アルピーヌのエステバン・オコンは、F1第21戦ブラジルGPでの最後のセーフティカーからのリスタートを前に、チームは彼に指示を出す必要はなかったと述べている。オコンは自分より速いチームメイトのフェルナンド・アロンソにどう対処すればいいか分かっていたという。
オコンはリスタートに備えていた時、8番手につけていた。アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルの後ろだったが、アロンソの前にいたのだ。しかしながら、アロンソはオコンより新しいタイヤで走行していたため、アルピーヌのピットウォールはオコンに対し、アロンソに集中せず、彼が「うまくクリーンに」走れるようにするよう伝えた。
「今の時点ではレースをさせてほしい。状況がもう少し落ち着いたタイミングでレースをする。リスタートではすべてを失う可能性もある」とオコンは返答した。
しかし土曜日のスプリントでふたりが同士討ちをし、アロンソが不満を露わにしていたことから、レースエンジニアはオコンの反応を聞いて彼がアロンソにポジションを譲りたくないと思っている可能性があると解釈した。
「エステバン、フェルナンドとは戦わないでほしい。分かったかい?」とエンジニアは主張した。
オコンはふたたび、彼の優先事項はアロンソではなくベッテルだと繰り返した。そしてリスタート時、オコンはベッテルをすぐに追い抜き、アロンソを不当に遅らせることなく通過させた。
「あまりうまく伝わらなかったと思う」とオコンは彼のエンジニアとの無線のやり取りについて語った。
「みんな、僕がフェルナンドに抜かれたくないんだと思っていたからね。僕は『リスタートでは彼に追い越しをさせない。僕はセブ(ベッテルの愛称)を追い越すつもりだから。そして状況が落ち着いたらどうするか決めよう』というつもりだった」
「戦うつもりはなかった。彼を先に行かせるつもりだった。僕はそうしたしね。彼らを抑えることはできなかった。彼はソフトタイヤを履いていてすごく速かった。そしてもちろん、チーム全体が獲得しなければならないポイントがあった」
「だから自分の状況は分かっていたから、チームは僕に何をすべきか言う必要はなかったんだ」
スプリントでの争いから24時間後、そしてアロンソがオコンについて公に不機嫌なコメントを発した後、オコンはふたりの間に緊張感は漂っていないと主張した。
「彼がメディアに言ったことはあまりよくはなかった」
「僕は常に彼に大きな敬意を抱いている。彼はレジェンドで、僕は永遠に彼を尊敬し続けるだろう。彼がメディアに何を言おうが関係ないよ。彼と一緒に話しをする方がいい」
土曜日のスプリントの後、アルピーヌの日曜日の見通しは暗いものに見えた。オコンは16番グリッド、アロンソは17番グリッドからのスタートだった。しかしアロンソとオコンはアルピーヌのペースとレース状況を最大限に活かし、この週末にアロンソは5位、オコンは8位につけてチームに14ポイントをもたらした。一方でチャンピオンシップのライバルであるマクラーレンは2ポイントを得るにとどまった。
今週のシーズン最終戦アブダビGPを前に、アルピーヌはコンストラクターズ選手権でマクラーレンに19ポイントの差をつけて優位に立っており、マクラーレンは4位の座にほぼ手が届かなくなっている。
「チームのためにとても喜んでいる。全体的に見て、この時点での14ポイントが流れを変えたと思う。残りのレースはあと1戦だけだ。僕たちは大きな余裕を持ってアブダビに向かうよ」とオコンはコメントした。
「僕たちのスタート位置からすると、マシンは本当に速かった。それにふたつの異なる戦略を試すことができたのも何よりだった。ひとつの戦略はもう一方より少しうまくいったけれど、自分たちでカバーして、ふたりとも完璧に実行した」
「気を抜くことはできない。最後のラウンドまでクレイジーなくらいにプッシュしなければならない。でも多少のポイント差があることで、ほんの少しプレッシャーが減ることは間違いないよ」