2022年F1第20戦メキシコGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察し、印象に残った点などについて解説。第1回「速さを見せたメルセデスW13が敗北した理由」、第2回「高地でフェラーリを苦しめたエンジン特性」 に続く今回は、アルファロメオの躍進をもたらしたアップデートに注目した。
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アルファロメオは、鈴鹿とオースティンで、C42にかなり大きなアップデートを投入した。日本GPでは新型フロントウイング、アメリカGPでは新型フロアを導入。この2戦ではポイント獲得に結びつかなかったものの、続くメキシコGPではバルテリ・ボッタスが予選6番手に躍進した。
アメリカGPで投入した改良版フロアに、チームは好感触を示していた。下の写真では、スポイラーとアンダーボディの入口の水平部分との接合部が、角張らずに丸みを帯びている(黄色で示した部分参照)。その差はわずかだが、チーフオペレーティングエンジニアのセビ・プジョラールは、「小さな一歩だが、前進には間違いない」と言明していた。アルピーヌはすでにA522のこの部分を、同じようにデザインし直している。
メキシコGPでボッタスは、フェラーリの2台に割って入る6番手を獲得。しかし決勝レースはスタートで出遅れ、ハードタイヤという選択ミスもあって10位まで後退した。それでもコンストラクターズ選手権6位をアストンマーティンと僅差で争っているアルファロメオにとっては、貴重な1ポイントだった。
一連のアップデートによって、C42は優れた俊敏性を獲得したといえる。それはメキシコのセクター1と3での低速コーナーで、特に威力を発揮した。俊敏性だけでなく、縁石の段差をうまく吸収する能力、そこにグリップ不足でも速く走れるボッタスの能力が加わったことが、予選6番手の健闘につながった。
ちなみにボッタスはメルセデス時代の昨年、メキシコでポールポジションを獲得。同じくグリップの少ないソチでも常に優秀な成績を残している。