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 レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、競合チームによるレッドブルの「名誉を毀損する」ようなコメントについて、取り下げなければ法的措置を取ることを検討していると述べた。

 F1の予算上限額に違反した可能性のあるチームとして、レッドブルとアストンマーティンの名前が上がった。両チームとも、2021年の予算が予算制限である1億4500万ドル(約210億円)を超過した疑いが持たれている。

 アストンマーティンの超過額は軽微なものと目されている。それもあってか、メルセデスとフェラーリの両チームが暗黙の内に名指ししたのはレッドブルだった。レッドブルは2021年の予算制限を大幅に超える違反を犯したという。

 メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフがレッドブルの予算制限超過は公然の秘密だと断じた一方、フェラーリのスポーティングディレクターであるローレン・メキーズはレッドブルの具体的な名前を出すことはしなかった。

 両チームともFIAに対して、透明性を確保すること、また予算制限を大幅に超過したチームには厳しいペナルティを科すことを求めた。FIAは来週、全F1チームの予算監査報告書を公表する予定だ。

 しかしホーナーは予算制限を超過したという疑惑を強く否定しており、10月2日のF1第17戦シンガポールGPにおいて、競合チームが「言語道断」の主張を取り下げないかぎり訴訟も辞さない覚悟を口にした。

「彼らが発言を明確に取り下げないかぎり、こちらとしては極めて重大に受け止め、対応の仕方を検討することになる」とホーナーは述べた。

「昨日のような、ああいった類いの発言をするのは言語道断であり、わがチームとブランド、ひいてはF1全体に対するあからさまな名誉毀損となる」

クリスチャン・ホーナー(レッドブル チーム代表)
2022年F1第17戦シンガポールGP クリスチャン・ホーナー(レッドブル チーム代表)

 金曜日、メルセデスとフェラーリは、同日の早い時刻に流れ始めたある噂に、ことさら便乗するような発言をした。しかしホーナーは、両チームがレッドブルに対して好き勝手なことを言い立てているのに、当のレッドブルでは、FIAから予算制限に関して違反があったといったことは一切聞かされていなかったので、当惑するしかなかったと打ち明けた。

「この予算申告はチームとFIAとの間で非公開で行われるものだ。なぜ他のチームが我々の申告内容を知っているんだ? あるチームが違反を犯したかどうか、なぜ他のチームに分かるのか?」

「我々でさえ、自分たちが違反したかどうかは分からない。来週になって審査が終わるまでは分からない」

 レッドブルが審査のためにFIAに提出した計算書の数値は、「制限内」であったという主張をホーナーは繰り返した。

「我々は3月に書類を提出したが、上限を下回る数値であったことを100%保証する」

「もちろん、申告書類には監査法人の署名をもらう必要がある。そして我々の監査法人はいわゆるビッグスリーと呼ばれるもののひとつだ。その署名があって初めて、FIAでの審査が始まる」

「多少の質疑があったり、解釈の問題があったりして、会計検査めいたやり取りがあったのは事実だ。いまFIAとそうした話し合いをしている最中なので、現時点で審査の結果が出ているわけがない」

「昨日の夕方出した声明で、FIAもそこの部分ははっきりさせたはずだ。我々も、ほどなく出ると思われる審査の最終的な行方を興味深く見守っている。しかし予算制限は間違いなくクリアしていると、絶対的な自信がある」

レッドブル・レーシングのファクトリー
レッドブル・レーシングのファクトリー
レッドブル・レーシングのファクトリー
レッドブル・レーシングのファクトリー

 シンガポールGPでマックス・フェルスタッペンの王座が確定する可能性があったが、その栄誉を少しでも翳らせようという、メルセデスとフェラーリの「陰険な作戦」かもしれないとホーナーは付け加えた。

「そうしたケチを付けてくる人たちに言いたいのは、いずれ自分に返ってくるのだから、あまり図に乗らないほうがいいかもしれない、ということだ。今言われていることに対して、我々は極めて不快に感じており、非常に深刻に受け止めている」

「マックスがF1世界タイトルを防衛する今年初めてのチャンスがシンガポールGPではやってくる。それなのに、話題といえば予算制限のことばかりだ。マックスが今年見せた圧倒的な活躍の話題がなぜ出ない?」

「コース上で満足な成績が上げられなかったものだから、そこから目を逸らさせようとして、陰険な手を使ってきたのだと思う。もちろん、去年、今年、来年とまだいろいろ言ってくるようなら、こっちにも考えがある」

「これは一義的にはFIAが対処すべき問題だ。しかしレッドブルとしても、我々に対する今回の発言について、どういった態度で臨むのかをはっきりさせておく必要がある」