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 乗り物を大きさで区分けすると、電車なら「18m級」や「21m級」などに分けられる。トラックだったら「2トン車」・「10トン車」といった重さを基準にすれば整理できるのだ。

 バスのサイズを長さで表現する機会はあまりない、と、前回のエピソードで紹介したが、重さではどうかと言えば、これまた「10トンバス」のような分類の仕方は基本的にしない。長さと同様、バスが何トンあるのか気にしたことすらないのが実情かも!? そこで今回は、バスの重さに注目してみた!

文:中山修一
写真:バスマガジン編集部


重いの?軽いの? 長さ別に重量を見る!

 各社のカタログ値をもとに、車両の区分(長さ)別にバスの重量を調べてみると、大体ではあるが下記のようになった。

【大型バス】
●路線バスタイプ 長さ約10.5m車
9.3〜10.7トン(13〜15トン)

●観光・高速バスタイプ 長さ約12m車
12〜13トン(15〜17トン)

【中型バス】
●路線バスタイプ 長さ約9m車
7.9〜8トン(11トン)

【小型バス】
●路線バスタイプ 長さ約6〜7m車
5.4〜5.8トン(6.8〜7.7トン)

【マイクロバス】
●長さ約6.2〜7.7m車
3.6〜4.2トン(5〜6トン)

【ワゴン車】
●長さ約5.3m車
2〜2.2トン(2.8〜3トン)

 プリウスなど一般的なハイブリッドカーの重量が1.4トンくらいなので、その数値で大まかに換算すると、小型バスなら乗用車4台分、中型で5台分強、大型路線バスが約7.5台分、観光・高速バスタイプだと約9台分にも及ぶ。車体が大きいだけあり、バスに結構な重量があることは確かなようだ。

長さ約10.5mの大型バス車両の総重量は13〜15トン。

 長さが近い大型トラックの重量を引き合いに出すと、長さ約10mのカーゴトラックが8.3トン、12m車で9.2トンほど。何気にトラックよりもバスの方が重かったりするのだが、前述のカッコ内の重さを加味するとまた結果が変わってくる。

重さが2つあるワケ

 1台の車にどうして重さが2つあるのか。自動車の重さを示す際は、車両本体の重量=車両重量と、本体に加えて荷物や人も含めた数値=車両総重量を一緒に記すようになっている。

 例えば大型観光・高速バスの12〜13トン(15〜17トン)の場合、カッコ内は最大定員まで乗せた場合の重さを表している。人を乗せるための自動車では、一人あたり55kgで計算するのが基本だ。

 車両重量ではトラックよりも重いバス車両であるが、カーゴトラックの総重量で見ると10m車で約22トン、12m車で約25トンにもなり、バスの方が遥かに軽くなるのだ。

三菱ふそうエアロスターの諸元表より。重量の項目(一番下)が二つあるのが見て取れる。

重さと定員の関係

 車種が同じバス車両でも重量に多少の開きがある。これは定員が多くなるほど重くなるかと言えばそうでもなく、人よりも搭載している装置や機構によって変化するところが大きい。では、バスの定員は各サイズ何人くらいなのだろうか。

 車両のサイズはもちろん、郊外型やラッシュ対応型などのタイプによって乗せられる人数が異なるのだが、大型路線バスで76〜87人、大型観光・高速タイプが51〜62人、中型61人、小型25〜36人、マイクロ25〜33人、ワゴン車14人、と言ったところだ。

中型免許でも運転できる!?

 運転免許の区分で最も重要な要素が重さと定員だ。免許の条件を踏まえると、バスと呼ばれる大抵の車両は大型免許がないと運転できない。

 定員29人以下で総重量が10.99トンを切る車種なら中型免許でOK(要限定解除)だが、条件に当てはめやすい大きさであるマイクロバスとワゴン車以外にも、小型バスの区分に入るごく一部の車両も該当する。

 最近の車種では日野ポンチョの6.3m車が定員25〜29人・総重量最大7.7トンと、中型免許の基準をクリアした珍しいバス車両と言える(営利目的ならもちろん二種免許も要る)。

 もしも、5人乗りで総重量7.5トンを切る自家用のポンチョを作れば、法律上は準中型で行ける説もなくはない。

 それほど気にすることのなかったバスの重さ。よく街中を走っている大きめの路線バスや観光バスなら、10トンくらい・またはそれ以上あるとイメージしておけば良いようだ。重量をバス趣味のアプローチにしてみるというのも、なかなかどうして新鮮味を感じる。

投稿 バスって中身が空っぽだから実は軽いんじゃね? でも……バスってどれくらい重いの?自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。