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止まらない人が多すぎる…黄信号なのに加速する「イエローダッシュ」の危険性と防ぐ意識

 交差点直前で信号が黄色に変わったら、止まりますか、それとも走り抜けますか?? 黄信号は、交通状況やタイミングによっては、判断が難しいところ。微妙なタイミングで通過して、「いま止まったほうがよかったのかな」と思ってしまったり、逆に黄色でしっかり止まっても、「ちょっと急ブレーキになっちゃったから、後続車に迷惑かけてないかな」と、考えながら走行している人も多いかと思います。

 ただ、黄信号に関しては「注意しながら進め」と勘違いしている人も多いようで、「危ないから早く通行してしまおう」と、黄色で加速して通行していくクルマも多く、大変危険。黄信号での対応について、考えてみました。

文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:Adobe Stock_ako photography
写真:Adobe Stock、写真AC

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「もうすぐ赤になるよ」という合図ではない

 交差点直前で信号が黄色に変わった時、アクセルを踏んで加速して通り抜ける、通称「イエローダッシュ」。これに対して、黄色になったらブレーキを踏んで止まることは「イエローストップ」ともよばれます。イエローダッシュ派、それともイエローストップ派ですかと聞かれると、多くの人は状況次第と答えるのではないでしょうか。ある意味で正しい答えではありますが、ただ、イエローダッシュ派の人のなかには、黄信号は「もうすぐ赤になるよ」という合図とか、「周りに注意しながらだったら進んでもいいよ」と思っている人もいるようで、それは大きな勘違いです。

 青信号は「進むことができる」、赤信号は「止まれ」を意味することは誰でも知っていること。黄色は、その中間と勝手に解釈した結果、「注意して進め」とする誤解が広まっているのかもしれません。また、黄色の点滅信号が「注意して進め」なので、これと混同しているのかもしれません。なかにはルールを知っていて黄信号を無視する人もいるかもしれませんが、それは論外です。

黄信号は原則「止まれ」

 黄信号の対応については、道路交通法施行令第2条によって、「停止位置をこえて進行してはならない。ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において、当該停止位置に近接しているため安全に停止することできない場合を除く」と規定されています。要は、黄信号は安全に停止できない場合を除いて、必ず停止線の前で止まらなければいけないのです。

 「安全に停止できない場合」というのは、急ブレーキをかけることで、後続車に追突されたり同乗者に危険を与える、スリップしたり横転する可能性があるなどが該当し、この場合は黄信号でも進むことが認められているといえます。これを守らなければ信号無視違反に該当し、違反点数2点、普通車の場合は反則金8000円が科せられます。しかし、止まったら危険というのは、ドライバーの判断であり、客観的にそれを判断するのは難しいので、黄色の信号無視で捕まったという話は聞いたことがありません。

 ちなみに歩行者も、黄色(青色点滅)では横断を開始してはならず、道路を横断している歩行者は、すみやかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければなりません。青点滅で、急いで渡る歩行者をよく見かけますが、それは違反です。

ただ、安全かどうかの判断は難しい

 法的に違反かどうかの客観的な判断も難しいですが、そもそもドライバーが止まるべきか、安全のために走り抜けるかどうかの判断も非常に難しく、冒頭でも触れたように、実際に運転中に迷うこと結構ありますよね。ドライバーは、交差点の手前にさしかかったときは、交差点を通過するか手前で止まるかを、わずかな時間で判断することを強いられています。

 通常50km/h以上の速度で走行中に、交差点直前で黄信号に変わったために止まろうとすると、どうしても強いブレーキをかけざるを得ません。同乗者が慣性力で前のめりになるので危ないし、後続車がいれば追突される恐れもあります。また、後続車がイラっとしてプレッシャーをかけてきたり、嫌がらせと勘違いして煽り運転をされるリスクも発生します。このような複雑な状況を一瞬に判断して、ブレーキをかけるかどうかを判断するのは至難のわざです。

 大きな交差点では、歩行者の信号が黄色(青点滅)に変われば、自分の通行車線の信号も黄色に切り替わるので、それで黄色に変わるタイミングを察知することはできます。しかし、歩行者用の信号がない交差点や時差式信号機、歩車分離式信号機など、いろいろな信号機の交差点があるので、すべての状況で、黄色に変わるタイミングを予知するのは困難。黄信号になっても、すぐに歩行者信号や交差道路側の信号が青信号に切り替わるわけでもないので、多くのイエローダッシュ派は、黄信号で進むほうが安全だと考えるのでしょう。

重要なのは交通の流れに乗りながらも、黄色で止まる意識を持つこと

 ただ、イエローダッシュ派が黄信号で進むほうが安全だと考えるのは、歩行者や交差道路を走るクルマが交通ルール(信号機)を守ることが前提。もし、歩行者や交差道路のクルマが見切り発進をするなど、ルールを無視すると、大変な事故を引き起こすことになります。

 たとえば、黄色で減速することなく交差点に差し掛かった際にはすでに赤になってしまって、さらに、交差点を通過するころには交差道路の信号が青になり、多少フライング気味、かつ猛加速で発車してきたクルマと事故になる、ということは考えられること。また、対向車線で右折を待っていた車が、焦って交差点へ侵入するケースも大いにありえ、「イエローダッシュ」で加速していたら、さらに大きな事故になってしまいます。やはり、自身が加害者にならないためには、安全に止まることができる範囲においては、黄信号では止まらなければなりません。

 先日、黄色で減速することなく交差点を通過する頃には赤信号になっていたクルマ(ちょうど隣車線を通行していたので、信号のタイミングはよく見ていた)が、警察に取り締まりされるのを目の当たりにしました。警察としても、黄信号での交差点通過に関しては難しいものの、交差点に差し掛かった時には赤であれば、取り締まりをするようです。

黄信号で止まろうとしなければ、交差点を通過する頃には赤信号となっている可能性も(PHOTO:Adobe Stock_Fotoschlick)

 重要なことは、流れに沿った走りを心掛けながらも、もし信号が黄色になったら安全に止まる、という意識をもって運転することではないでしょうか。危険予知しているか、してないかで人間の反応は大きく変わります。

 最近は、信号機側から信号の切り替わるタイミングや次の信号が青のうちに通過できる適切な速度をクルマ側に指示してくれる「信号情報活用運転支援システム」が実用化されています。これがさらに普及すれば、黄信号に悩まされることから解放されることが期待できるでしょう。

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