11月26~27日の週末に、ウルグアイのプンタ・デル・エステにて今季最終戦『エナジーX Prix』が開催されるワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』だが、創設2年目を終えた“シーズン3”をも見据え、新興ヴェローチェ・レーシングが新たなドライバーペアを起用。ここまでジェンソン・バトン率いるJBXEから参戦してきたケビン・ハンセンと、ニコ・ ロズベルグ率いるロズベルグ・Xレーシング(RXR)で初代王者に輝いたモリー・テイラーを招聘し、このウルグアイ戦より実績ある強豪ペアで挑むことをアナウンスした。
また電動『HAMMER(ハマー)』で参戦するチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)は、北米オフロード王者のカイル・ルデュックに代わり『バハ1000』を2度制した経歴を持つRJアンダーソンを起用。同じく北米の雄として競うジェネシス・アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEは、ケビンの兄でWorldRX世界ラリークロス選手権の2019年王者であるティミー・ハンセンと、ケイティ・マニングス両名の来季残留と複数年契約更新を発表している。
シリーズ創設初年度から参戦し、女性シングルシーター選手権『Wシリーズ』を席巻したジェイミー・チャドウィックをはじめ、ステファン・サラザン、ランス・ウーリッジ、そしてクリスティーナ“GZ”ことジャン-パオリ・ゾンカなど数多くのドライバーを起用してきたヴェローチェ・レーシングだが、11月末の今季最終戦を前に、改めてオーストラリア出身のテイラーを起用することを決めた。
昨季のシリーズ初年度は、WorldRXの“絶対王者”ことヨハン・クリストファーソンと組み、初年度に3勝を挙げて初代チャンピオンを獲得したテイラーだが、今季開幕戦はJBXEの助っ人として参戦して以降、シリーズから離れていた。
しかし最終戦を前に新たなチームへの加入を決断し、ARCオーストラリア・ラリー選手権で史上初の総合チャンピオンに輝いた女性ドライバーとして「RXRでの3回の勝利に伴う、すべての知識を持ち寄って」チームに合流する。
「私は創設初年度のエクストリームEで素晴らしい1年を過ごすことができた。持続可能性と男女平等へのコミットメントの双方に関して、この競技が果たした大きな役割を心の底から信じることができたわ」と語った王者テイラー。
「初代王者の称号を手に、こうしてシリーズにカムバックできたこともうれしく思う。このチームの野心と私の経験を組み合わせ、非常に特別な組織が構築できると思っている。ケビンのスキルとコミットメントも含めて、私たちは目標を本当に高く設定していいと思う。オフロードでのアクションに戻ることを楽しみにしているわ!」
■「僕とモリーがそうであるように、チームは高い野心を持っている」とケビン・ハンセン
一方、初年度はJBXEでミカエラ-アーリン・コチュリンスキーと組みランキング3位を獲得したケビンは、引き続き今季開幕からJBXEのシートに座ると、開幕戦を除いて同郷の新鋭ヘッダ・ホサスとのペアで表彰台を獲得するなど、ここまで好調を維持してきた。
「ウルグアイから始まる長期契約により、こうしてヴェローチェ・レーシングに加入できることをうれしく思う。若く、野心的かつモダンなやり方で、他のどのチームとも違うスタイルを持つ組織に加わるのは本当にエキサイティングだ。僕とモリーがそうであるように、チームは高い野心を持っている」と続けたケビン。
「彼女とは(JBXEで)開幕のサウジアラビアを一緒に戦ったが、素晴らしい時間を過ごせたんだ。僕らはペアとしてうまく機能しており、チーム全体でパートナーシップを構築することを楽しみにしているよ」
一方、ランキング4位につけるCGRから、サラ・プライスの新パートナーとしてシリーズデビューが決まった“RJ”は、まだ29歳ながらオフロードのキャリアを通じて150回以上の表彰台を獲得する実力者でもある。
「セカンドシーズンの最終戦で、こうしてCGRの『No.99 GMCハマーEV』をドライブする機会を得られたなんて光栄だ。初年度からシリーズは欠かさずチェックしてきたが、こんな世界最高峰のドライバーたちと競えるなんてワクワクするね」と意気込みを語ったアンダーソン。
そして初年度開幕戦から不動のペアを組むジェネシス・アンドレッティ・ユナイテッド・エクストリームEのティミーとケイティは、この段階で複数年契約の延長をアナウンスし、チームの安定性を象徴するかのように、引き続き同ペアで“シーズン3”を戦うこととなった。
「私たちの周囲には、レースだけでなく環境の保護とサポートに関して、シリーズの焦点である最高の結果を目指して努力する素晴らしい人々がいる。その意味でも、チームとの時間を継続することを楽しみにしているわ」と、初年度のアークティックX Prixでは勝利も飾っているマニングス。
このオフロード選手権でも存在感を見せる会長兼CEOであるマイケル・アンドレッティも、このペアリングに絶大な信頼を寄せている。
「エクストリームEの理念と活動は、我々のサステナビリティ・ミッションに大きく貢献している。ケイティとティミーはシリーズでもトップ級のコンビネーションであり、シーズン3以降もチームを率いてくれることに興奮している。シリーズを通じて持続可能性の旅を発展させ続け、彼らの経験値がフィールドの最前線を目指す原動力になるだろうね」