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 F1の1シーズン中のグランプリ開催数が増えつつあるなかで、チームは従業員の健康を守るため、8月の“サマーブレイク”同様に冬にも作業禁止期間がレギュレーションで定められるよう、強く働きかけている。

 F1のスポーティングレギュレーションには、各チームは、7月から8月における連続した14日間、ファクトリー・シャットダウン期間を設けなければならないと定められている。

 史上最多24戦が開催される2023年を前に、この数カ月、F1諮問委員会は、クリスマスと新年の期間にチーム従業員に完全な休暇を与えるため、レギュレーションで作業を禁止することを検討してきた。メキシコGPの週末、全10チームのスポーティングディレクターがこの作業中止期間についての案について合意、草案がF1コミッションに送られた。

 メキシコGP日曜朝、チーム代表とF1のCEOステファノ・ドメニカリとの定例会議において、この提案が議題となり、全体的な支持が集まった。ただ、フェラーリ代表マッティア・ビノットはメキシコに来ておらず、アストンマーティン代表マイク・クラックなど、こういった事柄についてチームを代表する権利を与えられていない者もいるため、この場で決定とはならず、この件は次回の世界モータースポーツ評議会会合に送られることになった。

“ウィンターブレイク”を設けることに賛成するメルセデスF1チーム代表トト・ウォルフは、メキシコGPの予選後、次のように語った。

「多数の関係者が、夏季と同じもの(シャットダウン期間)を、少なくともクリスマスから新年にかけての2週間にわたって設けることを望んでいる。まだ議論の必要があるものの、スタッフのウェルビーイングのために、ポジティブな兆しが見えている」

2022年F1アメリカGP グリッド上のルイス・ハミルトン(メルセデス)
2022年F1アメリカGP グリッド上のルイス・ハミルトン(メルセデス)

 チームスタッフと直接的に接する機会がチーム代表よりも多いスポーティングディレクターたちから生まれたといわれるこの案に、問題点がないわけではない。たとえば、12月末から1月初めにかけては、設計チームが新車の一部パーツの設計を終え、できるだけ早くそれをを製造するために、ファクトリーがフル回転になる時期でもある。

 また、チームはスタッフとの契約に変更を加えようとする可能性もある。この作業禁止期間に加えて、家族や友人たちのスケジュールに合わせてさらに数週間の休みを取るスタッフもいるかもしれない。その場合、年間労働日数が当初より減るとして、チームはその分のサラリーをカットして、バジェットキャップ面で役立てたいと考えるだろう。

 いくつか解決すべき問題があるとしても、誰もがこの提案を支持しているようだ。ウィンターブレイクは、早ければ2023年シーズン終わりに導入されることになるのではないかとみられている。