マツダ3、三菱eKシリーズ、トヨタヤリス、スバルインプレッサスポーツ、スズキスイフト。実用性の高さで人気の5台に共通しているのが「パワーユニットが複数ある」こと。
マツダ3はガソリンにハイブリッド、さらにはディーゼル。eKシリーズにおいては、バッテリーEVまで選択可能だ。こうやっていろんなパワーユニットが選べるのはありがたいけど、一体どれを選べばよいのか分からない! といった人も多いだろう。
今回は各モデルのパワーユニットから、ハンドリングや乗り心地、コスパなど多角的な視点から採点し最もお薦めのパワーユニットを決定! 購入検討中の方、必読です!!
※本稿は2022年8月のものです
文/国沢光宏、橋本洋平、片岡英明、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部、トヨタ、三菱、スバル、マツダ、スズキ
初出:『ベストカー』2022年9月26日号
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■マツダ MAZDA3
●マツダ MAZDA3 パワーユニット一覧
・直4、1.5L(価格:228万8000~266万7500円)…エンジン:111ps/14.9kgm
・直4、2Lマイルドハイブリッド(価格:258万2800~294万300円)…エンジン:156ps/20.3kgm、モーター:6.9ps/5.0㎏m
・直4、1.8Lディーゼルターボ(価格:285万7800~321万5300円)…エンジン:130ps/27.5kgm
・直4、2L SKYACTIV-X(価格:285万7800~384万2280円)…エンジン:190ps/24.5kgm、モーター:6.5ps/6.2kgm
華々しく登場してきたマツダ3ながら、ここにきて売れゆきは伸び悩んでしまっている。鳴り物入りで登場したSKYACTIV-Xも厳しい。何とかテコ入れしようということなんだろう。2Lのマイルドハイブリッドを投入してきた。結果、4つのパワーユニットから選べるという贅沢な悩みをしなければならなくなった?
私のイチオシは130ps/27.5kgmを発生する1.8Lディーゼル。上手に乗れば燃費が20km/L近くまで伸びるし、動力性能だって必要にして充分! ただチョイ乗りを繰り返すような乗り方だとエンジン内部にススが溜まって調子が出なくなる。年間走行距離で1万5000km以上の人ならバッチリです。
コスパを重視するなら追加された156psの2LマイルドHVでしょう。発電機をモーターとして使う「なんちゃってハイブリッド」だから安価。111psしかない1.5Lより20万円しか高くない。試乗していないものの、燃費も同等。すべての点で1.5Lを凌ぐ性能を持つ。
そもそも1.5Lはこれといった特徴のない徹底的に普通のパワーユニットだし、価格もお買い得感がないどころか、割高感すら出てしまった。これから買うならディーゼルかマイルドHVの2択かと。
SKYACTIV-Xは2Lより70万円近く高い! 最高出力こそ190psで156psの2Lを凌ぐが、ロードスター用の184psを搭載したほうが軽くなるため、性能は同等だと思う。自慢の燃費もハイオク仕様のため、2Lより実質的に高くなってしまう。難しいパワーユニットです。(TEXT/国沢光宏)
■結論!…直4、1.8Lディーゼルターボがベスト! 年間1万5000km以上走る人には最適。コスパなら2Lマイルドハイブリッドだ!
■三菱 eKシリーズ
●三菱 eKシリーズ パワーユニット一覧
・直3、0.66Lマイルドハイブリッド(価格:146万3000~173万8000円)…エンジン:52ps/6.1kgm、モーター:2.7ps/4.1㎏m
・直3、0.66Lターボマイルドハイブリッド(価格:168万8500~182万500円)…エンジン:64ps/10.2㎏m モーター:2.7ps/4.1㎏m
・EV(価格:239万8000~293万2600円)…モーター:64ps/19.9kgm
S-HYBRID+ターボが生み出すトルクフルな加速は魅力のひとつ。軽自動車であることを意識せず、64psの自主規制があるとはいえ、10.2kgmのトルクによって、低回転からスイスイと加速してみせる。
最近ではEVモデルが登場して、そのインパクトを奪われてしまった感があるが、冷静に考えれば普通車並みというか、それ以上によく走ってくれるのは言うまでもない。高速巡行をするシーンが多いようなユーザーであればコチラがお薦めとなるのは間違いない。
だが、ここはあえてNAのハイブリッドモデルを推しておきたい。自然吸気モデルであっても最大トルクが15%も旧型比で増したというエンジンは、新開発 CVTとのマッチングがなかなか。副変速機を廃止、ギア比の上下幅を広げることで、実用域を鋭く加速させてくれるからだ。
また、S-HYBRIDはリチウムイオンバッテリーを採用したことで、回生エネルギーが約2倍、アイドリングストップ時間が約10%アップ。さらにはモーターアシスト時間が10倍以上に引き上げられているのだ。
こうした合わせ技があるからこそ、自然吸気モデルだって満足できる走りを展開してくれる。価格も燃費もターボに比べれば有利ということもあるし、ここは自然吸気をお薦めしたい。(TEXT/橋本洋平)
■結論!…直3、0.66Lマイルドハイブリッドがベスト! 満足できる走りを実現。価格や燃費の面でターボより有利!
