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 Googleの「Android Auto」とAppleの「CarPlay」。グローバルで展開する車載コネクテッド技術の双璧と言える存在だ。とにかくスピードの早いIT業界において両システムは覇権を握るべく積極的に技術開発を行っている。

 今回はそのなかでもAndroid Autoにスポットを当て、車載カーナビは今後すべてGoogleマップに切り替わるのかどうかについて探ってみた。

文/高山正寛、写真/Adobestock、ベストカー編集部

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■世界はもうAndroid Autoの勢力下?

車載カーナビは果たして今後すべてGoogleマップに切り替わるのかどうか、気になるところだ(evgenli@AdobeStock)

 GoogleやAppleは例年、今後のビジネスにおける方向性やサービス、そして新技術について発表するイベントを開催している。ここから将来に搭載されるであろう新技術についてもある程度予測することができる。

 Googleが2022年5月に開催した年次開発者会議「Google I/O」では現在展開しているサービスのほか、「Googleマップ」や「Android Auto」に関しての発表が行われている。

 Android Autoに関しては2021年1年間で搭載車両が1億5000万台を突破。これは約1年で5割増しというから驚きだ。ここには当然、対応メーカー&車種の増加があるわけだが、日々改良(バグ修正も含め)により使い勝手が向上している点、また通信量を除けば基本サービスの多くがほぼ無料で使える点が魅力であることは今さら説明の必要もないだろう。

 Googleマップを活用したナビ機能(Android Autoも含む)は地域や道路の整備状況により「ジモティしか通らないマニアック過ぎる道」や「ヤバイくらい、路面が荒れたオフロードのような道路を案内された」という声もよく聞く。

 実際、筆者の知人がオートバイで北海道をツーリングした際、このような状況になり、後戻りもできずにそのまま突っ込んでいったらサスペンションをガッツリ痛めたそうだ(ちなみにカワサキのZZR1400)。

 すでにGoogleは米国でより省エネかつ安全なルートを提案する機能を実装しており、今後米国以外でもこれらが活用できるようになるそうだ。しかし残念ながら日本はまだ対応しない。

 このあたりは前述したように複雑すぎる日本の道路事情やGoogle側の優先順位などにもよると考えられる。それでも短期間で圧倒的とも言える搭載車種数やサービス自体に磨きをかけているのはさすが、としか言いようがない。

■ワイヤレス化によるユーザビリティの向上

最近ではケーブルなしの無線で接続可能な車種も増えてきているAndroid Auto(dennizn@AdobeStock)

 基本、Android Autoはスマホと車載端末を接続することで機能を発揮する。これまではケーブルが必要だったが、車種によっては無線(ワイヤレス)で接続できる車種も増えてきている。

 ワイヤレス化のメリットはカバンなどにスマホを入れておいても自動的に接続できる点だ。これによるユーザビリティは大きく向上する。

 一方、デメリットはデータ転送と同時にケーブルによるスマホ充電ができなくなる点、そしてほとんど気にはならないレベルとはいえ、遅延が発生することだ。

 ただ、充電に関しては対応する携帯電話を置くだけで充電できる「Qi(チー)規格」用の充電パッドを搭載している車種が増えてきていることからもその部分の問題は徐々に改善されていくだろう。

■次の動きは決まっている。Google内蔵端末の勢力拡大

Google搭載端末の搭載は確実に次の動きとして来ると筆者は予想する(piter2121@AdobeStock)

 そして次の動きとして注目、いや確実にトレンドとして来るのが「Google搭載端末」だろう。

 簡単に言えば、通信機能を搭載したインフォテインメントシステムなので、そもそもスマホ自体を必要としない。しいて言えば通話だけはBluetoothによる接続になるが、このシステムには「Android Automotive OS」という専用OSを搭載することでGoogleの基本サービスはもちろん、カーナビ&AV機能、エアコン、そして緊急時における通報サービスやセキュリティなどもワンストップで活用できる。

 これに早い時期から参入したのがボルボやアウディだ。前述したOSの発表は2017年だが、特にボルボは2021年9月に実施されたXC60のマイナーチェンジモデルにこの車載端末を採用。

ボルボXC60の2021年のマイチェンではAndroid Automotive OSを採用していた

 凄いと思わせたのはその後の車種展開が早く、現在はBEVのC40やXC90&S90&V90など設定車種も拡大され、年度改良のモデル導入時にはフルラインで対応することも予想できる。

■もう「OK Google」って言わなくてもいい?

今後はウェイクワードが不要になったり、ARナビ機能の実装が進んでいくのか(show999@AdobeStock)

 Android Autoから専用車載端末へ進化するGoogleのサービスだが、今後考えられるものとしては例の「OK Google」に代表されるウェイクワード(音声起動トリガー)が不要になる機能や、すでにメルセデスベンツなどでも採用されている「Live View(ARナビ)」機能を実装する計画もあるようだ。

 要はこれまでの車載器以上によりシームレスにサービスを活用できる点が最大のメリット。もちろんAndroid Autoから今すぐにスイッチするわけではないが、冒頭に述べたようにGoogleの開発スピードは従来の常識を大きく超えるものだ。

■Googleが覇権を取る日は本当に来るのか?

GoogleのAndroid Autoと双璧を成すのがAppleのCarPlay。次世代CarPlayもすでに発表されている(Chinnapong@AdobeStock)

 ここまで引っ張ってしまったが、結論から言えば「覇権を握る日は来るが、100%はあり得ない」ということだ。

 何だ、その曖昧な回答は、とお怒りになる読者もいることだろう。ただ、整理して言えば、世の中に出回っている中古車も含めた車両には従来までのカーナビなどが装着されている。

 これらをスマホ対応のDA(ディスプレイオーディオ)に交換すれば、最新のテレマティクス端末として使えるわけだが、今後増えていくであろう「Google搭載端末」はあくまでも車両との一体開発が基本だ。

 現在も販売されている国産&輸入車のテレマティクスサービスも独自のものであり、一部にはAndroid AutoやCarPlayに対応するという形になる。これらを入れ替えるにはモデルチェンジサイクルに合わせることやコスト面の問題も発生する。また、Googleに対しての使用料だって無視できないはずだ。

 一方、最大のライバルであるアップルも次世代CarPlayを発表しており、車両本体のディスプレイにも情報が表示できるなどの新しいアプローチを展開する。対応車両は2023年後半に発売されるというから、まだ時間はあるが、こちらも注目のシステムと言えるだろう。

 今回のテーマに沿って言えば「カーナビすべての地図がGoogleマップに変わる」ということはない。ただ、何度も言うが、圧倒的な開発スピードと提案力のあるGoogleゆえに、ふと気がつくと「あれ、このナビもGoogleマップ使っている」ってことは充分にあり得るのだ。

 国産勢もホンダが2022年後半にGoogleの車載向けコネクテッドサービスと搭載すると過去に発表している。半導体問題などでその時期自体は遅れるだろうが、ホンダはそもそも「ホンダコネクト」という自社のテレマティクスサービスを展開している。これとの進み分けをどうするのかも今後、注目していきたい。

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