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愛車の寿命を伸ばすために!! クルマに乗るなら知っておきたい最低限の整備用語

 愛車のメンテナンスはディーラーや整備工場に任せっきり、という人は多いだろう。もちろん、プロに任せたほうが、素人考えでメンテナンスをしたりしなかったりするよりも、ずっと安心なのだが、やはりある程度はクルマのメカニズムについて知っておいたほうが、整備士の説明にも納得できるし、よりクルマを大事にしようという気持ちが強くなるはず。クルマに乗るならぜひ知っておいてほしい、クルマ整備に関する用語をいくつかご紹介しよう。

文:立花義人、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:Adobe Stock_anekoho
写真:Adobe Stock、写真AC

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オイル交換の2回に1回は交換が必要!! 「エレメント」

 エンジンオイルは、エンジンにとって非常に重要であり、定期的な交換が欠かせないのは、よくご存じだろう。このエンジンオイル交換の2回に1回、交換することが薦められているのが「エレメント」だ。「オイルフィルター」とも呼ばれるが、エレメントはろ過紙のことで、オイルフィルターはろ過紙も含んだカートリッジそのものを指している。

 エンジンオイルはエンジンの各部品を潤滑するだけでなく、洗浄や冷却などの役割も担っている。エンジン内部で過酷な環境にさらされているエンジンオイルは、金属片やスラッジなどの不純物を取り込みながらエンジン内部を循環し、エレメントを通過する。エレメントはこの不純物をろ過し、オイルの効果を持続させるという大切な役割を果たしているものだ。

 もしエレメントが汚れて目詰まりしてしまうと、「リリーフバルブ」が開き、オイルの循環が妨げられないような状態になるのだが、不純物が除去されていないままオイルを循環させるのはエンジンの故障につながりかねない。エレメントを定期的に交換することは忘れないようにしたい。

なめらかな加速や速度の安定に欠かせない、「フライホイール」

 「フライホイール」は日本語で「はずみ車」というもの。一般的な4サイクルエンジンは「吸気・圧縮・燃焼(爆発)・排気」の行程を繰り返すが、このうちエネルギーが発生するのは「燃焼」のみであり、残りの3行程は慣性エネルギーを使って作動させる必要がある。

 フライホイールはクランクシャフトの末端に取り付けられる円盤状の部品で、慣性エネルギーを使ってエンジンの行程をスムーズにさせるという重要な役割を担う。多気筒エンジンのように継続的に燃焼行程が続くエンジンでも、やはり回転ムラは発生するため、フライホイールはなめらかな加速や速度の安定に欠かせない部品だ。

 ただ、一般的なトルクコンバーター式ATでは、内部に入っている液体がぐるぐる回ることによって慣性エネルギーを発生させているため、フライホイールは不要。しかしAT車でも、欧州車に多いDCT(デュアルクラッチトランスミッション)には必須の装備だ。

フライホイール。普段目にすることのない部品ではあるが、エンジンがスムーズに作動するために欠かせない(PHOTO:Adobe Stock_Sergey Ryzhov)

クルマを真正面から見た時のタイヤの角度 「キャンバー角」

 「キャンバー角」とは、クルマを真正面から見た時に、タイヤが垂直方向に対して傾けられている角度のことをいう。ハの字のように付けられた角度を「ネガティブキャンバー」、逆八の字であれば「ポジティブキャンバー」だ。

 ポジティブキャンバーに関しては、ノンパワステの時代には、ハンドルが軽くなる、というメリットがあったが、昨今のクルマはパワーステアリングが装備されているため、あえてポジキャンを付けるクルマは聞いたことがない。一方、キャンバー角をネガティブにすると、コーナーでタイヤが地面に踏ん張ろうとする方向で働き、接地性が向上する。

 レーシングカーではかなりのネガティブキャンバーとなっているが、あまりにも角度をつけすぎるとタイヤの接地面積が減り、効果を発揮できなくなるばかりか、コーナーでタイヤの踏ん張りがきかなくなったり、直進性が悪くなったりと危険。よく聞く「鬼キャン」とは、鬼のように角度が付けられた極端なネガティブキャンバー角のことで、わずかに接地しているタイヤの端だけが摩耗していくことにもなる。これはドレスアップ目的で付けられるものであり、一般的な乗用車はコーナリングスピードが高くないため、そこまで大きな角度は必要ない。

左右輪の速度差を吸収してくれる 「デフ」

 デフとは「デファレンシャルギア」の略で、日本語に訳すと「差動装置」。クルマはエンジンで発生させた動力がトランスミッションに伝わり、それがドライブシャフトを介して駆動輪に伝えられることで走行しているが、直進時にはそれで問題ないものの、カーブでは、カーブの内側と外側のタイヤで走行する距離が違うため(内側のほうが短い)、左右輪が一本の車軸でつながっていると、スムーズに走行することができない。

 デフは左右のタイヤに駆動力を伝えながら、内側と外側の速度差を吸収してくれる機構だ。左右だけでなく前後でも回転差が生じるので、4WD車の場合は「センターデフ」が取り付けられることもある。ただし軽トラなど、一部のパートタイム式4WDにはセンターデフを備えていないため、舗装路では4WDモードは使用しないよう注意書きされている。

 デフの原理については、ここでは割愛するが、その仕組み上「回転抵抗の少ない方に駆動力を配分する」という性質がある。したがって泥や雪道など、ぬかるみにはまってしまった場合は空転しているタイヤにのみ駆動力を伝えてしまい、脱出できなくなってしまう。この弱点を補うために「デフロック」や「ブレーキLSD」といった機構が備わっている車種もある。

 デフの中にはギアを潤滑するオイルが入っており、オイルの劣化やオイル漏れが原因で異音や故障が発生することもある。滑りやすい路面を走行することが多い場合など、過酷な条件でクルマに乗るドライバーは定期的な点検やメンテナンスを心がけたい。

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 普段目に見えないところにあるパーツがどんな働きをしているのかを知っていると、聞き慣れない異音や振動を察知することができ、クルマの異常を早い段階で見つけることができる。クルマが新しいから、メンテナンスはしっかりしているから大丈夫と過信せず、愛車を長く乗り続けるための知識として身に着けるようにしたいものだ。

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