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 各地へ向かう路線バスの数々が集うバスターミナル。一口にバスターミナルと言っても日本全国すべて同じではなく、じつはターミナルごとに構造が異なる。

 大別すると4種類くらいに分けられるが、なかなかユニークな方式もあるようだ。

文・写真:中山修一


(1)島式プラットホームの施設

 全国のバスターミナルに設置されている乗り場の中で、最もシンプルなのが島式。1本のプラットホームに複数の乗り場が一列に並んでいるのが特徴だ。

 島式では進入したバスが再度ターミナルに入る際、多くの場合は出口から一般道路へ一旦出て入り直す必要がある。

 島式の乗り場を何本か並べたタイプも各地にあり、これはビルの一階層をくり抜いて作られたバスターミナルがよく採用する方式と言える。

建物の1階をバス施設と島式乗り場に利用した洞爺湖温泉バスターミナル

(2)ちょっと近代的なロータリー式

 ベッドタウンの終点や各鉄道路線の主要駅に置かれた、法律上では普通のバス停に該当するものも含めた“バスターミナル”諸々で主流の方式。

 出入口が各1箇所または複数あり、入口から前進したままグルリと回って出口から道路へ抜けられる構造になっている。サーキットのようにロータリー内を周回できるものと、道路に一度出て入り直す半周型の二通りが見られる。

 乗り場部分はロータリーの外側に沿って置かれることが多い。ロータリーの内寄りにスペースができるが、空いた部分をタクシー乗り場やバス車両の待機スペースにしたり、島式の乗降スペースを置いたりして場所を有効活用するのが一般的だ。

半周型ロータリー式になっている海老名駅バス乗り場

(3)大きなターミナルでは効率の良い円形

 要領はロータリー式とよく似ているが、真上から見ると真円に近い形をしているのがポイント。バースの部分は直線状なので、多角形型とも取れる。

 日本でこの構造のターミナルは数えるほどしかないようで、特に有名なのが静岡県の浜松駅バスターミナルだ。

 円いドーナツ型プラットホームの外側にバスの通り道とバースが設置されていて、直径は何と77mとのこと。乗り場の数は16個あり、プラットホームへは一旦地下道を通って上がる。

 構内は反時計回りの一方通行。バースの隣が走行レーンで、円の最も外側のレーンはバスの待機スペースに使われている。

 また、千葉県の船橋駅北口と兵庫県の神戸駅前にもに同様の円形バスターミナルがあり、こちらは乗り場がそれぞれ8つだ。

円形で知られる浜松駅バスターミナル

(4)ドライバーがちょっと大変!? なスイッチバック式

 少ない敷地面積で多くのバスが捌けるメリットから、昭和時代に数多く作られたのがスイッチバック式だ。

 島式プラットホームの片側または両側に、垂直かそれに近い角度をつけてバースと乗客用のアプローチが置かれている。施設を上から見ると魚の骨のような姿(骨と骨の間にバスが入る)をしている。

 スイッチバック式は、バースに出入りする際バス車両をバックさせるのが最大の特徴であり見どころとなっている。

 まず車両をバックさせてバースに入るものと、先に頭から入って出発時にバックするスタイルの二通りがあり、後者は乗客を乗せた状態で行う。

 スイッチバック式バスターミナルのない地域に慣れていると、乗っている路線バスがバックする機会があまりないせいか、バック出発はなかなか刺激的かも。

 かつては頻繁に見られたスイッチバック式も最近は数が減り、個性派バスターミナルへと様変わりしつつある。

バック出発型スイッチバック式の北海道・岩見沢ターミナル

 代表的な場所に、北海道の岩見沢・岩内・小樽駅前(バック出発)、福島県の湯本駅前(バック入線)、神奈川県の綱島駅(バック入線)、愛知県の東岡崎駅北口(バック出発)長崎県の長崎新地ターミナル(バック出発)などが挙げられる。

 各地に点在するバスターミナルがどの構造なのか、地図検索や実際に訪問した時に軽くメモを取っておいて後でリストにする、なんてのも新しいバス趣味の一環になりそう!?

投稿 バックで出発!? これぞバスターミナルのなせる技! 変な乗り場構造4選自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。