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 ここ最近、リーズナブルな価格設定で日本でも浸透してきているアジアンタイヤ。その安さに不安を覚える方も多いですが、実際のところ買っても大丈夫なのでしょうか?

 そこで今回は、アジアンタイヤを選ぶときの2つの基準について解説! さらに格安タイヤを購入するときに注意しておきたいことや、お勧めできないユーザーについてもご紹介する。

文/斎藤聡
アイキャッチ画像/alfa27 – stock.adobe.com
写真/Adobe Stock、ベストカーWeb編集部

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国内専用タイヤにはなし?? 欧州・アメリカにある認証制度とは一体何か

アジアンタイヤであっても、EマークやDOTマークなどの認証マークがついていれば品質に信頼がおけると言える※写真はイメージ画像です(hanjosan – stock.adobe.com)

 格安アジアンタイヤは今や買いと言えるのか? 

 大型量販店やネットショップなどで販売されているアジアンタイヤ。最近多く見かけるようになった気がします。価格を見ると驚くほど安いタイヤもたくさんあって、あまりの安さに、逆に不安を覚えてしまいます。そんな東南アジアンタイヤは果たして買っても大丈夫なのでしょうか。

 いきなり解答めいた話をしてしまいますが、あまり広く走られていないのですが、タイヤには国際的な認証制度があるんです。

 例えばEマーク。タイヤの側面(サイドウオール)を見るとEという文字が付けられているタイヤがあります。これは国連欧州経済委員会が定める車両等の型式認定相互承認協定の基準をクリアしていることを示したものです。

 平たく言ってしまえば、欧州にクルマのパーツ類を輸出する場合はこの認証が必要なのです。実際にはE2とかE4といった具合に数字と組み合わされています。ちなみに数字は認定試験を受けた国を示すもので、E2はフランス、E4はオランダです。

 また欧州域内で製造され流通している自動車パーツにはeマークが付けられます。eマークもEマークに準拠したものとして扱われています。

 Eマークは欧州に輸出しているタイヤに限られるので、ないからと言って不都合があるわけではありません。例えば日本国内で製造され、国内専用タイヤとして売られるのであれば、日本には認証マークはありません。

 アメリカ向けの認証マークもあります。DOTマークです。アメリカ運輸の定める規格に合格した製品に刻印されます。これもサイドウオールにつけられています。ですから、タイヤの品質に不安を感じたら、EマークやDOTマークの有無を確認してみるのが良いと思います。

 こうした認証を取得していないタイヤや、タイヤメーカーは、選ばないのが無難です。言い方を変えれば、Eマークのついているタイヤであれば、アジアンタイヤであっても必要条件を備えたタイヤであり、品質に信頼がおけると言えます。

 ただし、数あるタイヤメーカーすべてが正直で誠実であるとは限りません。有名ブランドアルミホイールに偽のJISマークを付けて販売してニュースになったことがありましたが、タイヤにも偽の認証マークが刻印されている可能性はゼロではありません。

アジアンタイヤを買うなら純正装着タイヤがベスト?

新型エクストレイルの純正タイヤには韓国ハンコック製のタイヤが採用されている

 そこでアジアンタイヤを選ぶときのもう一つの基準がそのメーカーが自動車メーカーに純正装着タイヤとして採用しているかどうかです。

 カーメーカーは、タイヤを採用するにあたって、厳しい独自の基準を設けています。それは乗り心地や操縦性、耐摩耗性、省燃費性能といった性能面だけでなく、耐久性や製品の安定性も重視しています。

 工業製品なので、多少なりとも製品に不良品が出てきますが、その割合をいかに少なくできるか、そしてそれを厳しく選別して納品に混ざらないかが大切なので、カーメーカーはそれを実現するために、タイヤの製造ラインをつぶさに検査して、徹底した品質管理をタイヤメーカーに求めます。

 自動車メーカーに純正採用されるということは、そうした厳しい製品管理をクリアして安定した性能のタイヤを作り続けることができるということの証明でもあるわけです。

2021年世界タイヤメーカーシェアランキング

 2021年時点でのタイヤメーカーの世界シェアをみてみると、1位がミシュラン(仏)、2位がブリヂストン(日)、3位がグッドイヤーで(米)。4位がコンチネンタル(独)。

