洗車という行為は、人によって様々だ。休日の楽しみとして自宅やコイン洗車場のスプレー洗浄機を使ってじっくりと磨き込む人もいれば、汚れた時にだけ給油のついでに洗車機でサッと洗ってもらう効率重視派もいる。
洗車機による洗車は素早くキレイにしてくれるので、暑い日(寒い日もありがたい)の利用は便利だ。クルマをセットしたら、そのまま洗車したら通り抜けられるドライブスルー型がセルフ型のガソリンスタンドでは増えている。忙しい時にもサッと洗車できるので、これまた便利このうえない。
担当も近所のガソリンスタンドにあるドライブスルー洗車機で洗車およびガラスコーティング剤(1回2500円)を行っているが、5分程度で簡単に洗車できるのでよく使っている。また、最近、リアスポイラーやホイール洗車もできるようになったので重宝している。
そこで、最新の機械式洗車はどうなっているのか、洗車機事情を徹底解説する。
文/高根英幸
写真/ダイフクプラスモア、ベストカーweb編集部
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■洗車機の最新事情
洗車で傷付くといえば、洗車機を使うとクルマによくない、というイメージを持っている人はいまだに多い。手洗い洗車こそベストな洗車法と思っているのだろうが、プロや上級者が丁寧に行うならともかく、普通のドライバーがテキトーに行う洗車と比べれば、洗車機のほうがよほど優れている。
洗車機のブラシは樹脂製の棒状素材を束ねた昔ながらのモノでも塗装面よりも柔らかく、それ自体で傷をつけるハズがないものだった。それでも洗車機にかけると塗装面が傷ついたのは、汚れすぎていたボディのほうに問題があったのだ。
つまりボディを傷付けるのはブラシではなく、塗装面の上に載った砂や異物がブラシによって擦り付けられること。事前に十分に水で洗い流すことと、汚れがひどくなる前に洗うことが重要だったのである。
それでも日本の洗車機業界は、ドライバーの怠慢を理由にせず、ブラシの素材や形状、使い方などの制御面も含めて洗車機の改善を続けたのだった。その結果、今や洗車メニューも含めて内容の充実ぶりは相当なものになった。
そもそも自動車の洗車機の歴史は、もともとは海外から始まったが、日本が大幅に進化させたと言っても言い過ぎではない。今から60年ほど前の高度成長期、それまで手洗いしか方法がなかったため、クルマが増えてガソリンスタンドでの洗車対応が混雑してしまったため、洗車をする機械が開発されたのだ。
それから60年あまりの間にカーウォッシュビジネスは大きく成長を遂げ、洗車用品から洗車機、プロによるコーティングまで幅広く揃った一大産業を形成しているのである。
■国内洗車機メーカーシェアトップクラスのダイフクプラスモアに聞いてみた
そこで、国内洗車機市場ではトップクラスの販売シェアを誇るダイフクのブランドで洗車機の販売とサービスを手がける、ダイフクプラスモアに、最新の洗車機事情を聞いてみた。
国内ではガソリンスタンドが減少していく一方でクルマの保有台数は減っていないので、洗車する場所の確保が難しくなっているドライバーもいるようだ。
そんなこともあって、スタンド1カ所に洗車機を複数台設置したり、コイン洗車場にも洗車機を導入するケースが増えているらしい。またコインランドリーの駐車場スペースにも洗車機を設置するなど、これまでと違う事例も増加傾向なのだとか。
「コインランドリーは雨の日の利用が多く、晴れの日はどうしても来客数が減ってしまうので、来店機会を増やすためにも導入いただくケースが増えています」(同社)。
それに晴れの日でもコインランドリーで洗濯中などの待ち時間の間、洗車して室内も掃除すれば効率的だ。家族で出かけてそれぞれの用事を1箇所で済ませられると、その後の動きも効率的になり、休日をより有効に楽しめる。
雨の日でも洗車機であれば利用できるし、雨で濡れている分、汚れは落ちやすくなる。雨の日は混雑する週末でも空いている上、割引を行っているガソリンスタンドもあるようだ。
ダイフク洗車機の種類としては、1時間あたり最大60台という業界NO.1の処理能力を誇るローラコンベア式連続洗車機「マジックスルー」をはじめ、洗浄機と乾燥機が完全に分離することで高い乾燥力を発揮する、1Wayセパレートドライブスルー洗車機「ツインフェクト リーシア」(2021年度グッドデザイン賞受賞)、ドライブスルー洗車機の主力機種1.5Wayタイプの「トレウス」とその上位モデル「コーディア」。
他に門型洗車機「グロッサ」、「ユーロス」、「ゼクス」、「ジスペクトIII」。さらに大型トラック、バス用の大型洗車機「カミオンカスタム」や手洗い専用機「シャワースピナー」など多彩にラインナップしている。
■洗車機のブラシでボディに傷は付かないのか?
