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 元F1ドライバーで現在『Sky Sports』のコメンテーターを務めるマーティン・ブランドルは、現在のF1コストキャップの規定は非常に手ぬるいとして、FIAは見直しを図るべきであると主張した。コスト上限額の5パーセント未満の超過であれば、“軽微な違反”とみなされるが、5パーセントは700万ドル(約10億円)以上に上り、決して小さな額ではない。

 FIAは10月10日、2021年F1財務レギュレーションに基づく10チームの監査結果を発表、2021年にレッドブル・レーシングは手続き上の違反に加え“軽微な支出超過違反(Minor Overspend Breach)”を犯していたこと、アストンマーティンは手続き上の違反を犯していたことを発表した。ペナルティについては後日決定される。

 レッドブルはFIAの声明を受け、違反を犯していないと改めて主張した。

2022年F1第17戦シンガポールGP レッドブルF1チーム代表クリスチャン・ホーナー
2022年F1第17戦シンガポールGP レッドブルF1チーム代表クリスチャン・ホーナー

“軽微な支出超過違反”は、コストキャップ上限額の5パーセント未満の違反で、これに対しては金銭的ペナルティおよび/または“マイナー・スポーティング・ペナルティ”が科される。具体的には、戒告、ドライバーズあるいはコンストラクターズポイントの減点、リザルトからの除外や出場停止、空力テストの制限、コストキャップの減額といったものが科される可能性がある。

 2021年のコスト上限額は1億4500万ドル(約212億円)だった。その5パーセント未満ということであれば、700万ドル(約10億円)以上に上る可能性もある。それほどの額の超過を“軽微な違反”とみなすのは問題であると、ブランドルは主張する。

「コストキャップの軽微な違反は最高で5パーセントの支出超過になるというのは、私には全くクレイジーに思える」とブランドルは『Sky Sports』において語った。

「700万ドル(約10億円)あれば、大規模なマシンアップグレードが可能だ。チームによってはBスペックを持ち込むこともできるかもしれない」

「まずはそれをもっと厳しくする必要がある。1億4500万ドル(約212億円)という制限があるのに、5パーセントという異なる値が定められているのはなぜなのか?」

「(レッドブル以外の)他のチームは、『これだけあれば2022年に向けて有利なスタートを切ることができるし、そのマシンは2023年にも持ち越されるため、利点は大きい』と言っている。明確にコストキャップを守り、上限額を下回るようにしないと、困ったことになるだろう」

「(規則導入の)初年度にFIAが厳しく取り締まろうとするかどうかを見ていこう。いずれにしても取り締まりを厳格にする必要はある。事実を明確にし、厳密にしなければならない。5パーセントの幅は大きすぎる」

 10日に発表されたFIAの声明には、レッドブルに具体的にどれだけの超過額があったのかには触れられておらず、どのようなペナルティを科すかについても未定とされていた。この曖昧さにブランドルは懸念を示している。

「情報が提供されなかったことは非常に残念だ。これは今シーズンのことではなく、2021年の話なのだ」

「なぜ詳細を明らかにできないのか。事態を軽くしようとして、説明したり根拠を見つけたりして、舞台裏で揉めているのだろう」