9月25日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで2022年MotoGP第16戦日本GPの決勝レースが行われた。MotoGPクラスは中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が怪我のなかでも見事完走を見せた。そして5人のライダーがリタイア、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)はトラブルに見舞われたが選手のコメントを交えて気持ちや原因をお届けする。
■アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)
6番グリッドだったが、ウォームアップラップで頭を抱えてピットに戻ったアレイシ・エスパルガロ。もう1台のマシンを乗り換えて最後尾からレースを戦った。乗り換えの際は大急ぎで飛び降りたため1台目のマシンを倒していたが……。
原因はバイクの電子的なものだった。ピットからグリッドにつく、サイティングラップで使用されるエコノミーモードの燃料マップが入ったままになり、100km/h以下の速度でしか走行ができなかったという。
これはハンドルのスイッチ類で変更するものではなく、チームスタッフが事前にモードを選択する必要があったためバイクを変更する必要があった。
■長島哲太(HRC Team)
10周目、2コーナーで転倒を喫した長島。マシンを起こして再スタートを試みたがレースに復帰することはできずに初のMotoGPをリタイアで終えた。
「自分のミスです。レギュラーライダーと走るなかで、走り方を変えないといけなくて、レース中に(違う)走り方を試していたら、リヤが抜けて……(転倒した)」
しかし、最高峰のレースを戦い「すばらしい経験になりました。夢のひとつが叶いました」とコメントした。
■津田拓也(チーム・スズキ・エクスター)
12周目にマシンの下部、アンダーカウル付近から火が上がった。オイル漏れが発生してしまい、エキゾーストに付着したことで火災が発生した。
津田はすぐにコースサイドにマシンを止めてリタイアしたことで、コースにオイルが出ることはなく赤旗中断にはならなかった。装備品にダメージを負ったが、津田に火傷はなかったという。
「エンジンに何かおかしな感触があったので、注意深く走行をしていました。突然エンジンのパワーが落ちたと思ったら今度は火が出たので、すぐにマシンをコース外に止めました」
「この結果はとても残念です」というが、「今回の代役参戦は自分にとって本当に良い経験となりました。このような素晴らしい環境で走れるチャンスを頂けて感謝の気持ちでいっぱいです」と今年でMotoGPの参戦を終了するスズキに感謝した。
■ダリン・ビンダー(WithUヤマハRNF・MotoGPチーム)
14周目に9コーナー(V字コーナー)で転倒。再スタートしたが、ピットに戻ってリタイアした。
「好スタートを決め、リズム良く走っていたんだ。カル(・クラッチロー)に抜かれたあと、彼のペースがとても良かったから、ついて行こうとしたけど、14ラップ目で転倒してレースが終わってしまった。悔しい結果だよ」
■アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)
オープニングラップを11番手で終えたが、徐々にポジションを落として14周目には21番手に。その翌周にピットに入ってリタイアを決めた。
「3コーナーに差し掛かったとき、アウトサイドから何人かのライダーを抜きにかかった。その時にゼブラゾーンに乗ってしまったんだけど、それからフロント周りのフィーリングがおかしくなっていったんだ」とリンス。
「空気が少しずつ抜けていくような感触があって、最後にはどのコーナーでも転びそうになってしまったからピットインを決めたんだ」
レース後にチームのクルーが確認したところ、レース序盤にゼブラゾーンでハードブレーキングをした際にホイールのリムが曲がってしまい、エアーが漏れてスローパンクチャーに見舞われたことが原因であるとわかった。
■フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)
最終ラップに3コーナーでクラッシュしたバニャイア。ファビオ・クアルタラロに追いつき8位を狙ったが、オーバーテイクしようとしたときにミスを冒したという。
「転倒は僕のミスによるものだ。午前のウォームアップ走行と比べて、マシンのフィーリングが悪く、ファビオをオーバーテイクしようとしてリスクを負いすぎた」
「もし、彼をオーバーテイクできれば、ビニャーレスのミスを誘ってさらに順位を上げることができるかもしれないと思っていた。いずれにしても、今回のミスを反省したい」
■中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)
前戦アラゴンGPで右手の小指と薬指に大怪我を負い、状態が悪化しているなか、母国グランプリだからと、多くの日本人ファンのために無理してまで参戦した中上。なんとか20位で完走して見せた。
「3年ぶりに開催されたホームGPは、すばらしい週末でした。もちろん、結果は求めていたものではありませんが、もてぎに足を運んでくれたファンに本当に感謝したいです」
「僕にとっては間違いなく今シーズン最高の週末でした。ファンとチームに感謝しています。できるだけ早く回復して、いつものようにマシンに乗れるようになることを願っています。また来年、お会いしましょう!」