FIAは、10月28日、レッドブル・レーシングおよびアストンマーティンと財務レギュレーションにおける『違反容認合意(Accepted Breach Agreement)/ABA』を結んだことを発表、コストキャップ規則違反に対するペナルティについて明らかにした。
2021年からF1チームに対するコストキャップが導入され、この年の支出上限額が1億4500万ドル(約214億円)に定められた。各チームが提出した財務書類の監査を行ったFIAは、今年の10月10日にその結果を発表。2021年にレッドブル・レーシングは手続き上の違反に加え『軽微な支出超過違反(Minor Overspend Breach)』を犯していたこと、アストンマーティンは手続き上の違反を犯していたことを発表した。
コストキャップ上限額の5%未満の違反は、『軽微な支出超過違反』とみなされ、金銭的ペナルティおよび/または“マイナー・スポーティング・ペナルティ”が科される。『違反容認合意(Accepted Breach Agreement)/ABA』を結べば、チーム側は、財務規則に違反したことを認め、決められた制裁措置、強化される監視手順を受け入れて順守し、ABAに異議を申し立てる権利を放棄しなければならないが、ペナルティの範囲が限定される。
レッドブルは、違反を犯してはいない、あるいは違反により何らかのアドバンテージを得てはいないと主張し続けてきた。しかしクリスチャン・ホーナー代表はアメリカGPの週末、現状を尋ねられた際に、FIAから違反容認合意(ABA)のオファーを受け、話し合いを行っているところだと語っていた。
FIAは、28日の発表において、「コストキャップ管理局は、レッドブル・レーシングが審査プロセスを通じて協力的に行動し、追加情報や証拠を適時に提供するよう努めたことを認める」と述べた。
「財務規則が完全に適用された最初の年であり、RBR(レッドブル・レーシング)が不誠実、不正、詐欺的な方法で行動しようとしたとの非難や証拠はなく、また故意にコストキャップ管理局から情報を隠していたこともない」
「このような状況下で、コストキャップ管理局はRBRに対し、この問題を解決するためのABAを提案した。その申し出はRBRによって受け入れられた」
レッドブルは、2021年のコストキャップである1億1803万6000ポンド(約201億円)を5%未満、具体的には1.6%の186万4000ポンド(約3億円)超過していたことが明らかにされた。FIAは、「レッドブルが、2021年に提出した1,431,438ポンド(約2億4000万円)の想定税額控除を通年報告書類内で正しく処理していれば、432,652ポンド(約7000万円)、つまり0.37%の超過にとどまっていた」としている。
この違反に対するペナルティとして、レッドブルは、罰金700万ドル(約10億円)を科された。また、スポーツ上のペナルティとして、ABA施行日から12カ月において空力テストの上限が引き下げられる。風洞テストおよびCFDの上限を10%削減され、レッドブルは選手権ランキングに基づき70%のところ、63%が適用されることになる。
一方、手続き上の違反を犯したアストンマーティンには、450,000ドル(約6000万円)の罰金が科された。