毎年、全日本ロードレース選手権をまわり、シャッターを切り続けるカメラマン「Nob.I」がお届けする『カメラマンから見た全日本ロード』改め、今回は2022年9月25日に開催された3年ぶりのMotoGP日本GPを取材した『カメラマンから見たMotoGP』をお届けします。
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「3年振り」は今年の流行語になるのでは? と思うほど、あれもこれも3年ぶりにイベントが再開されています。
そう、MotoGPも3年振りに日本に戻ってきました。
実は、MotoGPの取材は初めて。
皆さんそれぞれ目標があると思いますが、ロードレースを撮影しているからには、誰もが一度は取材してみたいと思うであろうMotoGP。
編集部からオファーがあり、私もついにここまで辿り着いた、と感慨深いものがあります。
しかしながら、その感慨はすぐに消え去り、外国と化したもてぎで勝手がわからないまま、あっという間に3日間が過ぎ去ったのでした……
毎度のことレースや各選手の取材は編集部にお任せし、何とか取材をこなした私の視点でお送りします。
まずは全日本ロードとの違いをご紹介します。
『グランプリサーカス』とはよく表現したもので、パドックには各チームの機材だけではなく、メーカーのホスピタリティがあり、専属の料理人が腕を振るっています。
これで、選手とチームは力をつけるのでしょう。
腹が減っては戦ができぬ!
また、各レーシングサービスも充実しています。
IXONにお邪魔すると、アレイシ・エスパルガロ選手(Aprilia Racing)のツナギを見せてもらえました。
カタコトの英語にもかかわらず歓迎していただき、皆さんサービス精神旺盛だったのが印象的。
サービスロードは、バイクでの移動が可能です。
全日本ロードは徒歩での移動のため、バイクの導入は行動範囲が一気に広がります。
当たり前ですが、カメラマンも外国人が多いです。
なお、オフィシャルにはEVバイク、Honda PCX ELECTRICが採用されていました。
撮影中、コースサイドで気づいたのが、におい、です。
MotoGPクラスは、市販車ベースのマシンとは異なる、独特な排気臭がします。
金属が焼けたにおいとは違い、何というか、『甘い』においがしました。
また、傍を走るマシンのエキゾーストも、耳がおかしくなるのではないかと思うほどの音量でした。
しかしながら、騒音、というような不快な音ではなく、野太く、体の芯に響く音でした。
観客席では気づかない、正に「カメラマンから見たMotoGP」です(よね?)。
写真とテキストでお伝え出来ないのが残念ですが、近くで観戦できるチケットもありますので、読者の皆さんにも是非とも体験していただきたいです。
オフィシャルもMotoGP仕様……ではありますが、その仕事は変わりません。
とはいえ、やっぱり一番の違いはMotoGPマシンとスーパースターでしょう。
怪我及び手術でしばらく欠場していたマルク・マルケス選手が、復帰2戦目でPPを獲得しました。
外国人は何もしなくても絵になります。フォトジェニックです。
某漫画で、日本人を「平たい顔族」と表現していましたが、やっぱりこれは人種の差ですね……
ちなみに、記者会見場は臨時の特設会場であるものの、照明設備で劇的に演出。豪華。
MotoGPクラスは選手が順番で、囲み取材の機会を設けてくれるのにも驚きました。
前レースで怪我をして満身創痍の中上貴晶選手(LCR Honda IDEMITSU)でしたが……囲み取材にも登場してくれました。
映像で見た通りの、強くてたくましく、なおかつ紳士的というのが私の印象でした。
残念ながら怪我の悪化でタイGPは欠場。
早く怪我を治し、思う存分走ってもらいましょう。
MotoGPは、なんか、もう全てがカッコイイ、です。
鈴鹿8耐でも外国人選手やスタッフはいますが、MotoGPはまさに外国そのもの。
ちなみに、メディアが集まるプレスルームは特設プレハブを設置。
下記写真掲載のスペースだけでなく2階まであり、メディアの数も多い!
何もかもが驚きの連続で、その規模に圧倒されます。
さてさて、驚いてばかりいられず、コースサイドに出てしっかりと撮影も消化。
天気予報ではレースウイークは雨模様。
実際、土曜日には落雷もあり、MotoGPのフリープラクティス3がキャンセルされてしまいました。
Moto2の予選は中断となり、私は東ピットで急遽雨宿り。
落雷に備えて、オフィシャルたちも避難してきました。
こういう時は情報が取得できず、不安になります。
『外国』ではありましたが、『ココ』は日本で安心感いっぱい。
打って変わって日曜日の決勝は秋晴れ。
きっと皆さんの日頃の行いが良いのでしょう!
雨の予選、PPはマルク・マルケス選手が獲得したものの、レースはジャック・ミラー選手(Ducati Lenovo Team)が圧勝。
3年ぶりのもてぎで、今季初優勝を飾りました。
表彰式では、まさかのシューイを披露!
記者会見後には、ピットで祝杯を挙げていました。
大音量でノリの良い音楽を流し、これでもか! ってほど喜んでいました。
喜怒哀楽の激しさが、日本人とは違う感じです。
パドックパスを購入すれば選手に会えるチャンスがありますので、2023年は販売が再開されると良いですね!
そうそう、忘れてはならない話題……Suzukiは今シーズンでMotoGP撤退。
もてぎを走るのも今回で最後となり、これを撮らないワケにはいきません。
またきっと、会えますよね?
Hondaでは、鈴鹿8耐優勝の立役者、長島哲太選手(HRC Team)がワイルドカードでMotoGPクラスに初出場しましたが、残念ながらリタイアで日本GPを終えました。
しかしながら、中上貴晶選手の代役として、タイGPに出場が決定。
いかがでしたでしょうか?
現地で楽しんだ方も、配信をご覧になった方も、3年振りの日本GPを楽しめましたでしょうか?
私は、浮足立ったまま初のMotoGPを終えました。
その雰囲気に圧倒され、冒頭に記した通り、いつの間にか3日間が過ぎていました。
同じ世界選手権である鈴鹿8耐とはまた違った雰囲気で、まるで外国にいるような感覚でした。
力不足で掘り下げた撮影はできませんでしたが、それでも話題が豊富で書ききれません。
次回は落ち着いて撮影したい!
(2023年も是非お願いします、編集部)