、将来はこのユニットを他社に向けて外販する構想もあるようだ。
ボルボのFCVトラックだが、2025年までには実証実験を終え、2020年代後半に市販する予定とのこと。
大型車に向くという燃料電池だが課題もある。水素充填設備の不足や、CO2を発生させない水素生成法の確立などだ。また2030年代には電池のエネルギー密度が高まり、大型トラックもBEV化するという声もある。日本にも分がある領域だけに、ブレークスルーを期待したい。
■そのほかの近未来系ニュースを20秒でチェック
●希少な小型EVトラックとして注目を集める「ELEMO(エレモ)」が、国のCEV補助金の対象になった。小型車のエレモ200なら55万円、軽自動車のエレモKなら給電機能付きで41〜44万3000円が補助される。軽仕様でも267万3000円〜というエレモにとっては心強い支援策だ。
一方、サクラ/eKクロスEVのヒットで補助金の使い切りは早まりそう。エレモが気になっている人は急いだほうがいいかも。
●クルマのフロントウィンドウに貼られる車検ステッカー。これまでは実施要領でルームミラーの裏側に貼られることが多かったが、この位置が見直されそうだ。
「ステッカーが見にくくて車検時期を見落とす人が多い」というのがその理由だが、今度は運転席側の上隅、Aピラー脇へ引っ越しとなる案が有力だ。
最近は、ADAS用のカメラやドラレコでルームミラー裏がゴチャゴチャしがちなだけに悪くないと思うが、そもそも車検ステッカーって目がいかない。声でお知らせとかしてくれないだろうか。
●中国CATLが発表した第3世代電池パックが話題を呼んでいる。いわゆる三元系リチウムイオンなのだが、セル配列や冷却を見直すことでエネルギー密度や充電効率を高め、高性能の指標でもあるテスラの「4680電池」を上回る性能を達成したという。
搭載車種などはまだ決まっていないようだが、EVの悲願でもある「航続距離1000km」に一役買いそうだ。
【画像ギャラリー】時短チェック! 日々変わりゆくクルマ界の最先端技術の最新情報6つ(7枚)画像ギャラリー
投稿 なぜ日本でやらない!? ホンダと無印良品のコラボEVバイク爆誕 ほかクルマ界最新ニュース6選 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。