新18インチタイヤでの初めてのF1シーズンが終わりに近づいている。2022年型タイヤの新たな課題のひとつは、予選でいかにして適切に機能する作動領域に入れるかということだ。新タイヤへの適応を進めつつあるドライバーたちだが、規則変更への懸念を示す者もいる。
フェラーリのカルロス・サインツは、予選でタイヤをベストな状態に持っていくことに、昨年よりも苦労していると明かす一方で、新タイヤで経験を積み、慣れてくれば問題はなくなるとの考えを示した。
「(昨年よりも)難しいと思う。でもそれはこのタイヤでの経験がまだ少ないからだ」とサインツは言う。
「いずれこのタイヤをもっとよく理解できるようになると思うけれど、今はまだ1年目だからね。今年は、毎グランプリ、このタイヤでそのコースを走る初めての機会ということになるんだ。だから今年のコンパウンドの適正な作動域はどこなのか、コースごとにいつも驚きがある」
「でも来年になれば、ピレリがタイヤコンパウンドやコンストラクションを大きく変えない限り、今年の経験を生かして、はるかに楽に目標を達成することができるはずだ。この新しいタイヤで経験を積んでいくしかないんだ」
アストンマーティンのランス・ストロールは、苦労はしていないが、明らかに昨年とは異なると感じると語った。
「全体的にアウトラップで、(昨年よりも)ハードにプッシュしている。より難しくなったとは思わないが、去年とは違う。フロントタイヤはかなり弱くなったと感じる。挙動がかなり違うんだ。慣れるのには時間がかかる。でもレースごとにタイヤへの理解を深めて、うまくやれるようになっていくんだ」
アルファタウリのピエール・ガスリーは、今年の方がアウトラップへのアプローチが楽になったと言う。
「楽になったと言えるだろう。今年はタイヤブランケットの温度が引き下げられ、物事が単純になったんだ。ほとんどのコースで、アウトラップでは昨年よりもハードにプッシュしている。昨年は、アウトラップで極端に遅く走って、タイヤの状態を整えることに取り組めていないこともあった。それに昨年の方が、手順の面で集中すべきことがはるかに多く、シーズンを通してアウトラップにおいて異なる要素がたくさんあったと思う」
「ターン1に向けてフロントタイヤの準備を整えることが昨年の方が難しくて、フロントをロックさせていた。だからその点においては、今のマシンになって、楽になったと言える。すべてが簡単というわけではなくて、今でもうまくいかないこともある。それでも少なくともアウトラップへのアプローチは、より分かりやすいイメージになった」
一方、レッドブルのセルジオ・ペレスは、レギュレーションでタイヤウォーマーの最高温度が下げられたことが危険な状況につながりかねないとの懸念を示した。昨年は最高温度はフロントタイヤ100度℃、リヤタイヤ80℃だったものが、今季は両方が70℃に引き下げられた。将来のタイヤブランケット廃止に向け、2023年にはさらに最高温度が下げられようとしている。
「僕にとって唯一の懸念はウォームアップだ」とペレスは言う。
「セーフティカーの後ろを走っているときなどだ。今年はタイヤブランケットの温度を下げられた。来年はさらに下げられるようだ。それはドライバーをリスクにさらすことになると思う。状況やシナリオによっては、大きな危険につながりかねない。路面温度が低いときとかセーフティカー出動時などだ。今のところ、それが、このタイヤに対して僕が感じる唯一の懸念事項だ」