FIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブは、2024年のWEC世界耐久選手権から採用されるGT3ベースの新カテゴリーについて、計画されていた“プレミアムキット”の採用がコスト面の理由から取りやめになるとの噂も囁かれるなか、「複数の選択肢が残されている」と述べた。
複数の業界関係者がSportscar365に語ったところによれば、WECとELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズでのLMGTEに代わる名称未発表のプロ/アマをベースとした新クラスにおいて、対象となる各マニュファクチャラーに専用エアロキットの製造を義務付けるという計画は、最近見送られたのだという。
今年のル・マン24時間レースの際に発表されたこのキットは、コストの上限が5万ユーロに設定されているもので、車体をモディファイすることによって、とくにル・マン24時間レースでの最高速向上に寄与することを目的としていた。
あるマニュファクチャラーは、このキットの開発費用は200万ユーロを超えると推測しており、WECでは1ブランドあたり2台に参戦が制限されるであろうGT3カスタマーチームへの販売を考えると、コスト的に釣り合わないものであったとみられる。
WECの運営を統括するマレク・ナワレッキはSportscar365に対し、このカテゴリーのレギュレーションはまだ最終決定しておらず、12月7日に行われるFIA世界モータースポーツ評議会で詳細が決定されると語った。
「我々が認めることができるのは、これが進行中の作業であるということだ」とナワレッキは語っている。
「GT3の耐久レースの将来については、まだ議論している最中だ。耐久レースの要件に可能な限り適応するため、またマシンの定義やパフォーマンス管理の観点から、さまざまなオプションが現在テーブルの上にはある」
「我々はそれについてのすべての選択肢に対してオープンであり、我々はそれを決定し、議論をまとめることになっている」
ACOのコンペティション担当、ティエリー・ブーベによれば、テクニカルレギュレーションを含む当該クラスの詳細を定義するために、メーカーと定期的にテクニカルワーキンググループのミーティングを行ってきたという。
さらにナワレッキは、次のように付け加えた。
「我々は、このカテゴリーのすべての関係者の意見を取り入れるために、かなり協力的な姿勢で臨んでいる」
「2024年の新しいカテゴリーへの参入に備えるため、充分に安定したレギュレーションを事前に定義しておきたい」
また、ナワレッキとブーベは、車体やエアロの改造によって“FIAとACOがスタンダードなGT3カテゴリーから性能ウインドウを広げたいと考えている”というメーカー側の思い込みを否定した。
あるメーカーは、主催者側にル・マンでの最高速度を5〜10km/h速くしたいという希望があるものと考えていたが、現在はその考えは外れているようだ。
ナワレッキはこうした主張を退けており、提案されたプレミアムキットの目的はパフォーマンスに関連するものではないと指摘している。