レッドブル・レーシングの2021年における支出がF1コストキャップ規則で定められていた額を超過していたことで、同チームにはペナルティが科されることが決まったが、フェラーリはその内容に満足しておらず、制裁措置の実際の効果は「非常に限られて」おり、違反行為との釣り合いが取れていないと主張している。
レッドブルは、13の異なる分野にわたって約180万ポンド(約3億円)の超過支出があったため、FIAから700万ドル(約10億円)の罰金を科された。
なおチームには、空力テスト時間を10パーセント短縮されるペナルティも科される。これについてレッドブルF1チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、ラップタイムでいえば「0.25秒から0.5秒」のロスになり得るとして、非常に厳しいと述べている。
しかしフェラーリのレーシングディレクター、ローレン・メキースは、レッドブルが過剰支出で得たアドバンテージの方が、ペナルティによるダメージよりも大きいと考えている。
「この数週間、我々はあと50万、100万、200万、300万があったら何をできるだろうということをよく話し合ってきた」とメキースは語った。
「200万はかなりの金額であり、我々はこの件について何度か意見を述べてきた。我々フェラーリは、この金額は(ラップあたり)約コンマ2秒に相当すると考えている。こうした数字が、レース結果や、おそらくはチャンピオンシップにも大きな影響を与えることは容易に理解できる」
ホーナー代表は空力テストを削減されることで0.25秒から0.5秒のロスがあると主張しているが、メキースは、それほど大きな影響はないと考えている。また、レッドブルは空力テストを削減されることでその分の予算を他の分野に振り分けることができるため、結局彼らにとってさほど不利な状態にはならないとも、メキースは指摘した。
「ペナルティについて、ふたつの重要な理由から我々は満足していない」とメキースは語った。「まず我々フェラーリは、ATR(空力テスト制限/Aerodynamic Testing Restrictions)の10パーセントの削減が、先ほど言及したラップタイムと一致するのかという点に納得していない」
「さらに、これには別の問題がある。ペナルティには予算上限の引き下げが含まれていない。それによる基本的な影響は何かというと、(違反した)チームが(空力テストで使用しない分の)予算を他で使うことを促すことなのだ」
「風洞やCFDの使用が10パーセント削減されるとしても、その分の予算をマシンの軽量化など他の分野で使うのは完全に自由だ」
「我々の懸念は、こうしたふたつの要因の組み合わせから、ペナルティの実際の効果が非常に限定的になることだ」
最後にメキースは、F1チームがFIAによる収支の監査結果を翌年10月まで待つ必要がなくなることを期待しているとも述べた。
「我々は先に進むしかないが、我々だけでなくF1やファン全体にとって、2022年の収支結果が出るのを来年の10月まで待つ必要がなくなることが、非常に重要だ」
「できる限り早く結論を出すために必要なことを行い、FIAのサポートを行っていくつもりだ」