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 悲惨な事故が起きたり、罰則が強化されたりしたときには話題となる交通違反。酒気帯び運転や速度超過などは誰でも覚えているだろうが、中には「え、これが違反だったの!」と言いたくなるような内容もある。

 「知らなかった!」と悔やむ前に、うっかりやってしまいそうな馴染みのない交通違反を10例、紹介しよう。

文/齊藤優太、写真/齊藤優太、Adobe Stock(トップ写真=Nomad_Soul@Adobe Stock)

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ゆっくり走りすぎても違反!(最低速度違反/1点/6,000円)

スピードは出しすぎると違反だが、出さなすぎても違反になる(Andriy Bezuglov@Adobe Stock)

 スピードは出しすぎると違反だが、出さなすぎても違反になる。最低速度違反は、道路交通法第23条と第75条の第4項に違反した場合に適用される。最低速度の標識は、速度の標識の数字の下にアンダーバーがあるため、見分けがつきやすいだろう。

 高速道路などにおいて標識等による最低速度の定めがない場合は、50km/hが最低速度となる。ただし、事故などのやむを得ない事情がある場合には、最低速度を下回る速度で走行しても問題はない。

後ろから歩行者や自転車がくるかも?(安全不確認ドア開放/1点/6,000円)

 「安全不確認ドア開放」は、道路交通法第71条「運転者の遵守事項」第4項の3に違反すると適用される。条文には、ドアを開けるときに、交通に危険を生じさせないよう安全確認しなければならないと定められている。

 また、同乗者の乗り降りによって周囲の交通に危険を生じさせた場合は、運転者の責任となる。つまり運転者は、自分の乗り降りだけでなく、同乗者の乗り降りの際にも周囲の安全確認をしなければならない。

ハイビーム攻撃はだめ!(減光等義務違反/1点/6,000円)

ハイビームは前から来る運転者にとっては目を開けられないほど眩しい。最近ではLEDが増えているのでなおさらだ(筆者撮影)

 「減光等義務違反」は、対向車と行き違うときや他の車のすぐ後ろを走行するときにヘッドライトを減光または下向きに切り替えない場合に適用される。

 ハイビームのほうが照射範囲が広く先の状況まで見やすくなるが、他の車両等の運転者にとっては目を開けられないほど眩しい。交通量が多い場所や対向車がいるとき、他の車の直後を走行するときは、ヘッドライトの向き(上向きと下向き)を気にするようにしてもらいたい。

バスの出発を邪魔しちゃダメ!(乗合自動車発進妨害/1点/6,000円)

 「乗合自動車発進妨害」は、停留所で止まっている路線バスなどが方向指示器などで発進の合図をしているにも関わらず、発進を妨げた場合に適用される(道路交通法第31条の2)。ただし、急ブレーキや急ハンドルで避けなければならないような場合は例外となる。

コンタクトの付け忘れもNG!(免許条件違反/2点/7,000円)

「免許条件違反」は、免許に付されている条件に反したときの違反だ。例えば、AT限定免許の人がMT車を運転した場合や眼鏡等の条件が付されているにも関わらず眼鏡やコンタクトを着用せずに運転した場合などに適用される。

児童や幼児の歩行を妨げない(幼児等通行妨害/2点/7,000円)

監護者が付き添わない児童や幼児が歩行しているときは、一時停止または徐行しなければならない。また、児童や幼児等の乗降のために停車している通学通園バスの側方を通過するときは徐行して安全を確認する(Photographer YOSHI@Adobe Stock)

 「幼児等通行妨害」は、道路交通法第71条2項から3項に違反した場合に適用される。条文には、「監護者が付き添わない児童や幼児が歩行しているときは、一時停止または徐行して、通行や歩行を妨げないようにしなければならない」と定められている。

 また、「児童や幼児等の乗降のために停車している通学通園バスの側方を通過するときは徐行して安全を確認すること」とも明記されている。これらに違反すると「幼児等通行妨害」となる。

 注意しなければならないのは、「幼児“等”通行妨害」の「等」だ。等には、児童や幼児だけでなく、身体障害者用の車椅子で通行している人、目や耳に障害があり規定に基づく杖や盲導犬を連れている人なども含まれる。

許可を得たからと油断は禁物(歩行者用道路徐行違反(2点/7,000円)

 「歩行者用道路徐行違反」は、車が歩行者用道路を通行する際、歩行者に注意して徐行しなかった場合に適用される(道路交通法第9条)。この違反は、警察署長の許可を得て歩行者用道路を通行する車両や通行禁止の対象から除外されている車両に対して適用される違反となる。

 そのため、日頃から関わりがある違反ではないが、何らかの事情により歩行者用道路を通行する許可を得たときや通行禁止対象から除外された車両で通行するときに注意しなければならない。

免許証の提示に従わないと……(警察官現場指示違反/2点/3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金)

 「警察官現場指示違反」は、警察官の指示に従わなかった場合に適用される。例えば、交通規制していた警察官の指示を無視して進行した場合などに適用される違反だ。また、免許証の提示を求められる道路交通法第67条「危険防止の措置」に違反したときにも適用されることがある。

道路の損壊時などに注意(警察官通行禁止制限違反(2点/3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金)

事情により道路に交通の危険が生じるおそれがあるときに、警察官は歩行者や車両等の通行の禁止や制限ができる。この警察官の通行禁止制限に反した場合「警察官通行禁止制限違反」となる(jaraku@Adobe Stock)

 「警察官通行禁止制限違反」は、道路交通法第6条「警察官等の交通規制」の第4項に違反した場合に適用される。

 警察官は、道路の損壊や火災の発生、その他の事情により道路に交通の危険が生じるおそれがあるときに、歩行者や車両等の通行の禁止や制限ができる。この警察官の通行禁止制限に反した場合「警察官通行禁止制限違反」が適用される。

正常な運転ができないことは重罪!(過労運転等/25点/3年以下の懲役または50万円以下の罰金/免許取消処分)

 「過労運転等」は、道路交通法第66条「過労運転等の禁止」に違反した場合に適用される。条文には「何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と定められている。

 また、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤などの影響により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転した場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。

「知らなかった」では済まされない交通違反

「知らなかった」や「そんな違反は聞いたことない」とならないためにも、馴染みがない違反も改めて頭の片隅に入れておきたい(筆者撮影)

さまざまな交通違反がある中で、聞き馴染みがない違反を紹介してきた。「知らなかった」や「そんな違反は聞いたことない」とならないためにも、今回紹介した違反を頭の片隅に入れておくことをおすすめする。

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