自動車を運ぶ「キャリアカー(車両運搬セミトレーラ)」の国内トップメーカーとして知られる浜名ワークスは、フルオーダーメイドの平ボディの生産/架装でも知る人ぞ知る存在。そんな同社が今回、ユーザーのこだわり満載の平ボディを完成させたので、さっそくレポートしてきた。
一体どんなクルマに仕上がっているだろうか?
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年9月12日発売「フルロード」第46号より
浜名ワークスはこんな会社!
浜名ワークスは、静岡県浜松市に本社工場を置く架装メーカーで、自動車を運搬する「キャリアカー」の生産/架装で有名。キャリアカーは単車、セミトレーラ、フルトレーラをラインナップしており、国内トップシェアを誇る。
また、キャリアカー以外にも特装車やカーゴ系トラックボディの生産/架装を幅広く行なっており、カーゴ系トラックボディでは側面開放車(ウイングボディ)の「ハミック」のほか、フルオーダーメイドの平ボディの生産/架装も行なっている。
今回紹介するのは、工作機械の運搬/据え付けを行なう愛知県名古屋市のユーザーの依頼で製作されたクレーン付き平ボディ。ユーザーのコダワリに応えるため、細部まで職人が手作業でつくり込んだ注目の一台だ。
ベース車両は三菱ふそうの大型トラック
ベース車両は三菱ふそうスーパーグレートFS系4軸低床リーフサスシャシーのベッド付きフルキャブ/標準ルーフ仕様で、ユーザーの「狭いところにも入っていけるよう、リアオーバーハングを短くしたい」との要望を受けて、あらかじめトラックメーカー側でリアオーバーハング部のフレームを約800mmカットしている。
キャブバックのクレーンはタダノ「カーゴクレーン・ゼスト・エコ(吊上荷重2.95t)」のセルフローダー仕様で、シャシーフレームの折れ曲がり防止のため、クレーン装置の土台は通常より長い特別製を装着。これに合わせて荷台側の縦根太やスペーサーも専用設計されている。
根太構造は、ユーザーの「なるべく床を低くしたい」との要望に応えるため、横根太を縦根太に貫通させる「かみ合わせ」仕様を採用。かみ合わせ仕様は通常、縦根太と横根太の高さを揃えて、その上に床板を敷くが、今回は横根太を少し低くマウントし、床板を縦根太とツライチになるよう配置する手の込んだ仕様を採用している。
これにより、エアサスシャシーに比べて低床化に不利とされるリーフサスシャシーで床面地上高1050mmを実現。ちなみに通常のかみ合わせ仕様の場合はこれより50mm高い1100mmになるという。わずか50mmと思うかもしれないが、現場ではこの50mmで作業できる、できないが発生するのだ。
コダワリ満載の荷台
荷台は5方開で、荷台寸法は内法長7070mm×内法幅2350mm。鳥居は珍しい前後2分割式で、固定式の前側はシンプルな壁の構造の前面上部に荷台カバーを置くためのラックを搭載。後ろ側はボルトオンの脱着式(奥行き450mm)で、上段に3つ、中段に1つ、下段に2つの収納スペースを備える。
「荷物を固定するためのフックをたくさんつけてほしい」との要望を受けて、床面は左右と中央にレールを設け、その中にフックを多数搭載。床枠にも多数のフックを搭載し、さまざまな角度から積み荷を固定できるようにしている。
また、積み荷の固定時にワイヤーを支えるサイドアオリは、一般的なアルミブロック製だと強度不足で曲がる恐れがあったため、ステンレスの曲げ材と平板を加工してつくったオリジナル品を採用。浜名ワークスの職人が手作りしたオリジナルアオリは、ただ頑丈なだけでなく、使い勝手も考えられたもので注目度バツグンだ。
前後にアウトリガーを備える高積載仕様のクレーンを搭載し、なおかつリアオーバーハング部のフレームをカットしているため、シャシー下回りの架装スペースは少なめ。収納スペースは、左側ホイールベース間の燃料タンク後方に1つと、右側リアオーバーハング部のリアアウトリガー後方の1つのみとなっている。
なお、同車両は取材段階で登録前だったため最大積載量など細かいスペックは不明である。
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