■トヨタ ヤリス
●トヨタ ヤリス パワーユニット一覧
・直3、1L(価格:147万~164万5000円)…エンジン:69ps/9.4kgm
・直3、1.5L(価格:154万8000~216万9000円)…エンジン:120ps/14.8kgm
・直3、1.5Lハイブリッド(価格:201万3000~252万2000円)…エンジン:91ps/12.2kgm、モーター:80ps/14.4㎏m
ヴィッツからヤリスになり、4気筒だったエンジンは3気筒へ。ヴィッツ時代にも1Lモデルで3気筒モデルを搭載していたが、それはあくまで廉価版であり、振動や回転フィールはお世辞にも誉められた仕上がりではなかったと記憶する。
そんなネガティブな感覚を払拭してくれたのが、1.5Lのガソリンモデルだ。このエンジンはハイブリッドの1.5Lとは違い、振動対策としてギア駆動式のバランサーシャフトを備えているところがポイントのひとつ。
ちなみにハイブリッドの1.5Lは1000回転以上の燃焼効率のいい領域で常に回しているため、バランサーシャフトがなくてもイケると判断された。
走れば低回転から滑らかで高速域までストレスフリーに吹け上がる。これで3気筒アレルギーも払拭だ。(TEXT/橋本洋平)
■結論!…直3、1.5Lがベスト! 低回転から滑らかに高速域までストレスフリーに吹け上がる!!
■スバル インプレッサスポーツ
●パワーユニット一覧
・水平対向4、1.6L(価格:200万2000~246万4000円)…エンジン:115ps/15.1kgm
・水平対向4、2L(価格:224万4000~295万9000円)…エンジン:154ps/20.0kgm
・水平対向4、2ℓマイルドハイブリッド(価格:256万3000~281万6000円)…エンジン:145ps/19.2kgm、モーター:13.6ps/6.6kgm
伝統の水平対向4気筒エンジンに磨きをかけるとともに洗練度の高いハンドリングを身につけている5ドアハッチがインプレッサスポーツだ。1.6Lと2Lエンジンがあり、後者にはモーターを加えたハイブリッドも設定する。
他のファミリーカーと違いスバルの主役は、ピュアエンジンだ。今のところハイブリッド車は脇役となっている。マイルドハイブリッドだからモーターの存在感は薄く、実用燃費も今一歩だから、素性のいい純エンジン車に目を向ける人が多いのである。
1.6Lエンジンでも活気ある走りを楽しめるが、燃費は2Lエンジンと大差ない。となると実用域で余裕があり、パンチある加速も楽しめる2Lエンジンに魅力を感じる。選択肢が多く、STIスポーツも用意されているなど、イチオシは2Lエンジンだ。(TEXT/片岡英明)
■結論!…水平対向4気筒、2Lがベスト! 実用域での余裕がありコスパにも優れる2Lが魅力的!
■スズキ スイフト
●パワーユニット一覧
・直4、1.2L(価格:153万5600~194万3700円)…エンジン:91ps/12.0kgm
・直4、1.2Lマイルドハイブリッド(価格:163万3500~203万7200円)…エンジン:91ps/12.0㎏m、モーター:3.1ps/5.1kgm
・直4、1.2Lハイブリッド(価格:208万7800円)…エンジン:91ps/12.0kgm、モーター:13.6ps/3.1kgm
コンパクトカー作りに長けたスズキの作品だけに完成度は高い。スイフトスポーツ以外は1.2Lの直列4気筒エンジンを搭載する。だが、3機種のエンジンを用意し、モーター付きはマイルドハイブリッドに加え、ストロングハイブリッドを設定した。
ストロングハイブリッドは意欲作だ。電動走行でき、ミッションも2ペダルMTの5速AGSを組み合わせた。高効率で力強く走り、燃費もいいが、変速にコツがいるなど、万人向きじゃない。
FF車と4WD車を選べ、優れたドライバビリティを披露するのがマイルドハイブリッドだ。ハイブリッドRSなら7速CVTになり、さらに楽しい走りを引き出せる。自然吸気の1.2Lも素性のいいエンジンで、実用燃費はハイブリッドに肉薄。コスパではガソリン車がオススメ。(TEXT/片岡英明)
■結論!…直4、1.2Lマイルドハイブリッドがベスト! コスパで選ぶなら直4、1.2Lとなるが、トータル的にマイルドハイブリッドが魅力
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