2022年F1第18戦日本GPの決勝が行われ、オラクル・レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンが優勝し、2022年シーズンのチャンピオンに輝いた。2位はセルジオ・ペレス(レッドブル)、3位はシャルル・ルクレール(フェラーリ)となっている。角田裕毅(アルファタウリ)は13位だった。
日本GP決勝当日は、正午過ぎから雨が降り始め、午後2時のスタート時点では雨足がさらに強くなってきた。レース中の降水確率は100%。強弱はあるものの、終始雨が降り続ける可能性が高い。気温17.5度、路面温度21.8度という低温コンディション。路面グリップの高さからすれば、スタートタイヤはインターミディエイトが定石だが、かなりズブ濡れ状態であり、フルウエットタイヤで出走するドライバーもいそうだ。
17番グリッドだったピエール・ガスリー(アルファタウリ)は「リヤがすごく滑る」と訴え、ハイダウンフォースのリヤウイングにセッティング変更。ピットレーンスタートとなった。スタートタイヤは、全車インターミディエイト。そしてグリッドからのスタンディングスタートだ。しかし同じくウエットだった初日よりも、明らかに雨量は多い。
フロントロウのルクレールが、スタートで先行。そのまま1コーナーを制するかと思われたが、2コーナーまでサイド・バイ・サイドで競り合ったフェルスタッペンが首位を奪い返した。後方ではフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)をアウト側から抜こうとしたセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)が接触しスピン。16番手まで後退した。
さらにカルロス・サインツ(フェラーリ)が、ヘアピンからスプーンに向かう途中で単独クラッシュ。アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)もヘアピン立ち上がりで、マシントラブルでリタイアを喫した。これでセーフティカー(SC)が導入され、天候がさらに悪化したことから3周目で赤旗中断となった。
中断時点で首位フェルスタッペン、2番手ルクレール、3番手ペレス、4番手エステバン・オコン(アルピーヌ)、5番手ルイス・ハミルトン(メルセデス)、6番手アロンソ、7番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)、8番手ダニエル・リカルド(マクラーレン)、角田は13番手から9番手まで順位を上げた。ミック・シューマッハー(ハース)も15番手から10番手と、入賞圏内に這い上がってきた。ガスリーはサインツの跳ばしたロレックスの看板をもろに被って、前方がまったく見えない状態に。最下位18番手でピットに戻った。スペアパーツがないため、ガスリーは旧型ノーズに付け替えた。
「ウエットウェザー」が宣言され、全車深溝のフルウエットタイヤ装着が義務となった。14時50分からSC先導のローリングスタートの予定だったが、雨足は衰えずに延期。マシンの上に再びテントが組み立てられ、ドライバーたちはマシンを降りた。
なおSC導入中にコース脇に重機が出てきて、事故車を処理しようとしたことに対し、ガスリーが猛然と抗議した。2014年の鈴鹿で、親友だったジュール・ビアンキを失ったルクレールの状況が、いやおうなく思い出されたのだろう。
16時04分、「16時15分にレース再開」の表示が出た。本来のレーススタート時間から2時間15分後の再開だ。そして全車、ウエットを装着。今回もローリングスタート形式だ。まだ小雨は降っているが、上空は徐々に明るくなっている。残り時間は50分を切り、レース半分の周回数27周を走り切れるかは微妙だ。
5周目にSCがピットに戻り、6周目からレースが始まった。残りは40分を切った。ベッテル、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)がピットインし、インターに履き替えた。続いてランド・ノリス(マクラーレン)、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)もピットに向かう。
8周目、ベッテルが1分39秒台のペースで走るのを見て、フェルスタッペンを先頭にルクレール、ペレスらがピットに飛び込んで行った。アロンソ、リカルドはSC狙いでピットインのタイミングを遅らせていたが、待ちきれず次の周にピットイン。シューマッハーだけは、ステイアウトだ。
10周目を終えて、首位フェルスタッペン、2番手ルクレール、3番手シューマッハー、4番手ペレス、5番手オコン、6番手ハミルトン。角田はラティフィ、ノリスに先行され、11番手に後退した。ウエットタイヤの不利は明白だが、シューマッハーはなぜか走り続けている。それでも11周目に、ようやくピットインした。
10番手に上がった角田を、ラッセルが激しく追う。5番手ハミルトンも、オコンのコンマ5秒以内につけている。15周目の時点で、首位フェルスタッペンはルクレールとの差を9秒6まで広げた。残り時間は20分を切り、16周目、ラッセルが逆バンクからダンロップにかけて、角田を抜き去って行った。立て続けにノリスもかわしていき、ラッセルは9番手に上がった。
ルクレールはフロントタイヤのグリップ不足に苦しみ、18周目には12秒まで離された。しかしここでピットインすると、大きく順位を落としてしまう。20周目、ラッセルが抜きあぐねていたラティフィをようやく仕留めて8番手に。ここで11番手の角田がピットイン。16番手まで後退した。
22周目、7番手アロンソもピットへ。10番手でコースに復帰した。そしてノリス、ラティフィを次々に抜いて、あっという間に8番手まで順位を戻した。上位勢を見ると、フェルスタッペンは20秒以上の大差をつけて首位を快走。一方で3番手ペレスが、ルクレールに追いついてきた。ふたりがバトルを繰り広げる間に、フェルスタッペンは29周を走り切って、鈴鹿初優勝を決めた。
ルクレールは最終周のシケインをショートカット。それでもペレスの猛追を振り切って、2位でチェッカーを受けた。3位ペレス、4位オコン、5位ハミルトン、6位ベッテル、7位アロンソ、8位ラッセル。ラティフィは9位に入って、今季初入賞を果たした。10位ノリス。角田は13位まで追い上げたが、入賞圏内に届かなかった。ガスリーは17位完走だった。
レース後、ルクレールがシケインをショートカットしたことでで5秒ペナルティを受け、3位に降格。この瞬間、フェルスタッペンの2連覇が決まった。鈴鹿でのタイトル確定は、2011年のベッテル以来となる。