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 10月16日、ポルトガルのアルガルベ・サーキットで2022年ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ最終戦が行われ、プレマ・レーシングの9号車オレカ07・ギブソンが4時間の決勝レースを制し、ファン-マヌエル・コレアと組んだルイ・デレトラズ、フェルディナンド・ハプスブルクの2名がシリーズチャンピオンに輝いた。

 プレマの勝利は開幕2戦と第4戦に続く今季4度目。この2022年にシリーズ初挑戦のイタリアチームは、全6戦のうち半数以上の4つのレースを制したことになる。

 そのプレマ9号車は、ジャック・エイトケンのドライブでポールポジションを獲得した34号車オレカ07(レーシングチーム・ターキー)に次ぐ2番手グリッドからスタートすると、ウエット路面のためフォーメーションラップが追加され実質1周目となった2ラップ目にトップへ。

 その後、7番手から順位を上げてきた43号車オレカ07(インターユーロポル・コンペティション)と31号車オレカ07(TDSレーシング×ヴァイヨン)に交わされ総合3番手に後退するも、48周目に順位をひとつ取り戻し2番手に。さらに69周目にはトップに立っていた31号車を逆転して首位に返り咲く。

 これ以降、9号車は一度も順位を譲ることなく126周目にトップチェッカー。ウエットからドライへと変わる路面コンディションのなか、後続に49秒もの大差をつけてシーズン4勝目をマークした。この勝利によってデレトラズとハプスブルクの戴冠が決定。また、コレアにとってはELMS初優勝となっている。

 この最終戦で優勝すると同時に、プレマがトップ10圏外でフィニッシュした場合に限り逆転でのチャンピオン獲得の可能性があったパニス・レーシングの65号車オレカ07は、総合2位でフィニッシュ。そこから2.034秒の3位にはクール・レーシングの37号車オレカ07が入った。

 レース序盤にトップを奪った43号車は総合4位でのチェッカーに。また、ポールシッターの34号車オレカは総合6位でLMP2プロ・アマクラスのウイナーとなり、エイトケンのチームメイトであるサリ・ヨルックとチャーリー・イーストウッドが同クラスの年間タイトルを獲得した。一方TDSの31号車は、LMP3カーとの接触によりトップから5周遅れの総合11位/プロ・アマクラス4位で最終戦を終えることとなった。

フォーメーションラップ開始のグリーンフラッグを振るマーク・ウェーバー
フォーメーションラップ開始のグリーンフラッグを振るマーク・ウェーバー
2022年ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第6戦ポルティマオ4時間レースのスタートシーン
2022年ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第6戦ポルティマオ4時間レースのスタートシーン

■アイアン・リンクスの女性ドライバートリオがELMS初優勝

 LMP3クラスは、クール・レーシングの17号車リジェJS P320・ニッサン(マルテ・ヤコブセン/モーリス・スミス/マイク・ベンハム組)が優勝し、19ポイント差を逆転してシリーズチャンピオンを獲得した。

 彼らのライバルであり、ポイントリーダーとして最終戦を迎えた13号車リジェJS P320・ニッサン(インターユーロポル・コンペティション)は、TDSオレカとの接触により優勝争いから脱落してしまう。それでもクラス6位以上のリザルトで、まだクール・レーシングを上回れる13号車だったが、同車はレース終盤にGTEクラスのアストンマーティンとも絡みタイトル獲得の可能性を断ってしまった。

 GTEクラスでは、アイアン・リンクスのサラ・ボビー/ミシェル・ガッティン/ドリアーヌ・ピン組が駆る83号車フェラーリ488 GTEエボが、土曜日のELMS初ポール獲得に続き、女性ドライバートリオによるシリーズ初優勝をマーク。

 オマーン・レーシング・ウィズ・TFスポーツの69号車アストンマーティン・バンテージAMRがクラス2位、木村武史も乗り込んだケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTEエボが同3位となった。

 3位表彰台を獲得したケッセルのミケル・イェンセンとフレデリック・シャンドルフは、プロトン・コンペティションが7位以下となれば逆転でのタイトル獲得となったが、77号車ポルシェ911 RSR-19はクラス5位でフィニッシュ。この結果、ポルシェのクルーが最後までポイントの優位性を保ち、クリスチャン・リード/ジャンマリア・ブルーニ/ロレンツォ・フェラーリ組がGTEクラスチャンピオンに輝いている。

優勝でチャンピオンシップ獲得を決めたプレマ・レーシングの9号車オレカ07・ギブソン
優勝でチャンピオンシップ獲得を決めたプレマ・レーシングの9号車オレカ07・ギブソン
ELMS初優勝のファン・マヌエル・コレア(中央)と、タイトルを獲得したルイ・デレトラズ(右)、フェルディナンド・ハプスブルク(左からふたりめ)
ELMS初優勝のファン・マヌエル・コレア(中央)と、タイトルを獲得したルイ・デレトラズ(右)、フェルディナンド・ハプスブルク(左からふたりめ)
トップチェッカーを受けLMP3ウイナー&チャンピオンとなったクール・レーシングの17号車リジェJS P320・ニッサン
トップチェッカーを受けLMP3ウイナー&チャンピオンとなったクール・レーシングの17号車リジェJS P320・ニッサン
シリーズ初の女性ドライバーラインアップで優勝したサラ・ボビー/ミシェル・ガッティン/ドリアーヌ・ピン組
シリーズ初の女性ドライバーラインアップで優勝したサラ・ボビー/ミシェル・ガッティン/ドリアーヌ・ピン組