11月25日、東京都内のホテルで『2022年JAFモータースポーツ表彰式』が開催され、国内の四輪モータースポーツ各カテゴリーでシリーズチャンピオンを獲得したドライバーたちが登壇し、トロフィーを受け取った。
例年、主要カテゴリーのシーズン終了のタイミングで開催されてきたJAFモータースポーツ表彰式だが、ここ数年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、規模を縮小して開催していた。コロナ禍も落ち着きを見せてきたということで、今回は3年ぶりに関係者らが出席をして行われたが、以前のような表彰式後の懇親会は実施されず、ステージ上でのトロフィー授与も各クラスのチャンピオンのみに留めるなど、感染防止に留意した内容となった。
表彰式の冒頭では、JAF日本自動車連盟の坂口正芳会長が挨拶。「新型コロナウイルスの影響でモータースポーツは大きな影響を受けました。いろいろな大会も中止を余儀なくされた3年間でした。今年に入り関係者のみなさまのご努力によりまして、F1、WEC世界耐久選手権、WRC世界ラリー選手権という世界選手権も、ようやく日本で開催できました。また各地方での大会も、例年に近いかたちで開催できた1年でした」と、2022年の国内各モータースポーツの状況を振り返った。
今回の表彰式では、スーパーGTや全日本スーパーフォーミュラ選手権など国内トップカテゴリーのほか、全日本ジムカーナ選手権、全日本ダートトライアル選手権、全日本ラリー選手権、全日本カート選手権の各クラスで上位に入ったドライバーたちが出席。そのなかには、昨年までスーパーGTを戦い、今シーズンは全日本ラリー選手権のJN1クラスでチャンピオンを獲得した元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンの姿もあった。
「JN1クラスに参戦して1年目で、正直いきなりチャンピオンになれるとは思っていなかったから驚いてはいるけど、すごく良いシーズンを過ごすことができたし、こうしてトロフィーを受け取ることができて嬉しい」とコバライネン。先日開催されたWRC第13戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2022』にも参戦したのだが「すごく良いイベントだなと思ったよ。WRCのレベルはすごく高いから正直不安もあったけど、僕たちが予想していた以上にうまくいったし、ライバルたちと僅差で戦えたから良かった」と笑顔で語っていた。
気になる来季以降の動向については「サーキットのレースに出る予定はなくて、これからもラリーに集中する」とコバライネン。「それが日本なのか、フィンランドなのか、それとも両方掛け持つことになるのか……まだ決まっていないけど、ラリー競技を続けていくことは確かだ」と、今後の状況についても明らかにした。
表彰式の終盤では、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権、スーパーGT、スーパーフォーミュラの表彰も行われた。今週末は鈴鹿サーキットでENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankookの最終戦も行われているため、なかには出席が叶わなかった選手もいたが、スーパーGT GT300クラスで2度目のチャンピオンを獲得したリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rの藤波清斗は、当日午前のスーパー耐久専有走行に参加してから東京に移動。表彰式でトロフィーを受け取り、式典終了後すぐに鈴鹿へ戻っていった。
GT500クラスは、カルソニック IMPUL Zの平峰一貴とベルトラン・バケットがともに出席、ふたりが肩を並べてステージに登壇し、満面の笑みでトロフィーを受け取っていた。
実は、ふたりともJAFモータースポーツ表彰式に参加するのは初めてとのこと。平峰は「嬉しいですね。改めて(2022年シーズンが)終わったんだなと感じました。トロフィーをいただいて(チャンピオンの)重みが伝わってきましたし、今年起こった出来事など、いろいろなシーンを思い返しました」と王座獲得を実感を噛みしめている様子だった。
同じくバケットも「2020年にランキング3位になって表彰は受けたけど、そのときはコロナ禍でセレモニーの開催はなかったから、こうして“表彰式”というかたちで参加するのは初めてだよ。チャンピオンを獲得してから、たくさんのメディアから取材をされ、いろいろな人から祝福されて、すごくハッピーな時間を過ごしている。改めて、今年僕たちが成し遂げたことを誇りに思っている」と、GT500初タイトルを喜んでいた。
そして表彰式の最後はスーパーフォーミュラの表彰が行われ、2年連続チャンピオンという快挙を成し遂げたTEAM MUGENの野尻智紀が笑顔でレッドカーペットを歩き、ステージに上がった。
「まさか自分が2連覇という記録を出せるとは思っていませんでした。これも、本当に支えていただいたチームと、ファンの皆さん、そして家族と……本当にみなさんのおかげです。来年は3連覇という記録に当然ながら向かっていくことになりますが、これまで以上にレースと向き合い、自分自身のレース活動をしていき、若い子たちにも何か夢を与えられるような走りができればと思います」と野尻。
シーズン中は2連覇というプレッシャーに押し潰されそうになったときもあったそうだが、改めてトロフィーを手にして「2連覇を達成するために、メンタル的にはすごく厳しいシーズンでしたけど、このトロフィーを受け取ると……喜びもそうですし、(2連覇の)実感が湧いてきます」と笑みを浮かべていた。