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 コルトン・ハータが特例によりF1スーパーライセンス取得が認められる可能性は極めて低くなってきたとみられている。レッドブルはアルファタウリの2023年ドライバー候補としてハータの起用を検討しているが、ハータは必要なスーパーライセンスポイントを取得していない。彼が自力で条件を満たすには、冬季に行われる選手権に参戦してポイントを稼ぐしかなさそうだ。

 スーパーライセンス取得のためにはライセンスポイントを40ポイントを獲得する必要があるが、2022年インディカーシリーズが終了した段階で、ハータのポイントは32ポイントにとどまっている。レッドブルは、FIAが特例として彼にF1参戦の資格を認めることを期待しているが、利害関係者であるレッドブル、アルファタウリ、ピエール・ガスリーの獲得を望むアルピーヌを除くすべてのF1チームがこれに反対。反対するチームは、FIA会長モハメド・ビン・スライエムに対し、義務を特別に免除するようなことがあれば、F1へと続くFIAのジュニアカテゴリーを無効化し、各チームの若手ドライバー育成プログラムの消滅にもつながりかねないと強く主張した。

 ハータは、インディカーでの実績によって得られるスーパーライセンスポイントが低いことに不満を示す一方で、特例によってスーパーライセンスが与えられることには否定的な考えを示している。

「そのアイデアに対してなぜ反対意見があるのか、僕は理解している。FIAが自身のラダーシステムを守らなければならないということもね」とハータはインディカー最終戦においてコメントした。

「彼らはドライバーたちがそのラダーシステムを通過することを望んでいるんだ。インディカーは、スーパーライセンスシステムにおいては大幅に価値が下げられている。この選手権の競争力がどれだけ高いかを彼らが理解しない限り、システムを変更することはないだろう」

「義務を免除されてF1に行くことは望まない。自分で権利を勝ち取って、F1に行きたいんだ。これからどういうステップを踏む必要があるのかを見ていくよ」

コルトン・ハータがMCL35Mをドライブ
コルトン・ハータがMCL35Mをドライブ

 コルトンの父で元インディカードライバーのブライアンも、FIAのシステムに従う必要があると述べた。

「コルトンが義務を免除されるというのは、ある意味不公平だろう。スーパーライセンス取得に近いポイントを持っているが、自分のために戦ってくれる後ろ盾を持たないドライバーたちが他にいる。FIAは、自分たちが組織したヨーロッパを拠点としたシリーズに有利なシステムを作り上げた。誰かのためにそれを変えることはしないと思う」

 コルトンに不足している8ポイントを埋め合わせるため、レッドブルは彼をシーズンオフの間にフォーミュラ・リージョナル・アジア選手権に出場させることもできる。フォーミュラ・リージョナル・アジアではランキング9位までに18、14、12、10、6、4、3、2、1ポイントが与えられる。さらにレッドブルがアルファタウリからFP1にハータを出走させれば、1回につき1ポイントを稼ぐことができる。

 現在アルファロメオで走る周冠宇は、2021年に同選手権でタイトルを獲得し、貴重なスーパーライセンスポイントを確保した。一方、レッドブルがかつてのジュニアドライバー、ダン・ティクトゥムを2019年F3アジア選手権ウィンターシリーズに送り込んだ際には、ティクトゥムの成績は振るわず、シリーズ自体もスーパーライセンスポイント対象となる条件を満たしていないことが判明したため、レッドブルの試みは失敗に終わった。

 ハータがこのルートで必要なスーパーライセンスポイントを稼げる可能性は十分あるものの、1月から2月に行われるフォーミュラ・リージョナル・アジア選手権の結果を待つ必要がある。レッドブルは、ハータを獲得できるなら、ガスリーをアルピーヌに渡してもいいと述べているが、アルピーヌとしてはガスリーと契約できるかどうかが明らかになるのを2月まで待つわけにはいかないため、早い段階でガスリーを諦め、他の選択肢に目を向けることを決めるかもしれない。

2022年F1第15戦オランダGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ)
2022年F1第15戦オランダGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ)