FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、F1に関連するインターネット上の嫌がらせ行為について、FIAが直接ソーシャルメディアプラットフォームと取り組みを行っていると述べている。
FIAの取り組みは、FIAのスチュワードのシルビア・ベロットが、先月のアメリカGP後に攻撃の標的にされるという、直近の事件がきっかけとなった。オースティンでのレース後、アルピーヌのフェルナンド・アロンソがレース中に危険な状況で走行したとハースが申し立てを行ったが、ベロットはその申し立てに対して裁定を下した4人のスチュワードのうちのひとりだった。
アロンソはレース後に30秒のタイムペナルティを科せられたため、ポイント圏外に降格した。この判定をきっかけに、ソーシャルメディア上で批判や罵倒が相次いだが、殺害予告までも含む攻撃的な憎悪の標的にされたのは、主にベロットだった。
火曜日にFIAが発表した声明の中で、会長のビン・スライエムは、インターネット上の有害行為のレベルは危機的状況に達しており、団結して行動すべき時が来たと明言した。
「最近、FIAの女性スチュワードのひとりであるシルビア・ベロットが殺害予告の対象となった。シルビアやマーシャル、オフィシャルといった、レース運営のために無償で時間を割いてくれている人々がこのような憎しみの対象になるのは、大変に嘆かわしいことだ」
「実際にここ数年、多くのFIAスタッフがハラスメントやヘイトの投稿の標的になってきた。我々のボランティア、オフィシャル、従業員たちがこのような過度の嫌がらせを受けることは絶対に容認できない。我々のスポーツにそのような嫌がらせの場所はない。嫌がらせは、我々や我々の愛する人たちのメンタルヘルスに壊滅的な影響を及ぼす」
「私は常に我々のスタッフとボランティアのために立ち上がる。そしてはっきりさせておきたいのは、こうした人々がいなければレースは成り立たないということだ。このような環境のなかで、誰がオフィシャルのトップを目指したいと思うのか、自問自答する必要がある。事実は明白だ。この状態が続いたら、我々のスポーツは崩壊するだろう」
「レフェリーや会長として、自分が下した判断に反対する人々がいることはもちろん予想できることだ。だがそうした意見やコメントは尊重されることを期待すべきだ。それはますますもって稀なことなのだ」
「協力的なアプローチを通してのみ、F1におけるこうした悪との戦いに一定の成功を収めることができる。我々はすでに以下のようなアクションを通じてプロセスに着手している」
-我々はソーシャルメディアプラットフォームが役割を果たすように、彼らとの対話を開始した。また、政府や他のスポーツ統括団体と一丸となって共同のアクションへのコミットメントを強化するために、協業を始めている
-我々はFIAユニバーシティを通じて、スポーツ特有のデジタルヘイトと有害なコメントに関する調査を行っている。これは、知識の共有、教育、予防のためのプラットフォームとなる
-我々はArwen.aiと提携し、同社のAIソフトウエアを活用して、我々のチャンネルにおける誹謗中傷的なコンテンツを検知し、撲滅している
「今後数カ月の間に、5大陸146カ国の244のモータースポーツ団体からなる連盟全体のパワーとリーチを活用し、組織的キャンペーンを開始する予定だ」
このキャンペーンは、『Drive it Out』の取り組みを通じた、FIAとF1との協働作業がベースとなるだろう。
「今月後半のアブダビGPではこのことについてさらに話をする」
「スポーツの世界には熱い情熱があるが、ネット上の嫌がらせや罵倒、ヘイトスピーチは許されることではない」
「メディア、チーム、ドライバー、ファンなど、我々のスポーツに関わるすべての人々が役割を持っている。我々はこのことを無視することはできない。モータースポーツのエコシステム全体が立ち上がることを強く要請する」
「我々は声を上げなければならない。嫌がらせを止めなければならないのだ」