ユーザー車検にチャレンジしたことのある人ならよくわかると思うが、陸運局の検査場(陸運支局)で車検を受けると、窓ガラスの貼付物と灯火類はとくに厳しくチェックされる。
たとえばフロントガラスは可視光の透過率や付けてもいいものが厳格に決められていて、これに違反していると車検に合格しないのだ。
となると気になるのが、後付けしたドライブレコーダー。はたしてこいつは、フロントガラスのルールに適合しているのだろうか。ややこしい「ガラスの決まり」について調べてみた!
文/藤田竜太、写真/AdobeStock(トップ画像=photobyphotoboy@AdobeStock)
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吸盤式のお守りも厳密には不適合!?
窓ガラスに関しては、運転席&助手席のサイドガラスにステッカー類(透明ではないもの)を貼るのは基本的に保安基準違反で、車検は通らない。さらにフロントガラスも細かい制約だらけなので注意が必要だ。
フロントガラスに貼ることが許されているのは次のものに限定されている。
・検査標章(車検の有効期限を示したもの)
・保険標章、共済標章又は保険・共除外標章
・臨時検査合格標章
・バックミラー
・公共の電波の受信のために前面ガラスに貼り付けるアンテナ
・塗装か貼り付けた状態で、運転手の視野を妨げる歪みがなく、運転者が交通状況を確認するために必要な視野範囲において、可視光線透過率70%以上確保できる透明のもの
・国土交通大臣又は地方運輸局長が指定したもの
・整備命令標章
・故障ステッカー
(道路運送車両 保安基準 第29条 窓ガラス)
ドラレコ装着は適法だが装着場所に注意
これ以外は、吸盤式の初心者マークや高齢運転者標識(クローバーマーク)、吸盤式のお守りや、吸盤式のスマートフォンホルダーも厳密にいうと保安基準不適合になる。だとすると、ドライブレコーダーやETCのアンテナなどはどうなるのか?
これらの電子機器の貼り付けはもちろん合法。ただし取り付け位置は細かく定められているので注意が必要だ。「道路運送車両の保安基準(第39条)」の規定によると、ドライブレコーダーの取り付け位置は以下のとおり。
「道路及び交通状況に係る情報の入手のためのカメラ」=ドライブレコーダーは、「ガラス開口部の実長の20%以内の範囲」または「車室内後写鏡により遮へいされる前面ガラスの範囲」。
もう少しわかりやすく説明すると、「フロントガラスの上部から20%以内の場所」もしくは「ルームミラーの裏側」限定で、ドライブレコーダー等の取り付けを認めるということ。
ちなみに「フロントガラスの上部から20%以内の場所」というのは、ルームミラー取り付け位置とほぼ等しい高さなので、いずれにせよルームミラーの下端までがひとつの目安だと思えばいい。
そして、当然のことながら検査標章(車検ステッカー)などに重なるのもNGで、ルームミラーに干渉する場所も避けなければならない。
さらに細かいことを付け加えておくと、「ガラスの開口部の実長の20%以内の範囲」に関しては、ガラス中央部分と両側端部では、実長が異なる場合があるのでややこしい……。
不正改造車として再検査を命じられることも
上記のルールに反して警察の取り締まりにあい、不正改造行為とみなされると、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる可能性がある。
実際には、そこまで厳しい処分が下されることはほとんどないが、その代わりフロントガラスに「不正改造車」と書かれた整備命令標章が貼られ、15日以内に保安基準に適合するように整備をし、運輸局で検査を受けるよう命じられることに……。
そして、命令を受けた日から15日以内に整備を行った本車両の提示をしない場合には、一定期間(最大6ヵ月)自動車の使用を停止し、自動車検査証及びナンバープレートを没収されてしまう。さらにこれにも違反した場合に、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることになるのだ。
まとめると、ドライブレコーダーや衝突被害軽減ブレーキのレーダーやカメラ、レインセンサー、オートライトセンサー、ETC、GPSのアンテナ、熱線ウインドシールドディアイサー、タクシーの防犯カメラなどの電子機器は、定められた範囲に貼り付けた場合は、保安基準適合になる。
しかし、指定の範囲外に関しては、小さなステッカーでも保安基準違反になるということを覚えておこう。
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