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 温泉地と名の付く場所だけでも3,000カ所近くにのぼる、温泉大国ニッポン。とりわけメジャーどころになると、観光向けに整備されてアクセスも電車の駅から歩いてすぐ……なイメージを抱きたくなるが、意外にも公共交通機関で向かうにはバスが必要になる有名温泉地も結構あるようだ。

文・写真:中山修一


(1)草津温泉 最寄駅からの距離:約14km

 毎分32,300リットル以上と、自然湧出量日本一に輝く関東地方屈指の有名温泉地といえば草津温泉だ。ネムバリューが絶大なせいか電車で直接行けそうなものの、「草津温泉駅」が存在したのは60年も昔の話だ。

 現在はJR吾妻線の長野原草津口駅が草津温泉への玄関口となっている。

 草津温泉には、現地の目玉スポットである湯畑から400mほど離れた場所にバスターミナルがあり、東京方面からの直通高速バスをはじめ、電車の最寄駅までを結ぶ路線バスなどが発着している。

温泉街の湯畑が草津温泉最大のランドマーク

 電車で最寄まで向かった場合、長野原草津口駅前のバスターミナルから、ジェイアールバス関東の志賀草津高原線 草津温泉行きの路線バスが、1時間に1〜3本のペースで運転されている。

 長野原草津口〜草津温泉バスターミナル間の所要時間約25分、運賃は710円だ。

 草津温泉バスターミナルから歩いて10分ほど、草津温泉町内巡回バスの南本町児童公園前バス停すぐ隣に浅間台公園があり、そこが1962年まで営業していた草軽電気鉄道の草津温泉駅があった場所だ。

(2)別府温泉 最寄駅からの距離:約6km

 九州の有名温泉地のひとつが、大分県の別府温泉だ。別府温泉と一口に言っても源泉の数が非常に多く、エリアも数箇所に分かれているのが特徴。

 別府温泉の中でも、地獄めぐりを筆頭に一生分の地獄を見たのではと思わせるほど「地獄」に溢れる、鉄輪(かんなわ)温泉がスター的存在と言える。

 JR日豊本線の別府駅が最寄りとなっているが、鉄輪温泉は山に向かって坂を登っていく途中にあるため、アクセスには路線バスが重要な足となってくる。

 大分交通と亀の井バスが鉄輪方面へのバスを運行しており、前者の温泉街最寄りバス停が鉄輪温泉、後者が鉄輪となっている。

亀の井バスの鉄輪温泉バスターミナル

 別府駅にはバスターミナルが西口と東口の2箇所にあり、どちら側からも経路が異なる鉄輪行きのバスが発着している。一例を記すと…

【東口】
・大分交通 鉄輪温泉行き:1時間に1〜2本/所要時間約25分/運賃340円
・亀の井バス 別府大学経由鉄輪線:1時間に1本/29分/340円
・亀の井バス 外廻り循環線・鉄輪線:1時間に3本/約30分/340円

【西口】
・亀の井バス 竹の内経由鉄輪線:1時間に2本/24〜30分/330円
・亀の井バス APU線、サファリ線、リハビリ線:1時間に3本/16〜21分/330〜340円

 駅から離れているとはいえ、それなりに本数があるため公共交通機関利用でも比較的アクセスしやすい温泉街だ。

(3)登別カルルス 最寄駅からの距離:約19km(路線バス利用時)

 どちらかと言えば入浴剤で一躍有名になった温泉地が、北海道・登別のカルルス温泉だろう。登別温泉もまた世界的に知られる名湯ながらも、カルルスは登別温泉からさらに山奥へ進んだ先にある。

 路線バスでカルルスへ向かうには、まず登別温泉へのアクセスが必要となる。

 JR室蘭本線の登別駅が最寄りで、駅前のバス停から道南バス運行による登別温泉行きが、大体1時間に1本のペースで発着している。登別温泉バスターミナルまでの所要時間約13分、運賃は350円だ。

 登別温泉バスターミナルから、同じく道南バスが運行するカルルス線に乗り換える。こちらは1日4本と便が極めて少なく、事前に時刻をよーく確認しておくのがコツだ。

 登別温泉〜カルルスまでの所要時間は約20分、運賃は460円となっている。登別駅前を出る時間によっては、登別温泉まで行かずに途中の紅葉谷入口で下車すると、バスがうまく繋がる。

 ただし冬季は設備が充実している登別温泉ターミナルまで一旦向かったほうが安心かもしれない。

 ちなみに、あの入浴剤の登別カルルスは乳白色だが、本物は無色透明である。

 レンタカーやマイカーから離れ、電車と路線バスを乗り継いで向かった先で浸かる温泉もまた格別だ。

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