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ド下手じゃないけど、ちょい下手な人はこっそり考えてみよう…なぜ自分は運転が下手なのかっ!? 

 免許をとって何年経っても、縦列駐車、狭い道でのすれ違い、急カーブ、合流ではいまだにドキドキ……。他人には絶対に言いたくはないけれど、自分の運転は決して上手いとは言えない。とはいえ、その原因はわからない。このように自分の運転スキルの低さに人知れず悩んでいる人は多いのではないだろうか?

 そこで今回は、運転がちょい下手な理由を考えてみたい。もちろん、運転が苦手と感じる理由はさまざまなため、すべてを網羅しているわけではないが、ここで紹介する項目のなかに心当たりがある項目はひとつはあるはず。ひとつでも改善できれば運転に自信が持てるようになるはず。ふとした瞬間に「自分って運転下手かも」と感じるような人に参考にしてほしい。

文/藤原鉄二、写真/トヨタ、マツダ、写真AC、イラストAC

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最適なドライビングポジションがとれていない

 家族で1台のクルマを共有しているような場合にありがちなのが、別の人が運転した後に運転する時、シートを前後させるだけといった適当なドライビングポジション調整をしてしまうこと。これが運転が下手かも感じてしまう原因のひとつだ。

 その理由は、正しいドライビングポジションがとれていないと正確なアクセル&ブレーキ操作やステアリング操作ができなくなってしまうから。さらに目線の位置も適切ではなくなるため周囲のクルマや歩行者の動きを把握しにくく、その結果、より強い恐怖感や不安感を覚えてしまうのだ。

 加えて、体がしっかりシートに固定されないためカーブの時に体が傾きやすくなる。すると、平衡感覚にくるいが生じて、急ハンドルを切ってしまったり、ハンドルを切りすぎたり、曲がり切れずに対向車線にはみ出したりしてしまうことになる。

 そこで今一度、正しいドライビングポジションを確認し、それを意識して運転してみよう。はじめは少し面倒かもしれないが、少し続けることで正しいポジションを体が覚え、意識しなくても正しいポジションを維持できるようになる。基本的なことだが、これができているだけで周囲の見え方や体の使いやすさが大きく変わり、運転のしやすさを感じるはずだ。

正しいドライビングポジション

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1.お尻とシートに隙間ができないように深く座る
2.顎を引き、背すじが丸まらないように注意しながら背中をシートバックにつける
3.左足をフットレストに置き、右足でブレーキペダルを踏み切った時に膝に少し余裕がある程度の位置に前後位置を調整する
4.ハンドルの上部を両手でつかみ、肘が少し曲がるくらい(約120°)の角度に背もたれを調整する
5.ヘッドレストの真ん中に耳の穴あたりがくるように高さを調整する

 以上のポジションがとれていることを確認したら、緩みが出ないようにシートベルトを装着する。シートベルトが鎖骨の上を通り、首にかからないようならドライビングポジションは正解と言える。

 ちなみに、マツダでは、理想の運転姿勢を維持できる設計が施されたシートを開発。シートが体幹をしっかり支え、自然なペダル操作をサポートしてくれる優れもの。こういったテクノロジーの助けを借りるのも手だ。

空間認識能力が低下している

ド下手じゃないけど、ちょい下手な人はこっそり考えてみよう…なぜ自分は運転が下手なのかっ!? 
クレーンゲームは空間認識や立体認識を高める効果があるゲーム。奥行などを予測しながらクレーンを動かすことが空間認識能力向上につながるという

 空間認識能力とは、物体の形や大きさ、速さ、物体同士の距離関係などを正確に認知する能力のこと。この能力が乏しいと運転時の車間距離のとり方がうまくできない、人や障害物を上手く回避できない、状況に合わせたスピード調整ができない、スムーズな駐車ができなくなる。

 高齢者の事故率が高くなる原因のひとつも、加齢による空間認識能力の低下と考えられている。

 空間認識能力は子どもの頃に鍛えるのが一番と言われているが、大人になっても以下のような方法で鍛えることは可能だ。

1.テーブルの上に物を置き、それを目を閉じて取る。物を置く位置をいろいろ変えてみて、何度も行う。
2.安全な室内や公園で5mほど先に目印をつけて目印までの距離感を視覚で確認してから目を閉じ、視覚で確認した距離感を頼りに目印の位置まで歩き、また元の位置に戻ることを繰り返す。

 1と2のトレーニングに共通することだが、背すじを伸ばして姿勢を正して行うことが重要となる。背すじが丸まった状態であると体の軸がぶれてしまい、トレーニング効果が低下してしまうからだ。

 また、ジグゾーパズルも効果的と言われている。組み立てていく時に完成図をイメージしながら行うと効果を高められる。ゲームセンターのクレーンゲームもお薦めだ

車両感覚がうまくつかめない

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目線位置が低すぎると、距離感がつかみづらくなるため、駐車がしづらくなったり、適切な車間距離をとれなくなったりする

 駐車が苦手、狭い道で走るのが苦手な原因のひとつとしてあげられるのは、目線が低すぎることだ。

 目線が低すぎるとボディの端が見えづらくなり、周囲のクルマや人、障害物との距離感がつかみづらくなってしまうのだ。そのため、車両感覚に自信がない人は、SUVのように車高が高いクルマのほうが見切りが良く、距離感はつかみやすいのでお薦めだ。

 ちなみに、前項目のように正しいドライビングポジションをとれば目線は適正位置に保たれるはずだが、身長が低めの人は目線位置が若干下がってしまうことも考えられる。そんな時は少しだけシートの高さを上げてみよう。

 また、非常に原始的ではあるが効果的なのが、障害物のギリギリのところまで寄せる練習を何度も行うことだ。

 具体的には、第三者に外でチェックしてもらいつつ、前の感覚がつかみづらい人はギリギリまで前進する、左右の感覚がつかみづらい人は左右ギリギリに車両を寄せるなどを繰り返し行う。これを定期的に行うことで前後・左右の車両感覚を体得できる。

注意力が散漫・集中力が続かない

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合流の時など、注意力や集中力が必要とされるシチュエーションに置かれたら、音楽を聴くのをやめたり、同乗者との会話をやめるなどして気が散る要素を排除しよう

 注意力が散漫だったり、集中力がないといろいろなことを同時に行う、いわゆる「マルチタスク」をこなすことが難しくなる。運転時は視覚、聴覚などから受け取った情報を脳が処理し、その情報に従って手や足を動かすなど、さまざまなことを同時に行うことが必要となる。そのため、マルチタスクがこなせないと運転操作がぎこちなくなってしまうのだ。

 関係のない余計な情報を入れないことがこの問題の第一の改善策。たとえば、音楽を聴いたり、同乗者と会話するなど、気が散ることを行わないということだ。音楽や会話に注意力や集中力を向けすぎると、信号を見落としたり、無理な割り込みをしてしまったりする恐れがあるからだ。

 「そんなこと言っても同乗者がいてだんまりというわけにはいかないでしょ!」というなら、合流など、せめて自分が苦手なシチュエーションの時だけでも無言になって運転に集中するようにしよう。

 効果には個人差があるが、グレープフルーツ、レモンなどの柑橘系の香りやペパーミントの香りは注意力や集中力を高めると言われているので、芳香剤などを使用するのも手だ。

 また、注意力や集中力が低下する最大原因と言われる過労、心理的ストレスを排除する工夫をすることも必要だ。

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投稿 「あれ…運転、下手になってる…?」自分で気づけば直せる4つの注意点自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。