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 スーパーGT第7戦オートポリスの予選日、午前中の専有走行時に陣営内でランキング最上位、5位の17号車Astemo NSX-GTがクラッシュして不穏なスタートとなったホンダ陣営。それでも17号車はエンジンより前の冷却系が破損してすべて交換するという大修復を経て予選に間に合うと、アライメントも取れていない状況ながらQ1突破。そして、ランキング8位でこのオートポリスで大量得点を稼がなければチャンピオン候補から外れてしまう100号車STANLEY NSX-GTが2番手を獲得するなど、ホンダ陣営は4台がQ2に残るという、好結果を残した。

 予選Q2を担当して見事、2番手を獲得した100号車の牧野任祐だったが、予選直後の表情に笑顔はなく、最初に口から出たのは、悔しさを滲ませる言葉だった。

「アタック自体は良かったのはよかったですけど、ただちょっと最近の僕らの傾向というか、セクター1、セクター2がよくて、セクター3でちょっとタイヤのグリップがもたないというか、ちょっと足りない部分があった。今回も特にオートポリスなのでそうなりやすいなと思っていろいろ考えてやったつもりなんですけど、実際、セクター3でちょっと足りなかったです」

 その背景には、前回2週間前のSUGOの決勝でスタート直後から順位を上げ、トップ争いに持ち込んだところで雨が降り、優勝のチャンスを逃してしまったという悔しい記憶が残っている。

「(SUGOは)ドライのままだったら、たぶん優勝争いができていた。ウェットは正直、ミシュランの強さには太刀打ちできなかったというのが本音だと思います。そういった意味では明日の天気は大丈夫だと思うので、アタック自体は個人的にはやれることはやったし、2番手は悪くないので、またオートポリスでは難しいレースになると思うんですけど、明日絶対勝てるように、しっかり戦い抜きたいなと思います」

 後にもう一度、チャンピオン争いについて聞くと、「もう勝つしかないと思うので。もう、それ以外はいらないのでしっかり勝てるように頑張りたいと思います」と、牧野の眼差しは強いままだった。

2022年スーパーGT第7戦オートポリス予選日
チームスタッフと予選2番手を喜ぶ牧野任祐

 

 ホンダ陣営の5台中4台がQ2進出を果たして、オートポリスとの相性のよさを見せた一方、気になるのがポール候補に挙げられていた16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTの失速だ。

 実際、走りはじめの午前フリー走行では大湯都史樹がトップタイムをマークしていたが、予選Q1を担当した笹原右京がまさかの11番手でQ1ノックアウト。予選後はエンジニアとしばらく原因を探っていたようで、その状況を田中洋克監督に聞いた。

「クルマのバランスも良く、グリップも午前中よりもしっかり得られていて、本人(笹原)はもう走り終わったときに『予選Q1は通った』という感覚でピットに帰ってくるきていました。そこで無線で『ポジションいくつ?』って聞いてきて、『11位』と言ったら『嘘!?』と」

「やはり、バランスがいいといってもやっぱり低いレベルのバランスだったんだろうなというのは結果を見て思っています。レースでもたまにありますが、クルマのフィーリングはいいけどタイムが出ないという、まさにそこなんだろうなと思っています」と田中監督。

 午前中がトップタイムで、昨年もレースで首位を走行できていたことから、今回の第7戦でも優勝候補の1台に挙げられていた16号車。

「まさかっていう感じですよね」と、田中監督が話すように、チームにとっても今回の予選の低迷は大きなインパクトを残している。

 明日の決勝は、予選Q2に残った4台のホンダ陣営、そしてポールと3番手を獲得したヨコハマタイヤが、どのようなパフォーマンスを見せるのかが焦点となりそうだ。

 実際、今日の予選日からコース上にはタイヤかすが多く、ホンダ陣営だけでなくGT500のどのチームにも大小ピックアップの症状が起こっていたことが確認されており、そのなかでもヨコハマタイヤ勢のピックアップの影響が大きいようだという情報もある。

 最終戦のチャンピオン争いに向けて、ここまで低迷気味だったホンダ陣営が今回巻き返すことができるのか。それともヨコハマ勢がついに……、それともトヨタ勢の逆襲も……と、ピックアップやアクシデントによるFCY(フルコースイエロー)の影響など、さまざまな可能性が考えられる第7戦オートポリス。

 今回の予選の結果を見ても、まだまだレースの展開が読み切れない。

2022年スーパーGT第7戦オートポリス予選日
予選Q1を2番手で突破した山本尚貴もクルマを降りて笑顔のサムアップ

2022年スーパーGT第7戦オートポリス予選日
ランキング8位でオートポリス戦を迎えたSTANLEY NSX-GT
2022スーパーGT第7戦オートポリス Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)
2022スーパーGT第7戦オートポリス Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)