もっと詳しく

 11月16日、ABB FIAフォーミュラE世界選手権の公式充電サプライヤーを努め、世界的にEV充電ソリューションを手掛けるABBは、来季となるフォーミュラE“シーズン9”で使用される新たな充電技術を発表した。

 新型マシン“Gen3”が導入される2023年のフォーミュラE。シリーズの公式充電サプライヤーを務めるABBは来季に向け、FIA世界自動車連盟およびフォーミュラEのエンジニアと協力し、レース前やセッション間にマシンを充電するため、コンパクトで信頼性と安全性の高い“モバイル充電器”を開発した。

 この充電器は最大出力160kWのABBフォーミュラE専用となり、レース前に80kWでマシン2台を同時充電することも可能だという。この同時充電により、チームは充電器1基での“ダブル充電”が可能になり、従来の1マシンごとに1基という充電器を必要なくなるため、充電器の設置面積を削減し、サステナビリティの向上も実現している。

 また、この新しいフォーミュラE用充電器は堅牢で、カスタム仕様かつ人間工学に基づいた設計により、世界各地への輸送や設置も容易に行うことができるという。充電器の設計は、市販車の充電アプリケーションですでに実証されているABBの技術を、モータースポーツの過酷な環境に適応させている。

 この新型フォーミュラE用充電器と充電技術の発表に、ABB E-モビリティのCEOであるフランク・ミューロンは、「eモビリティにおける最大の国際舞台であるABB FIAフォーミュラE世界選手権に当社の革新的な充電ソリューションを提供できることを嬉しく思う」と語った。

「また、このシリーズをより持続可能な新技術のテストベッドとして活用する取り組みを継続していく。Gen3マシンを充電することで、ハイペースで競争が激しい環境における充電に関する貴重な試験情報を得ることができる。このフォーミュラEで得た経験と知識を活用し、ユーザーの使用に適したABB充電器の継続的な改善に努めていく」

 そしてフォーミュラEのCEOを務めるジェイミー・ライグルも「ABBがGen3のレースチームに高度な充電システムを提供することを嬉しく思う」とコメントしている。

「ABBのモバイル充電器は業界標準を設定し、チャンピオンシップを実現するための重要なインフラとして機能するだろう。厳しい競技規格のもとでABBの市場をリードする充電製品を披露し、高い性能とサステナビリティが妥協なく共存できることを実証することを楽しみにしている」

ABBが公開したフォーミュラEシーズン9向けの新型充電器のインフォグラフィック
ABBが公開したフォーミュラEシーズン9向けの新型充電器のインフォグラフィック