 5位住友ゴム(日本)、6位ピレリ(伊)、7位ハンコック(韓)、8位横浜ゴム(日)、9位中策ゴム(グッドライド・中)、10位正新ゴム (マキシス・台)、11位東洋タイヤ(日)、12位サントウ・リンロン・タイヤ(印)という順(別表参照)。

 上位5メーカーはよく知られたメーカーですが、7位にハンコック、9位には中国の中策ゴム(グッドライド)がきており、さらに10位には台湾の正新ゴム(マキシス)と、アジアのタイヤが躍進してきているのが分かります。

 すでに日産マーチにマキシスが新車装着されていましたし、パサートバリアントにクムホのエコスタが新車装着されるなど、新車装着タイヤが多くみられるようになっています。

 日本国内では実感が少ないかもしれませんが、欧州ではすでに数年前からクムホ、ハンコックといった韓国系タイヤを装着しているクルマを多く見かけます。

安ければ良いじゃない!? 安易にアジアンタイヤを買うのは危険か

 今後はさらにこれらアジア系タイヤメーカーがシェアを伸ばしてくることが予想されます。そんなわけなので、これからは国内でももっとアジアンタイヤが普通に見られるようになるかもしれません。と言っておいてなんですが、そうはいってもやはり安売りタイヤの性能に期待してはいけません。

 タイヤの価格はほぼ材料だと言っていいからです。現在では世界中のタイヤメーカーが世界各国からタイヤ材料を仕入れることができるようになりました。

 タイヤはゴムの木からとれる生ゴムだけでできているわけではありません。もちろん生ゴムは最近再評価されているのですが、それに加えて合成ゴムや添加剤などがたくさん配合しています。

 どのメーカーも、望めば最新の材料を手に入れタイヤを作ることができるわけです。そのためにはコストがかかります。つまりタイヤの価格に反映するわけです。安いタイヤというのは、何かが足りないか、より良い材料の代わりに低コストな材料を使っていると言えるのです。

 それでも新品なら、ドライやウエット路面での性能テストでよい性能を発揮するタイヤもあるかもしれませんが、それが1年後に同じように発揮できるか、摩耗は? 省燃費性能は? 摩耗時のノイズは? といった具合にどこかに、あるいはいろんなところに穴があることも考えられるわけです。

 ですから、やはり安いタイヤには手を出さないことが良いと思います。

 そんなことを言ってもタイヤメーカーの技術が上がれば安いタイヤを改良してよくすることもできるのではないか? 新進のタイヤメーカーならそうやってシェアを伸ばしていくのではないか、そう思われる人もいるかもしれません。でもたぶんそんな期待はできないと思います。

 日本の企業は世界的にみるとかなり特殊です。自社のブランドイメージを守るため、低価格のタイヤにも驚くほどコストをかけ性能を高めていたりするのです。これに1流メーカーも加えていいと思いますが、だからと言って全てのメーカーがユーザーに対して真摯で正直あるとは限らないのです。

 国民性によるものなのか、企業文化によるものなのかは判りませんが、日本のタイヤメーカーと同じような期待を持つのは、ちょっと期待しすぎかもしれません。

 もちろん新車装着しているタイヤメーカーなら、認証タイヤの性能は文句なしです。でもコストが極端に低いタイヤはその限りではありません。普段はあまりタイヤを気にしない、という一般的なユーザーには、格安アジアンタイヤはお勧めできません。

 ある程度タイヤのことが分かっていて、そのうえで選ぶのなら問題ないと思います。うまくまとまりませんが、アジアンタイヤに関しては、今後さらなる声量が見込めるので、注目のタイヤ&タイヤメーカーと言えると思います。

 いっぽう、激安タイヤに関しては、タイヤとしての総合性能は価格相応と言えると思います。ですから一般にはお勧めできませんが、例えばドリフトの練習用タイヤとして優れているから買う、というのはありだと思います。

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