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 今年82歳になったモータースポーツ界のレジェンド、マリオ・アンドレッティが10月15日、ラグナ・セカサーキットでマクラーレンMP4-28をドライブした。走行を終えたアンドレッティは、「『やりたいことリスト』に書いてあった大きな願いが叶ったよ。これに比べたらあとはおまけのようなものだ」と語った。

 1978年のF1ワールドチャンピオンであるマリオ・アンドレッティが今回F1マシンをドライブできたのは、マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンがある約束を守ったからだ。それは、この5月に初めて開催されたF1マイアミGPのグリッド上で、アンドレッティとブラウンが交わした約束だ。

 アンドレッティが現代のF1マシンを「どうしてもドライブしたい」というやむにやまれぬ願望を持っていることを明かすと、ブラウンは快諾し、そういうことであれば、オースティンで開催されるF1アメリカGPで何周かデモ走行できように取り計らおうと請け合った。

エマーソン・フィッティパルディ、ザク・ブラウン、マリオ・アンドレッティ
2022年F1第5戦マイアミGP 左からエマーソン・フィッティパルディ、ザク・ブラウン、マリオ・アンドレッティ

 しかしマクラーレンは、アンドレッティのデモ走行を予定より1週間早め、先週末にウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカで開催されたベロシティ・インビテーショナルのヒストリックカーイベントで実施した。マシンは2013年のマクラーレン・メルセデスMP4-28だ。1994年の、アンドレッティの最後のインディカーレースの舞台がラグナ・セカだった。

 14日にシート合わせを行い注意事項を聞いたあと、いよいよ15日、82歳のアンドレッティはコースへと乗り出した。ともに走行するのは、F1世界チャンピオンに2度輝いたミカ・ハッキネンで、アラン・プロストが駆っていた1984年型マクラーレンMP4/2に乗り込んだ。

 グランプリで12回優勝したアンドレッティにとって、今回のデモ走行は楽しくてたまらないといったところだ。しかしひとたび走れば、もっと走りたくなるのは当然のことだ。

「なんとも爽快だね。でも完璧にはほど遠いよ」とアンドレッティは走りたい気分をみなぎらせながら『RACER』に語った。

「ちゃんと正しいギアに入るかどうかに尽きる。切実な問題なんだが、ステアリングホイールがヘルメットの高さに来てしまってね。シフトダウンの時に何速に入っているのか見えないんだ! コーナーによって、望んだギアで回れたところと、失敗したところがあった」

「でも全体的に言って、思い通りに行ったよ。ひとりのドライバーとして、気持ちの良い、満足の行く結果だ。私のキャリアにおける経験と比較すると、このマシンはやるべきことをちゃんとやってくれる」

「それこそが私の味わいたかったことで、望むものが手に入った」

 アンドレッティは、今回のマクラーレンのデモ走行で、ある手続き上の条件もクリアできたとほのめかした。

「スーパーライセンスを取得するためのポイントを稼いでいるんだよ!」