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 新開発のLMDhマシンを2023年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPクラスに投入するとともに、同年からLMDh規定車も参戦可能となるWEC世界耐久選手権ハイパークラスに新型プロトタイプカー1台を送り込むキャデラックが、世界選手権プログラムのドライバーラインアップを発表した。

 リチャード・ウエストブルック、アレックス・リン、アール・バンバーは来年、キャデラックからWECハイパーカークラスに参戦し、トヨタ、プジョー、フェラーリ、グリッケンハウスのハイパーカー(LMH規定車)と、キャデラックと同じくLMDhカーを送り込むポルシェを相手に、ル・マン24時間を含む全7戦で兵刃を交える。

 また、彼らは2023年1月に開催されるデイトナ24時間レースにも出場することが決定。これはプロトタイプレース新時代の幕開けとなるウェザーテック・スポーツカー選手権の開幕戦で、3台目のキャデラックV-LMDhが登場することを意味する。

 今回、起用がアナウンスされた3人のWECドライバーは、いずれもキャデラックのプロトタイプマシンに精通しており、今年のウェザーテック選手権では、キャデラックDPi-V.Rをドライブしてきた。

 その中で、バンバーとリンは、チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)が運営するキャデラック・レーシングの02号車をシェア。第3ドライバーのニール・ジャニとともに臨んだセブリング12時間レースで優勝するなどの活躍でランキング4位となった。

 一方、ウエストブルックは、トリスタン・ボーティエとJDCミラー・モータースポーツの5号車キャデラックDPi-V.Rをドライブし、ドライバーズランキング6位となっている。

「キャデラックV-LMDhを世界耐久選手権に参戦させることで、新たなチャレンジができることを楽しみにしている」と語るのは、キャデラックのグローバル副社長であるローリー・ハービー氏。

「来年の成功を見るためには、世界トップクラスのドライバーチームをまとめることがもっとも重要であり、キャデラック·レーシングはそれを達成した」

 ル・マン2冠のバンバーは、LMP1ハイブリッド時代にポルシェで世界選手権タイトルを獲得した2017年以来、初めてWECのトップクラスに復帰する。

 このニュージーランド人は、「チップ・ガナッシ・レーシングとキャデラックで(スポーツカー・プログラムを)続けることができて本当に幸せだ。僕はDPiでの最初のシーズンが大好きだった」と語った。

「そして今、DPiからLMDhに時代が引き継がれるなかで(来年の)WECに出られることはとてもエキサイティングだ。世界選手権とル・マンでふたたび勝利するために戦うことを楽しみにしている」

2023年のWECハイパーカークラスに1台、IMSA GTPクラスに2台が送り込まれるキャデラックV-LMDh
2023年のWECハイパーカークラスに1台、IMSA GTPクラスに2台が送り込まれるキャデラックV-LMDh

■ウエストブルック「CGRのもとに戻ることをずっと夢見ていた」

「2022年にアレックス(・リン)をチームメイトに迎えられてよかった。僕たちはDPiで一緒に学び、成長することができたし、WECに向けても本当にいいパートナーシップを築くことができたと思っている」とバンバー。

「僕たちはお互いをよく理解している。また、リチャード(・ウエストブルック)の加入はシームレスな移行になると信じているよ。2023年シーズンを成功裏にスタートできることを願っている」

 対するリンも、「アール(・バンバー)とは、とても仲が良いだけでなく、お互いに挑戦し合っているので、うまくいっていると思う」とコメント。

 2020年にアストンマーティンでル・マンのクラス優勝を経験しているイギリス人は、「ドライビングにせよ、マシンのセットアップにせよ、お互いにプッシュしあって多くを求めるが、同時に多くの敬意を払っている」

「ある意味、ちょっとした兄弟愛みたいなものがあって、それは素晴らしいことだし、成功するスポーツカー・チームには必要なものだと考えている。そこにリチャードが加わり、勝利のプログラムを成長させ続けられることに興奮しているんだ」

 ウエストブルックは、CGRがIMSAでフォードGTのワークスプログラムを4シーズン運営した際に同チームでGTEカーをドライブし、2018年のデイトナ24時間を含む計8レースで優勝した。2023年のプログラムはこのとき以来のチーム復帰となる。

 なお、ウエストブルックは、グリッケンハウスのノンハイブリッド・ハイパーカーを駆り、ル・マンでの2戦を含め合計4回、WECハイパーカークラスでレースを戦っている。

「チップ・ガナッシで本当に良い4年間を過ごした後、そこには多くの友人たちがいて、いつか彼らのもとに戻ることをずっと夢見ていたんだ」と彼は述べた。

「2016年から2019年の間、プログラムはとてもうまく機能していたし、また一緒になれるルートが見つかってうれしいよ。(来年が)待ちきれないね! 今のスポーツカーレースはエキサイティングな時代なんだ」

 キャデラックは先週、WECと同じマシンを使用し、2台体制で実施するIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPプログラムのドライバーラインアップを発表している。

 その中では、アレクサンダー・シムズがピポ・デラーニとともにアクション・エクスプレス・レーシングに所属すること、セバスチャン・ブルデーとランガー・バン・デル・ザンデが引き続きCGRから北米シリーズのトップカテゴリーを戦うことが明らかにされている。

 なお、キャデラックは、デイトナ24時間など計4つの耐久イベントからなる“ミシュラン・エンデュランスカップ”で登録する追加ドライバーを後日アナウンスする予定だ。