ひと昔前は洗車機で洗車し続けると、ボディに洗車傷がついてしまい、洗車機はあまり使いたくないということがあったが、最新の洗車機はどうなのだろうか?
洗車ブラシは、かつては化繊ブラシだったが、今はスポンジブラシや高級不織布を用いた布ブラシが主流となっており、化繊ブラシも今は特殊ゴムを配合しているという。おそらく、今一番気になっているのが、この洗車傷だろう。
現在では、ブラシの素材が進化しており、クルマの塗装面の硬さは4H程度(鉛筆やシャープペンシルの芯でも使われる硬さを示す指標)と言われており、ブラシ素材はクルマの塗装より柔らかく、ブラシ素材ではボディに傷が付かないという。
また洗車時はボディにブラシをつけて洗っている印象があるが、実は押し付ける圧力は手洗いより弱いという。ここまで進化していたとは驚きだ。
ところで、古いクルマを洗車機で洗うことについては「塗装面のクリア層が劣化しているおそれのあるクルマについては、洗車機を使うのは控えたほうがよいでしょう」とのこと
■洗車機で高密度ガラス系コーティングもできる
最新の洗車機の場合、ガラス系コーティングも施工可能になっている。もちろん洗車のプロが施す高額なコーティングとは別物だが、その分価格も時間も手軽で、1~2ヵ月程度に1度(保管や塗装の状態、走行状況などによって上下する)施工すれば、塗装を守りながら汚れの付着も抑えてくれる。
その間は通常水洗いやシャンプーの洗車だけで美しい光沢と高い撥水効果を維持してくれるのだ。
また、リアスポイラーやドアミラーの下部もしっかり洗えるようになっているという。スポンジブラシのボリュームも従来比1.3倍になっており、軽自動車から大型サイズのSUVやミニバンまで隅々まで洗えるように容量が大きなものになっているとのこと。
ホイールを洗うブラシも進化しており、高圧水を噴射しながら洗うことで、以前では落ちにくかった、ホイールやタイヤ表面の汚れも落とせるようになっているという。
同社の最新モデルのなかには、女性ユーザーにも安心して利用できるようにしたことなどで2021年度のグッドデザイン賞を受賞した洗車機(1Wayセパレートドライブスルー洗車機「ツインフェクト リーシア」)もあるそうだ。
「以前の洗車機はガソリンスタンド内でも存在をアピールするものとして、どちらかというと目立つ配色を施しているのが多かったのです。しかし最近は、穏やかな白を基調としたシンプルなデザインにして周辺の景観に配慮したモデルも登場するなど変化しています」(同社)
また2019年冬からは、サブスクリプションサービスにも対応できるスマホアプリが登場している。これは地域や店舗によって月額料金が異なるものの、週に1回洗車機を利用するなら元が取れるケースは多いだろう。
いつでも綺麗なボディを保ちたいなら、サブスクで洗車機を利用する価値はある。洗車機とプロのコーティング、そして自分でボディのコンディションを点検しながら行う洗車など、使い分けることでキレイなボディを快適かつコスパよく維持することができるのだ。
定額洗い放題サービス(サブスクリプションサービス)「Wash Pass」
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